散かった部屋は認知能力と集中力を低下させる!? 親子で実践「ドイツ式整理術」
“年末の大掃除” は、どうやら日本独特の習慣のようです。
2009年にサウジアラビアで放映された『改善』という番組では、日本の学校で子どもたちが自ら校内を掃除する姿が紹介され、「すばらしい!」と大絶賛されました。
日本では当たり前の光景ですが、欧米など海外の学校清掃は清掃員がやるのが普通で、「掃除」が果たす教育効果に改めてスポットが当たったのです。
今回は、子どもの成長に大いに影響を与える掃除や片付けの効果を見直してみましょう。
なぜ子どもは片付けられないのか?
調査によると、家庭での子どもの片付けに対して満足いかない親は約8割、それによるストレスを感じている親は約9割にも上っています(2015年 野村不動産アーバンネット調べ)。そして、その2大理由は「使ったものを元に戻さない」「不要なものを捨てられない」です。
ほかにも「ものを大切にする習慣がない」という理由もありました。どうやら、ただガミガミ「片付けなさい!」というだけでは効果はなく、“なぜ片付けなければいけないのか” を子どもに理解させる必要があるようです。
人間の「脳」は秩序を好む!
日本を飛び出し世界的な片付けブームを巻き起こした「こんまり」こと近藤麻理恵さん。現在アメリカをベースに活躍する彼女の片付け術がこれほどまでに受け入れられた一因に、片付けがもたらす心理的効果が認められたことがあります。
掃除や片付けによって、メンタルの問題が解消され、生産性アップや肥満解消までもが達成されるという、いわば自己啓発的セラピー効果が評判を呼んでいるのです。まずは、汚い部屋がもたらす心理的影響を確認しましょう。
(1)脳:人間の脳は秩序を好む
乱雑な環境は人の認知能力と集中力を低下させることを、プリンストン大学(アメリカ)が2011年に研究結果として発表しています。つまり、散らかった部屋で勉強することは、とても効率の悪いことなのです。
(2)身体:無秩序な環境はストレスを生み、身体に悪影響を及ぼす
常に散らかった状況では、コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌されることで不安が増長される傾向にあります。そのことが暴飲暴食につながったり、感染症や消化器官にも悪影響を与えたりすることもあるそうです。さらに、良い眠りの妨げになることもわかっています。
(3)時間:頭と心の整理ができず時間が無駄に
元の場所にものを戻さないため、どこに何があるのか把握できず、探し物が見つからずにイライラ。また、散らかっている状況は頭の整理もつきにくく、心理的にも落ち着かなくなるため、作業にも時間がかかってしまいます。