父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方
というのも、生まれてから1~2歳頃までの子どもは、「感受性期」という脳が情緒に関してもっとも学びやすい時期にあるからです。ここで、その後に伸びていくEQのベースがつくられるというわけです。そのベースとは、自己肯定感。母親に愛情を注がれることで、「自分はこの世に存在していていいんだ」と子どもは感じられる。自分の存在を肯定し、豊かな心を育んでいくようになるのです。
逆に、この時期に親からほったらかしにされた、いわゆるネグレクトの状態に置かれた子どもは、情緒不安定だったり社会への適応性がなかったりといった好ましくない特徴を示すことがわかっています。
子どものEQを伸ばすための父親の役割
母親だけでなく、父親のかかわり方も子どもに大いに影響を与えます。それについては、国内外を問わず、いくつもの研究結果が示されています。
たとえば、スウェーデンでの研究では、「父親との関係が良好な子どもは、学力が高く、良い友人関係を築け、問題行動や犯罪行為が少ない」という結果が出ています。
また、カナダの研究では、「父親が子どもに多く関与すると、子どもの認知機能と学業成績が向上し、問題解決力、忍耐力、感情コントロール、責任感、社会的発達、人間関係力に好影響を与える」という結果が示されました。
面白いのが、桜美林大学の山口創先生の研究です。先生の研究では、「『高い高い』『おんぶ』『肩ぐるま』を経験することで、子どもの空間認識能力、危機対処能力、身体能力への自信が高まる」ことがわかりました。注目は「空間認識能力」です。「肩ぐるま」などで普段とはちがう視点から周囲を見渡すことで空間認識能力が高まり、さらには物体に限らずものごとを多角的に見る力も高まったというのです。
もちろん、「肩ぐるま」などは母親でもできるものです。でも、どちらかといえば父親がやることが多いものですよね。
しかも、母親より力が強い父親がやれば、これらの遊びはよりダイナミックになり、もたらす効果も高まると考えられます。
2種類の愛情を意識して使いわける
父親と母親それぞれに役割があるということには、愛情にも2種類あるということが関係しています。簡単にいえば、「優しさ」と「厳しさ」です。
母親の愛情というのは、子どものすべてを受け入れる、どんなときも子どもの味方になるといった「優しさ」、「応援する」というものです。一方、父親の愛情は、子どもが困難にぶつかったとき、失敗したときに、「もっとできるはずだぞ!」