心理学者が指摘する “いい子症候群” たちの未来――自主性のない子どもの特徴5つ
どこへ連れていっても「いい子ですね」と褒められる、わがままを言うなど親を困らせるようなことは絶対にしないーーそんな “いい子” に育ってほしいと願う親御さんは多いはずです。
しかし実際には、そのような “いい子” はいくつかの問題点を抱えており、そのまま成長するとさまざまな不調が出てくるといいます。もし今、お子さんが無理をして “いい子” を演じているのなら、親子の関係性や子どもへの対応の仕方、声かけなどを見直す必要があるかもしれません。
いい子症候群の特徴
教育カウンセラーの諸富祥彦先生によると、親に褒めてもらいたくて自らが頑張る力を発揮する「一般的な良い子」と、親の期待に過剰に応えようとするいわゆる「いい子症候群」には決定的な違いがあるといいます。
子どもはみんな、お父さんやお母さんから褒めてもらいたいもの。それは当然の感情であり、褒めてもらうことを目的に良い行いをするのはごく一般的な子どもの特徴です。しかし「いい子症候群」に当てはまる子どもは、褒められることよりも、親が不機嫌になることを恐れ、どうしたら親が喜ぶのかを常に考えてしまうのです。
その特徴とは一体どのようなものなのでしょうか?
■言動が受け身
■自己主張が苦手
■感情表現が乏しい
■親の指示がないと不安になる
■小さな決断も自分ではできない
おとなしい子、内気な子、優等生タイプの子とは少し違う「いい子症候群」は、親がどう思うか、親からどう思われるかが何よりも大事なのです。
親の期待に応えられなければ自分の存在価値を認められないので、自分の意思を主張できなくなります。また、一見素直で従順ですが、実は自分を押さえ込んでいるため、突然感情を爆発させることもあるので注意が必要です。
つまり「いい子症候群」とは、「大人の顔色をうかがい、先回りして親の期待に応えようとする自主性のない状態」であるといえます。問題は、期待されている「答え」(=正しい言動)を先取りするうちに、それが自分の意思であるかのように錯覚してしまうこと。いい子を演じている自覚がないまま成長すると、どのようになってしまうのでしょうか。
成長後にも強い影響を及ぼす「いい子症候群」
幼少期に親の前で「いい子」でい続けると、思春期には次のような言動が目立つようになります。
・親の目の届かない場所で溜まったストレスを発散させるようになる
・お友だちをいじめる側になったり、先生の言うことを聞かずに困らせたりと、問題行動が表面化することもある
・トラブルの回避方法がわからないまま成長するので、コミュニケーション能力が低下してしまう
・自分の感情に鈍感になり、喜怒哀楽をはっきりと表現できず相手の期待に沿った反応しかできない
さらに「いい子症候群」