「クラシック信仰」に異議あり! 子どもの頭を良くする音楽の“意外なジャンル”
という実行面で影響が出たりすることもあり、その心理的ブレーキをやわらげてくれるなにかが必要になります。
不安がパフォーマンスを左右することについては、2011年にシカゴ大学の心理学者シアン・ベイロック氏らが実験を行い、「試験についての不安を試験直前に書き出すことで、成績が向上する」という実験結果を発表しました(※4)。簡単に内容をまとめると、学生をふたつのグループにわけて2回の試験を受けさせて、1回目と2回目の成績を比べました。このとき、まず2回目の試験前に重要な試験であることを伝えてプレッシャーを与えます。そのうえで、片方のグループには10分間時間をとって「試験について不安なこと」を書き出させ、もう一方のグループはただ静かに座らせました。すると、不安を書き出したグループのほうが、1回目のテストより正答率が5%向上し、もう一方のグループは正答率が12%も下がったというのです。
つまり、この実験で見えてくるのは、不安をうまく扱うためには、むしろ「不安を直視したほうが良い」ということ。そこでわたしは、子どもに不安を直視させるためにもメタルが役に立つのではないかと考えています。
なぜなら、メタルの歌詞や破壊的な音を聴くことで、「自分と同じようなストレスや疎外感を持って生きている人がいるんだ」というメッセージを音楽から得て、一時的にストレスを軽減する効果があると推察しているからです。
さらに、イギリスのウォーリック大学の研究チームが成績の優秀な学生を選んでメタルに関する調査を実施したところ、メタルにはストレス発散や欲求不満の解消に役立つ効果が認められました(※5)。成績優秀であることは、自分自身への期待に加え、まわりからの期待によって大きなプレッシャーを抱える場合があります。しかしメタルを聴くことでそんなプレッシャーを一時的に忘れ去り、ストレス耐性を上げる可能性が言及されたのです。
「良い子にならなきゃ」というプレッシャーが、子どもの才能を潰す
このようなことからも、「子どもにメタルなんか聴かせるのは良くない!」といった意見が、いかにステレオタイプな見方であるかがおわかりになるはずです。別に成績優秀者に限らず、思春期の子どもはストレスを感じやすい存在です。そんな子どもが、自分自身を過度な不安傾向から守り、「ここぞ!」というときに力を発揮するには、「メタルも役立つかもしれないな」