子育て情報『「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由』

「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由

目次

・学習面以外にも現れるさまざまな変化
・「10歳の壁」をポジティブにとらえよう
・着実に大人へと成長する子どもの姿を楽しむ
「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」!親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由

10歳くらいで学習面における壁にぶつかることを意味する、「10歳の壁」という言葉を知っている人も多いでしょう。「壁」という言葉のイメージも手伝って、乗り越えるべき難しい時期だと考えてしまっている人もいるかもしれません。でも、発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学の専門家である法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生は、「10歳は子どもにとって大きな飛躍の年」だと語ります。

構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

学習面以外にも現れるさまざまな変化

「10歳の壁」というと、一般的には小学3、4年生になった子どもたちがぶつかる学習面での壁を指します。たとえば、算数の問題でもそれまでは「リンゴがいくつ」といったふうに具体物で表されていたものが、突然、○(丸)や□(四角)という抽象的なもので表されることが増えてくる。そこで理解が止まってしまう子どもが非常に多いのです。

ただ、10歳という年齢における子どもの変化は、そういった学習面の変化に伴って出てくるものだけではありません。たとえば、ある研究データによると、「人を助ける思いやりの行動」にも変化が見られます。
9歳までは困っている人を見れば素直に「助けてあげたい」と行動できていた子どもたちが、10歳になるとなぜかそういう行動を起こさなくなるのです。

友だちへの意識も10歳前後で大きく変わります。9歳頃までの子どもの場合、誰もがなんの疑いもなく「みんなと仲良くできる」と思っています。でも、10歳になると「バスの隣の席は○○ちゃんがいい」「○○ちゃんには座ってほしくない」というふうに思いはじめる。ずっと「みんなと仲良くできる」と思っていた自分自身と、自己矛盾を起こすようになるのです。

「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由


「10歳の壁」をポジティブにとらえよう

その時期を境にして子どもに見られる変化は他にもいろいろあります。たとえば「時間的展望」がそう。未来や過去、現在といった時間的なものさしが格段に伸びる時期であり、将来のこともしっかりイメージして考えられるようになります。


さらに、たとえば中東で起こっている紛争のニュースを見れば、その地域に住む同年代の小学生の生活を想像して心配するように、会ったこともないような人間の気持ちまで考えられるようにもなる。これは、とらえられる対人関係が大きく広がったということを意味します。

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