子育て情報『人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!? 新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力』
目次
・アメリカ発の新しい美術鑑賞教育法「対話型鑑賞」とは(引用元:フィリップ ヤノウィン 著, 京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター 訳(2015),『学力をのばす美術鑑賞』,淡交社.)
ニューヨーク近代美術館(MoMA)教育部の部長を務めた本書の著者フィリップ・ヤノウィン(Philip Yenawine)は、鑑賞教育における知識偏重型の指導に疑問を抱き、長年の調査・研究・実践を踏まえて新たな指導方法を開発した。それがヴィジュアル・シンキング・ストラテジー(VTS)である。
「アート作品は文字に頼らない視覚的なもので、親しみやすい部分と謎めいた部分をあわせ持っている。また、解釈が開かれており、幅広い層に訴えかけるテーマを扱っている。さらに、多様かつ複雑で、概念と感情の両方を喚起するという特性を持っている。」こうした美術作品の特性を活かし、VTSでは対話を介してグループで作品をみるという鑑賞方法を提唱している。
ヤノウィンは、対話型鑑賞を通して子ども達にさまざまな力がつくことを、その理論的背景、そして数々の実践例を紹介しながら説得力をもって私たちに語ってくれている。VTSを介して彼らが身につけていく「複合的能力」とは、観察、解釈、根拠をもった考察、意見の再検討、そして複数の可能性を追究する力などである。