麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!
むかしから家庭教育の大定番であるのが「絵本の読み聞かせ」です。それが子どもの成長に与える効果については、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語科教諭である中島克治先生も手放しで絶賛します。絵本の読み聞かせは、子どもになにをもたらしてくれるのでしょうか。中島先生が「計り知れない」と語るその効果を教えてくれました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)
絵本の読み聞かせが子どもの心を豊かにする
日々、進化を続ける子ども向け教材ですが、やはりむかしながらの「絵本の読み聞かせ」は、いまも変わらず最高の教育ツールといえます。お父さん、お母さんに絵本を読んでもらえる時間は、子どもにとってはまさに至福のとき。親子の強い絆を生んでくれるものです。
そして、絵本の読み聞かせは子どもの心を成長させてくれます。絵本というものは、言葉の世界とイマジネーションの世界がぴたっとつながっていくものです。言葉によってイマジネーションをつくっていく、あるいは絵で表現されているものを言葉で補っていく。そのプロセスは、幼い子どもの脳にとっていちばん大切なものといっても過言ではありません。それが子どもの心を豊かにしていくのですからね。
教育熱心な親であれば、絵本の読み聞かせによって「読解力」を得られるのかという点も気になるでしょう。その疑問に対する答えは、もちろん「YES」です。
小学校での国語のテストでは「この場面での登場人物の気持ちを答えなさい」という問題が出されますよね?その問いに解答するために必要なものとはなんでしょうか。
それは、「共感力」です。その力を絵本が高めてくれます。
たとえば、みなさんにもおなじみのかぐや姫が物語の最後に月に帰っていく場面をイメージしてください。そこでは、かぐや姫もおじいさんもおばあさんも別れを惜しんで悲しんでいます。実際には別れというものの重みが子どもにはまだわからないにしても、自分から切り離された物語の世界として仮想的に別れを感じることができる。それは、ある種、社会的な常識を学んでいるともいえます。
子どもはその過程を経て、「どういう世界のどういう状況に置かれた人間がどういう感情を抱くのか」ということを知っていきます。そうやって、共感力が磨かれていくわけです。
いまの世界に必要な「思いやりと優しさ」
その共感力は、子どもの内面にも大きな影響を与えます。