無理やりポジティブにならなくていい――“ネガティブな感情”を利用して自己肯定感を育む
日々、子育てをするなかで、「うちの子は、ちょっとネガティブな感情に陥りやすいかも」と思う瞬間があるかもしれません。でも、だからといって急にポジティブ人間に大変身できるわけではないですし、大人だってそう簡単に性格は変えられないのが実情です。
子どもがネガティブな感情になったり、マイナスな出来事に遭遇したりしたとき、親はどうやって乗り越える方法を伝えるべきなのでしょう。
親自身も備えておきたい「思考」を、脳科学者の中野信子さんがレクチャーしてくれます。
構成/岩川悟(slipstream)写真/塚原孝顕
ネガティブな感情をうまく活用すると、良い結果が出る
ポジティブシンキングの大切さは広く語られるところですが、だからといって、無理やりポジティブになろうとしても、生まれ持った性格などもあるので、実際はなかなかうまくはいかないもの。
じつは、「努力」という面に関していうと、ネガティブな感情を利用したほうが良い結果が出ることもたくさんあります。なぜなら、ネガティブな感情のほうが、モチベーションを保つうえで圧倒的に強いパワーを持っているからです。
「あいつを絶対に見返してやる!」
「いまの境遇に耐えられないから必ず追い抜く!」
そんなネガティブな感情は、油断すると「妬み」や「恨み」に変わりやすいため、一般的には良い感情とはされていません。
でも、そこにさえ気をつければ、むしろネガティブな感情が持つパワーをうまく利用してしまえばいいのです。
また、未来を悲観しがちな人もいます。でも、逆にいえば、それは未来に対してしっかり準備ができる可能性が高いということ。考え方を変えるだけで、自分だけの強い武器になる場合があるのです。
自分の性格や感情の傾向を無視していると、かえってストレスを溜めてしまい、心身に良いことはありません。ネガティブな感情を無下に否定せず、しっかりと受け止めて活用していけるからこそ、健全な自己肯定感が育まれるのだと思います。
「マイナスの出来事」にこだわらず、事実として受け入れることから、プラスの出来事が生まれる
多くの人は自分にとって「マイナスの出来事」が起きたとき、ネガティブな感情に陥ります。そして「マイナスの出来事」は、およそどんな人にでも起こるもの。
むしろ、なにかを達成したり成功したりした人のほうが、そうではない人よりも「マイナスの出来事」