“親の価値観”を押し付けすぎると、子どもは考える力を失う。「~~しなさい」にご注意を
前出の石田氏によると、その場合「親が考える『こうあるべき』や『ルール』をすべて撤廃し、子どもの良い点は何か、子どもが大切にしている価値観は何か、にフォーカスすることが唯一の方法」だそうです。
“親目線” ではなく、“子ども目線” で。わが子をよく観察して、何をしているときにもっとも「ワクワク感」や「充実感」に満ちた顔をしているか、それを見つけてみましょう。そして、そこを入り口としてアプローチすることが秘訣です。
また、子どもに話しかけるとき、「〜〜しなさい」といった指示・命令用語を頻繁に使っていませんか?こういった言葉は、子どもの「できていない部分」に意識が向いてしまうがゆえに口を突いてしまうものです。その結果、子どものネガティブな部分にばかり目がいくようになり、結局は悪循環を引き起こしてしまいます。
不完全である子どもの足りない部分にばかり注目することは、ありのままのわが子を受け入れていないことと同じです。そもそも、親である自分自身も完璧とは言いがたいのではないでしょうか?親も子も、どちらも良い部分と未熟な部分を持ち合わせているという前提に立ってみると、子どもが「別の人格を持ったひとりの人間」であることに納得できるはずです。
子どもの価値観形成を手助けするのはOK
子どもの価値観を理解するためには、親から子どもに歩み寄り、いつもの言葉がけに少し変化を加えるといいでしょう。
NPO法人 親子コミュニケーションラボ代表理事の天野ひかりさんは、「母親として、この子を “しつけなければ” というプレッシャーや脅迫観念から、時として直接的で短絡的な言葉を使ってしまう。子どもをきちんと育てたい、能力を伸ばしてあげたいという目標設定は正しいのに、言葉がけという手段を誤っている」パターンが多いといいます。それは子どもの自己肯定感を低下させることにもつながります。
たとえば、お子さんがマンガばかり読んでいることを心配して、「マンガなんかよりも歴史の本を読みなさい!」と命令していませんか?これはNGです。天野さんはこの声かけに対して、「子どもに本を読む楽しさ、本で知識を得られることの喜びを知ってほしいはずなのに、子どもの読書欲を邪魔している」と指摘します。
ここで大事なのは、『本来の目的』を明確にすることです。「その本いいね。
おもしろそう」