子どもを伸ばす「良いストレス」と心身を追い込む「悪いストレス」の違いとは
現代人は多くのストレスを抱えていると言われていますが、子どもも例外ではありません。株式会社セガトイズが行なった「7歳〜12歳のストレスの実態とライフスタイル調査」では、7歳〜12歳の子どもたちの67%が癒しを求めているという結果が出ました。
こうした現状を知り、「我が子にはなるべくストレスと無縁でいてほしい」と考える親御さんも多いことでしょう。しかしながら、その考え方は見直したほうがいいかもしれません。じつは、子どもにとってストレスは必要不可欠なものなのです。
なぜ、子どもにストレスが必要なのでしょう。また、親として子どものストレスにどう向き合えばいいのでしょうか。今回は、子どもとストレスの関係性について詳しくご説明します。
人間はストレスがないと生きられない
ストレスとは、心身に何かしらの負荷がかかって生じるゆがみのこと。また、その負荷のもととなる刺激を「ストレッサー」と呼びます。ストレッサーは暑い・寒いなどの物理的なものから、疲労や睡眠不足といった肉体的なもの、友人とのトラブルをはじめとした人間関係的なものなど、さまざま。単純に考えれば、ストレスと無縁の生活を送るには、これらのストレッサーをすべて排除すればよいのです。
では、実際にすべてのストレッサーを排除し、ストレスをなくすとどうなるのでしょうか。それを試した、アメリカの心理学者による興味深い実験があります。温度が一定で、匂いや音もなく、薄暗い個室——つまり、まったく刺激(ストレッサー)のない環境で一定時間過ごすという内容です。結果、被験者たちの多くは、しばらくの間「寒いところでは鳥肌が立つ」「暑いところでは汗をかく」といった体温調整がうまくできなくなったといいます。
また、暗示にかかりやすくなり、「あなたは転ぶ!」と大声で叫ばれたら転んでしまう被験者もいたそうです。
この実験からわかったのは、人間はストレスを失うと、生命を維持するのに必要な機能に支障をきたすということ。日常に置き換えてみれば、もっとよくわかるでしょう。たとえば、「お腹がすく」というのも日常によくある小さなストレスですが、これがあるからこそ人間はご飯を食べようとします。逆に言えば、「お腹がすく」というストレスがなければ、必要なエネルギーが摂取できないということ。つまり、ある程度のストレスは、「自分が生きていくために、するべきことをしないといけない」