つい言ってしまう「上手だね」。もっとお絵かきが純粋に楽しくなる大人の言葉
まずは「どんな絵を描いても素晴らしいのだ」ということを伝えてあげることがなにより大切です。
しかし、その声かけだけで、子どもが苦手意識を払拭し、積極的にお絵描きに取り組むようにはなりません。そこで、子どもが自信を持って描けるような工夫が必要です。写真などの資料を用意することもそのひとつです。
たとえば、「運動会の絵を描いてみましょう」といわれて、なにも見ないまま描くことは、大人にとっても難しいことです。そこで、玉入れやかけっこの様子、お弁当を食べている風景などの写真を用意してあげると描きやすくなります。また、動物などを描く場合も、図鑑や写真を用意してあげるとよいでしょう。
どんなふうに描きはじめたらよいか分からないという場合は、トレーシングペーパーを使って、写真をなぞってみるのもおすすめです。
写真のとおりに描く必要はありませんが、肩の力を抜いてお絵描きができるので、大人がやっても楽しいですよ。何回かなぞってみると、構えずに絵を描くことができるようになっていきます。
ただ、トレースをするときにデフォルメされたイラストを使うことは避けるようにしてほしいですね。そのイラストのような絵ばかり描くようになり、個性が失われてしまうからです。トレースをする際は、本物を撮影した写真を使うとよいでしょう。
初めて描く動物もトレースすれば描きやすい
夏休みの絵の課題を通してデザイン思考を学ぶ
小学生の夏休みの宿題として出されることの多いポスター制作は、デザイン思考を学ぶ絶好の機会です。ポスターは、自由に描く絵とちがい、目的がありますから、テーマにまつわることを学ぶ必要があります。たとえば、環境問題をテーマにしたポスター制作の場合、はじめに図書館などで環境問題について子どもと一緒に調べてみましょう。
まずなにが問題なのかを見つける、問題の解決方法となるアイデアを生み出す、どうやったらそのアイデアを相手に伝えられる作品になるかを考える、とまさに「デザイン思考」と同じプロセスでつくっていきます。テーマを調べることにより、社会、理科、国語などを学ぶことにもなり、アートが他の分野とつながっていることを実感できると思います。
子どもがなかなか取り組めない場合は、描きたい絵の写真を一緒に用意するなど、準備を手伝ってあげると、スムーズに筆が進みます。実際に描く段階になったら、子どもが好きなように描かせてあげてください。