「過干渉」育児が招く悲しい結果。“見守るだけでは物足りない”親が危険なワケ
ひとりっ子家庭の増加に伴い、教育界において注目度を増している問題が「過干渉」です。子どもを大事にして「いい子に育ってほしい」という気持ちが強いあまりに、親の希望を優先した子育てに走ってしまう――。子どもを大事に思う気持ちは悪いものではありませんが、過干渉気味に育てられた子どもはさまざまな問題を抱えてしまいます。スクールカウンセラーの経験も豊富な心理学者である、明治大学文学部教授の諸富祥彦先生に、過干渉の典型例や、そうしないための方法を教えてもらいました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
親が子どもの友だちや遊びを決める、過干渉の典型例
自分の子どもを、他人の顔色ばかり伺って自分がなにをしたいかもわからない「いい子症候群」にしないためにもっとも大切なことが、あらゆることを子ども自身に自己決定させることです(インタビュー第1回参照)。逆に、子どもの意志とは関係なく、どんなことも親が決めてしまうことを「過干渉」といいます。過干渉は、いい子症候群とセットのように大きな問題となっています。
子どもが幼い場合、典型的に見られる過干渉の例が、親が子どもの友だちを選ぶということ。子どもの友だちに対して、親の勝手な価値観によって、「もうあの子とは遊ぶのはやめなさい」「この子はいい子だから、この子と遊びなさい」というようなことです。いまもむかしもよく見られるケースですから、ドキッとした人もいるでしょう。
友だちを選ぶという行為は、絶対に子ども自身にさせるべきものです。そうでないと、子どもが自分自身で人間関係を築いていく力が育たないからです。
あるいは、友だちどころか、遊びの内容そのものすら親が決めるというケースもある。子どもが遊びたいことではなく、親が子どもにしてほしい遊びを決めてしまうのです。そんなことをしてしまえば、子どもがどんどん自己決定できない人間になっていくことは明らかですよね。
「自分づくり期」に入った子どもを「見守る」意識
では、どんな親が子どもに対して過干渉になってしまいがちなのでしょうか?もっとも大きな特徴として、そういう親は子どもに依存しているという点が挙げられます。過干渉になってしまう親は、子どもに対してあれこれと口を出すことが子育てだと思っています。もちろん、小学3年くらいまでの子どもには、そういうことも必要です。