よく噛む子どもは「勉強も運動もできて、ストレスのない子」に育つ! 数々の研究が証明
夢中になってご飯をむさぼる子どもに、「消化が悪くなるからしっかり噛んで食べなさい」と注意する親御さんは多いでしょう。じつは、よく噛むことには、消化以外にもたくさんのメリットがあるのですよ。
さまざまな科学的根拠をもとに、よく噛む子どもは、頭も体も運動神経もよくなることなどを紹介します。
よく噛むとたくさん出る「唾液」のすごい作用
まずは、噛むことがもたらす基本的な作用の紹介です。
よく噛むと唾液がたくさん分泌されますが、福岡市立こども病院と水天宮前歯科医院によれば、有益な成分がいろいろと含まれる唾液には、健康に役立つ作用があるそうです。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
消化作用:
唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素が、炭水化物の中のでんぷんを、脳と体に不可欠なエネルギー源のブドウ糖に分解してくれる。潤滑作用:
唾液に含まれる「ムチン」というタンパク質が、食べ物を飲み込みやすくしたり、発声を滑らかにしたり、口の中の粘膜を守ったりしてくれる。抗菌作用:
唾液に含まれる「リゾチーム」という酵素が細菌の増殖を防ぎ、「ラクトフェリン」という糖タンパクが細菌の発育を阻害し、「IgA」という免疫抗体が細菌に抵抗してくれる。歯を強化する作用:
唾液に含まれる「スタテチン」という成分がカルシウムと結合し、歯を強化してくれる。このように、よく噛むとたくさん分泌される唾液は体を健康に保ってくれます。でも、よく噛むことのメリットは、それだけではないのです。
「よく噛んで食べる」といい科学的根拠
よく噛むと、脳・学力・ストレス・運動にもいいと、科学的に証明されていることをご存じですか? ひとつずつ説明しましょう。
1.「よく噛むこと」と「脳」のいい関係
自然科学研究機構・生理学研究所名誉教授の柿木隆介氏は2008年に、よく噛むことが脳を活性化すると証明しました。
研究では、感覚刺激(聴覚・視覚・触覚など)を受けると反応するP300という脳波を使った実験を実施。まず被験者に5分間ガムを噛んでもらい、そのあとに音刺激を与えて、P300が出現するまでの時間と、音刺激に反応してボタンを押すまでの時間を計測したとのこと。
比較のため、別の日に「何もしない」「噛むまね(口をパクパク)」「手指でトントンと机を叩く(タッピング)」という条件でも同じ実験を行ないました。
すると、「P300の出現・ボタンを押す反応時間」