子どもの「負け」をどう褒める? 成長スピードの速い子の親がしている2つのこと
■負けを乗り越える
弱い自分を受け入れることで第一段階はクリア。しかし、負けを認めるだけでは成長はありません。その後に悔しい思いを糧に努力することが大事です。
将棋の世界では、負けを宣言することにはもうひとつ重要な意味があります。それは、負けを口にできる精神的強さを証明したことになり、メンタルでは勝者を上回ったと認められるということなのです。「負けることの意義」は、まさにここにあります。「負けるのはダメなことではない、強さにつながる過程なのだ」と学び、負けを恐れず積極的にチャレンジできる人になれるのです。
とはいえ、子どもには少々難しいかもしれません。
日本ストレスマネジメント学会事務局長である小関俊祐先生は、「いいチャレンジだったよ!」「毎日頑張っていたよね」と、結果ではなく、毎日の行動や努力を親がほめてあげることで、再び挑戦する力を身につけられると話しています。子どもが思った結果を出せなかったときこそ、日々の努力や頑張りをたくさんほめてあげましょう。
競争しない教育を受けた子どもは「攻撃的な大人」になる!?
逆に、「負けないこと(競争しないこと)」のデメリットはあるでしょうか。
反競争的な教育は、成績に優劣をつけないことで、仲良く協働できるようになること、そして競争に惑わされずに本来の学びに集中することを目指しています。しかし、経済学者で大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏の研究では、「反競争的教育を受けた子どもは、利他性が低く、非協働的、攻撃的な大人になる」という驚くべき結果がでたのです。
本来、人の能力には生まれながらの素質がそれぞれあり、誰しも得意・不得意がありますよね。しかし、競争をしてこなかった子どもは、「能力は誰しも平等で、努力すれば等しく向上できる」と思ってしまうのだそう。もし能力に劣った人がいると、「努力を怠ったから」と断定し、困っている人がいても、助けてあげない傾向があると言うのです。
負ける悔しさや、克服する大変さを身をもって知るからこそ、人を思いやり、協働できる人間力が育まれるのだとすると、楽しいこともつらいことも含めた多様な体験こそが、子どもの将来のために何よりも必要なものなのではないでしょうか。
「いい子でなきゃいけない!」と思っている子ども
子どもは自分の気持ちにきちんと向き合ったり、人に伝えたり、感情をうまくコントロールしたりする術をまだ完全には身につけられていません。