“過度な期待” が子どもの自己肯定感を下げる。親の理想を押しつけるのは危険です
みなさんは、わが子にどのような人間に育ってほしいと願っていますか?生まれる前は、「とにかく健康で元気な子だったらいい」と漠然と考えていたかもしれません。しかし、成長を追うごとに「勉強ができてスポーツが得意だったらいいな……」「誰からも好かれてお友だちがたくさんできたらいいな……」と、期待が膨らんでいっていませんか?
今回は、「親の期待が子どもに与える影響」について考えていきましょう。
イライラするのは、子どもに「期待」してるから
子育てをしていると、わが子に対して「どうしてこんなこともできないの?」とイライラしたり、口うるさく注意したりすることもありますよね。ですが、みなさんが子どもに「どうして○○できないの?」と感じていることの裏側には、「あなたが子どもに期待していること」が隠されているのです。
たとえば、モジモジしておとなしいわが子に対して、「どうして自分からお友だちに遊ぼうって言えないの?」とイライラしがちなのであれば、子どもが「社交的で積極的であること」を期待しています。
日本メンタルヘルス協会公認カウンセラーのマツダミヒロさんによると、「人は、相手にかけた期待が外れたときに、怒りを感じたりイライラしたりする」とのこと。そして「思い通りに動いてくれない子どもに、自分の価値観を押しつけて、自分の望む反応を求めている」とも述べています。
私たちは親として、わが子によりよい人生を歩んでほしいと願う一方で、自分が想像する幸せの型に子どもをはめ込もうとしているのかもしれません。教育評論家の石田勝紀先生は、「親が子どもへの理想のイメージをもつこと自体は問題ない」としながらも、「“こうあるべき” 姿を押しつけて、親の価値観や思考の枠からはみ出た子どもを、強制的に戻させようとすることが問題」と述べています。
自分が理想とする「こうあるべき姿」をわが子に押しつけていないか、いま一度思い返してみましょう。自分ではそんなつもりがなくても、子どもが本来望んでいることとかけ離れているようなら、少し立ち止まって考え直す必要があるかもしれません。
親の期待は「子どもの自己肯定感」を低下させる
親が子どもに期待しすぎることで、子ども自身にはどのような影響が及ぶのでしょうか。専門家の意見や、いくつかの事例を挙げていきます。
■わかったフリをするようになる
親が子どもの「現時点での能力」