10億件の学習データからわかったこと。「無学年制」という新しい学習のカタチとは?
はじめまして。RISU Japanの今木智隆です。
このたび、STUDY HACKERこどもまなび☆ラボにて、連載『学びノべーション』を始めることになりました。この連載を通して、「いま本当に必要な教育」をお伝えしていきます。
成績を超えた人材育成へ――エリートコースはもう古い
まずは自己紹介をさせてください。私は、タブレット型学習サービスを提供するRISU Japan株式会社(以下、RISU)を運営しています。タブレット型学習サービス以外にも対面塾であるRISU塾を運営しており、対面・オンラインの枠にとらわれない、広い意味での「理数系教育」を扱っています。
このように書くと、「算数や数学の成績が優秀な子どもを育てること」が目的の会社だと思われがちです。もちろん、学校の成績がよいことは算数の理解が深まっている証ではありますが、私の理念は少し違います。
私が目指すのは、「成績より先の人材育成」です。現代では、勉強していい学校に入り、いい会社に入り、いい年収を稼ぐことがかつてほど魅力ではなくなっています。生活必需品の値段が劇的に下がり、欲しいものがそれほど苦労せずに手に入るようになったからです。また、人生における選択肢の幅も広がったため、かつてはたくさんの人が憧れていた「エリートコース」の魅力が相対的に低下してしまったのでしょう。
「ただ試験のためだけに算数を勉強する」ということは、もはや現代社会においてあまり意味がなくなっているのです。だからこそ、子どもたちには、目先の問題が解けるだけでなく、問題を解くことを通して、「学ぶことそのものの楽しさ」を知ってほしい。
私はそう願っています。
「才能あふれる社会」を創り出す教育
RISUのスローガンは「才能あふれる社会を創り出す」ですが、このスローガンには私の願いが込められています。それぞれの子どもが学ぶ楽しさを知り、自分を高めていくことで、その子にしかない才能が開花するのです。
「才能あふれる社会」についてもう少しだけお話しさせてください。そのビジョンが、この連載ではとても重要になるからです。
ここで、少し視野を広げて、「教育」の歴史を考えてみましょう。近代教育が誕生したのは200年前、産業革命と同じ時期です。そこで目指された教育は、工場で大量に均質な商品がつくられるように、学校という工場で大量の生徒をつくり続けるものでした。