「経済格差」が「学力差」を生んでいる。アメリカのオンライン教育の現状
こうした経済格差の問題は、これから先、ますます顕在化してくることが予測されます。
アメリカ社会が抱える問題。いずれ日本でも……
また、アメリカ社会全体に目を向けると、9月末で立ち退き請求保留の暫定法が失効し、家を追われた家庭も増えています。日本では、生活保護を受ければ最低限の衣食住を保証されています。しかし、アメリカでは住居に関するサポートは非常に限定的です。そのため、親にお金が入ったときは深夜運航のバスで寝て、それ以外は路上かホームレスのシェルターで寝る生活を余儀なくされる子どもたちもいます。
アメリカでは、最も裕福と言われるシリコンバレーでも、約1割の家庭は学校給食なしでは3食食べられないのが現実です。学習機能だけでなく、生活サポートの場としての学校、という側面も考えていく必要があるでしょう。
これまで見てきたように、最先端のIT企業がひしめくシリコンバレーでさえ、オンライン教育をめぐるさまざまな問題に直面し、その対応に追われています。アメリカで明らかになったこれらの問題は、いずれ日本でも十分に起こりうるものです。
しかし、コロナ禍がもたらした「変化の時代」は、従来のやり方を見直し、教育をよりよい方向に変えるチャンスでもあります。コロナウイルス第三波の到来が叫ばれるいま、状況を冷静に分析し、関係者どうしが協力し合って、よりよい学習環境をつくっていくことが大切だと、強く感じています。
『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』
今木智隆 著/文響社(2019)
■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧
第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方
第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない
第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題
第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法
2歳? 4歳? 6歳? 子どもの年齢別・添い寝からひとり寝への移行ポイント