ドリルを解くより効果的! 子どもの計算力を鍛える超簡単な方法
こんにちは、今木智隆です。2020年8月より15回にわたり執筆してきた『いまの教育で本当に大丈夫?学びノベーション』も、いよいよ今回で最終回となります。
データに基づく科学的な知見によって教育をとらえる「エビデンス・ベースド」の考え方のもと、「子どもたちの豊かな才能を伸ばす教育」のあり方を探ってきた本連載。これまで、「算数のニガテの原因」や「効率的な学習法」から、コロナ禍が浮き彫りにしたオンライン教育の課題まで、さまざまなテーマで「いま本当に必要な教育」をお伝えしてきました。
前回の連載では、算数を学ぶことで身につく「論理的思考力」は、社会に出てからも、理系・文系にかかわらず強く求められるということをお話ししましたね。「論理的思考力」は、IT化が進むこれからの未来を生きるうえで、必須の能力なのです。
今回は連載のまとめとして、子どもが学ぶことの楽しさに気づき、将来にわたって自分自身の才能を伸ばしていくために重要なことをお伝えします。
「親が文系だから、子どもも文系」という思い込み
子どもが算数でつまずいてしまったとき、こう考えるおうちの方がいらっしゃいます。
「私が算数が苦手だったから、この子も算数が苦手なんだ」
「私が文系だから、この子も理系には行けないかも……」
たしかに、能力はある程度、遺伝の影響を受けます。でも、それは理系への進学を阻むほど強力なものではありません。むしろ、「ママと同じであなたも算数が苦手なのね」などと口に出して言ってしまうほうが大きな影響を及ぼします。おうちの方のネガティブな考え方が、子どものやる気を失わせ、子どもの可能性の芽を摘んでしまうのです。
もちろん、どんな子でも頑張れば算数オリンピックで活躍できる、というわけではありません。しかし、学校で習う算数の範囲内なら、焦らず一歩一歩つまずきを解消していけば、どの子も必ず内容を理解できるものです。
ですから、ちょっとしたつまずきを取り上げて「この子は算数ができない」と考えるのではなく、もう少し長い目でお子さまの学習を見守ってほしいと思います。そうすれば、子どもは算数に苦手意識をもつことなく、自分なりに試行錯誤をしながら、のびのびと力を高めていけるはずです。
また、「謙遜で子どもを下げる」のも絶対にNGです。謙遜は非常に高度なコミュニケーションの方法で、子どもにはなかなか理解しがたいものです。