【状況別】「早く!」の代わりに使いたい “魔法の言葉”
発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家である加藤俊徳氏は、脳科学の観点から「早く!」の危険性を述べています。加藤氏によると、「『早くしなさい!』という指示は、『いまやっていることを、時間をかけずにやりなさい』ということを意味する」のだそう。これは、「脳をたくさん使わず、ちょこっとだけ使って、いまやっていることをパパッと終わらせなさい」と指示しているのと同じです。つまり、「早く!」と急かせば急かすほど「脳の情報処理が簡略化される」ということ。
加藤氏によると、時間をかけて物事に取り組むことで、情報が長いあいだ脳に留まるため、脳の成長につながるのだそう。考える力や集中力を身につけるには、処理にかかる時間が長くても、丁寧に行動することが大切なのです。加藤氏は、「遅いからといって親が手を出してしまうと、子どもの脳の活動の機会を奪ってしまうことに。焦らず見守ってあげましょう」とアドバイスしています。
【状況別】「早く!」と言いたくなったときの対処法
日常生活のなかで、「早く!」「急いで!」と言ってしまう場面はたくさんありますよね。そこで、「早くの代わりに言うべき言葉」「早くを言わずにすむ方法」「早くを言いたくなったときの思考の切り替え方」を、シチュエーション別に解説していきます。
■「早く起きなさい!」
睡眠の専門家でもある小児科医・成田奈緒子氏は、朝に無理やり起こされて、子どもが不機嫌になるのは当然だと話します。そんなときは、「子どもが絶対にご機嫌になる大好きなもの」を与えるのがおすすめです。そもそも朝起きられないのは、睡眠時間が足りていないから。寝る時間が遅い子は、その時間まで夢中になる大好きなもの(テレビやゲームなど)があるのではないでしょうか。成田氏は、それを朝にもってくるとよいと言います。「朝起きたら好きな動画を1本観られるよ」「朝食に大好きなバナナを食べようね」など、朝起きる楽しみを用意してあげましょう。
■「早く準備して!」
「あと5分で出発するよ。わかってる?」と子どもに聞けば、「わかってる」と答えるものの、急いで準備する様子が見られない……。教育評論家の親野智可等氏によると、子どもは「5分」という言葉の意味はわかっていても、その5分がどれくらい短いのか、自分はどれくらい急ぐべきなのか、ということまではわかっていないのだそう。そこで、子どもの行動を促す方法として親野氏が提案しているのが「模擬時計」