グローバル教育の専門家が推奨。「根拠のない自信」で子どもの自立を育てる3つの習慣
「いつかこの子は親離れする。そのとき、自分で人生を切り開いていけるだろうか?」——そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか。
米ハワイ州でバイリンガルスクールを運営し、25年間で5000名以上のグローバル人材を育ててきた教育家・船津徹氏は、「子育てのゴールは子どもを自立させること」と明言します。そして、その自立を支えるのは、特別な教育ではなく、日々の家庭での関わり方だと言います。本記事では、船津氏のインタビューをもとに、子どもの自立を育てるために今日からできる3つの習慣をご紹介します。
① 愛情を言葉で伝える——「根拠のない自信」が自立の土台に
子どもの自立に必要なもの。それは知識や技能だけではありません。船津氏がもっとも重視するのが、乳幼児期に親から得られる「根拠のない自信」です。
なにかができるから自信があるのではなく、自分の存在そのものに対する自信のこと。「なにがあっても、お父さんやお母さんは私を守ってくれる」という確信が、子どもの心の土台をつくります。
この自信を育てるために親ができることは、シンプル。「あなたが大切」「あなたには価値がある」「私はあなたの味方だ」——こうした愛を、日々の言葉や態度で伝え続けることです。
根拠のない自信をもった子どもは、失敗を恐れずチャレンジできます。チャレンジが成功体験を生み、「根拠のある自信」へと育ち、やがて自ら動ける「自立した人間」へと近づいていくのです。
家庭でできる愛情表現
- 結果ではなく存在を認める:「あなたがいてくれてうれしい」
- 失敗したときこそ味方に:「失敗してもあなたの価値は変わらないよ」
- 毎日のスキンシップ:抱きしめる、頭をなでる、目を見て話す
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② 気質をポジティブに捉える——一生変わらない「わが子らしさ」を強みに
「うちの子、落ち着きがなくて困る」「もっと積極的になってほしい」――こんな悩み、ありませんか?
船津氏は、子どもの「気質」に注目することが大切だと言います。
気質とは、生まれもった性質のこと。一生変わりません。活発な子どもは大人になっても活発で、慎重な子どもは大人になっても慎重なのです。だから、無理に変えようとせず、ありのままを受け入れて、いいところとして捉えることが大切です。
たとえば「落ち着きがない」は「好奇心旺盛で活発」、何時間もゲームをし続けるのは「人並み外れた集中力」とも言えます。見方を変えるだけで、短所が長所に変わるのです。
「いつも走りまわって落ち着きがない」と叱られて育つのと、「元気いっぱいですごいね!」と言われて育つのでは、その子の将来は大きく変わるはずです。
気質をポジティブに捉えるヒント
- 言葉を変換する:「頑固」→「意志が強い」、「おとなしい」→「慎重で思慮深い」
- 2歳頃を思い出す:「よく泣く子だった」「じっと人の話を聴いていた」など
- 気質に合った環境を選ぶ:活発な子には体を動かせる場所、慎重な子には安心できる場所を
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③ 才能を見極め、気質と合わせて伸ばす——無理のない成長を支える
「わが子になにか才能があるなら、しっかり伸ばしてあげたい」――親なら誰もがそう考えます。
船津氏は、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授の「多重知能理論」を参考に、子どもの才能を5つの領域に分類しています。STEM的才能(数字・パズル)、言語・博物学的才能(本・自然)、運動的才能(体を動かす・手先)、音楽的才能(歌・リズム)、アート的才能(絵・造形)です。
ただし、重要な注意点があります。才能を伸ばそうとするあまり、子どもの「気質」を無視してはいけません。たとえば運動的才能があっても、おとなしくひとりで過ごすのが好きな子に、集団スポーツを無理強いしても伸びません。その子には水泳や体操など個人スポーツの方が合っています。
才能を伸ばすヒント
- STEM的才能:ゲーム(オセロ、将棋)、プログラミング
- 言語・博物学的才能:多様な本・図鑑、動物園・博物館
- 運動的才能:キャッチボール、かけっこ、バランス遊び
- 音楽的才能:多様なジャンルの音楽、楽器
- アート的才能:画材、折り紙、ブロック、作品を飾る
大切なのは気質とのバランス。才能があっても、気質に合わない環境では伸びません。
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良好な親子関係が、子どものコミュニケーション能力を育てる
船津氏は、これからの時代にもっとも重要な技能として「コミュニケーション能力」を挙げています。仕事は人とのかかわりの中で成り立っている以上、コミュニケーション能力は必須です。
そして、子どものコミュニケーション能力にもっとも大きな影響を与えるのが、親子関係です。
親と仲が良くない子どもが、家庭の外でいい人間関係を築けるでしょうか。表面的に人と仲良くすることはできても、本当の意味での信頼関係は築けないでしょう。
子どもは、親の姿を見て学んでいます。親の言動から学んだことを、幼稚園や小学校という外のコミュニティーで実践しながら、自分なりのコミュニケーションの術を身につけていくのです。ベースにある親子関係が良好な子どもは、家庭の外でも比較的いい人間関係を築ける傾向にあります。
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社会環境がどのように変化しようとも、自ら人生を切り開いていくことができる「自立した子ども」を育てることが、子育てのゴールです。
そのために必要なのは、特別な教育プログラムや高額な習い事ではありません。日々の関わりの中で愛情を伝え続け、子どもの気質を理解し、才能を気質に合った方法で伸ばす——こうした何気ない習慣が、子どもの「根拠のない自信」を育て、やがて自ら動ける「自立した人間」へと導いていくのです。
(参考)
*1STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子育てのゴールは「自立」にあり。グローバル教育の第一人者が「根拠のない自信」を重視する理由
*2STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「気質」に着目すると「わが子らしさ」が生まれる。一生変わらないからこそポジティブに伸ばそう
*3STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの才能は「5つの領域」にあった。わが子の「強み」の見つけ方・伸ばし方【才能診断つき】
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