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「片付けなさい!」はもう言わない。年末の大掃除で、子どもの片付け力がグンと伸びる理由

「片付けなさい!」はもう言わない。年末の大掃除で、子どもの片付け力がグンと伸びる理由

年末ですね。大掃除の季節になると、「そろそろ子どもにも片付けを覚えてほしい」「何度言っても散らかしっぱなしで、結局私がやることになる」──そんなため息が出てしまう方も多いのでは?

でも、子どもが片付けられないのは、本当に “やる気がないから” なのでしょうか。

整理収納の専門家・飯田久恵氏(収納カウンセラー)へのインタビューを通して見えてきたのは、片付けは性格や根性の問題ではなく、理解の仕方と環境によって大きく左右される行動だということでした。

大掃除シーズンだからこそ、子どもの片付けを「叱る対象」ではなく、「育てる力」として見直してみませんか?

子どもが片付けられないのは「当たり前」な理由


大人にとって「片付け」は、散らかった状態を見て、自然に「元に戻そう」と判断できる行為です。でも、「子どもにとって片付けは、とても抽象的で難しい行動なのです」と飯田氏は指摘します。

たとえば、こんな判断を子どもは一度に理解することができません。

  • どこまでが「散らかっている状態」なのか
  • どのモノを、どこに、どんな順番で戻すのか

大人は無意識にやっていることでも、子どもにとっては「何をすればいいのかわからない」「どこから手をつけていいかわからない」という状態になりがち。ですから、子どもは「片付けなさい」と言われても動けません。


しかし、それを見て親は「やる気がない」「言うことを聞かない」と感じてしまう──ここにすれ違いが起こってしまいます。

ですから、片付けない子どもを「怠けている」と捉えるのではなく、「やり方がわからない」「判断材料が足りていない」状態として見ることが大切です。片付けは、気持ちや意欲だけでできるようになるものではありません。まずは「どうやるのか」を、子どもが理解できる形で経験していく必要があるのです。

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片付けは「習慣」ではなく「仕組み」で決まる


「片付けを習慣にしたい」と考える親御さんは多いですが、習慣より先に “仕組み” が必要だと飯田氏は強調します。その仕組みのなかでも、特に重要なのが「指定席」。

指定席とは「戻す場所」がはっきり決まっている状態のことです。



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指定席の例

  • このおもちゃは「この白い箱」
  • この文房具は「上から2段目の引き出し」

よくあるのは、こんなケースです。


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片付けにくい環境の例

  • とりあえず箱に入れる
  • 空いているところにしまう
  • 親の気分で収納場所が変わる

これでは、子どもは毎回「考える」必要があり、片付けのハードルが一気に上がってしまいます。では、子どもが片付けやすい環境とは、どんな環境でしょうか。


片付けやすい環境の3つの条件

  • 使う場所の近くに、しまう場所がある
  • フタを開ける、重ねるなどの動作が少ない
  • 毎回ルールが同じ

つまり、迷わず戻せる仕組みが整っている環境ということ。

ですから、「ちゃんと片付けなさい」と声をかける前に、”ちゃんと戻せる環境になっているか” を見直してほしいのです。片付けはしつけではなく、環境デザイン。この視点をもつだけで、親の関わり方もぐっと楽になります。

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↑毎日使うランドセルやかばんにも指定席を作り、机からもアクセスしやすく配置した例 *1


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年末の大掃除は「片付け力」を育てるチャンス!


さて、今年の大掃除は終わりましたか?もしまだ終わっていないなら、親子で一緒に大掃除をしてみましょう。

年末の大掃除というと、「一気にきれいに」「完璧に片付ける」イメージが強いかもしれません。でも、子どもにとってそれは負担が大きく、途中で投げ出してしまう原因にもなります。

大掃除は親子で一緒に、片付けのやり方を整える時間として捉えるのがおすすめです。

【年齢別】大掃除の進め方のコツ
子どもの年齢によって、できることは変わってきます。無理なく取り組める範囲から始めましょう。


【年齢別】取り組み方の目安

  • 3〜5歳:おもちゃ箱の中身を一緒に確認。「使うもの」「使わないもの」を分けるお手伝い
  • 6〜8歳:自分の引き出し1段を整理。
    学用品や文房具の指定席づくり
  • 9歳以上:本棚や机まわりを自分で整理。必要・不要の判断も子ども主導で
【今日からできる】大掃除の取り入れ方
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子どもと一緒にできる大掃除のポイント

  • 範囲を小さく区切る:「この引き出しだけ」「この棚だけ」と決めて、達成感を味わいやすく。
  • 「今日はここまで」と終わりを決める:「全部きれいに」ではなく、小さなゴールを設定します。
  • 親が隣で一緒に手を動かす:「見守る」だけでなく、一緒にやることで安心感が生まれます。
  • 「できた!」を言葉にする:「ここまで片付いたね」と具体的に認めてあげましょう。

「全部きれいにしよう」ではなく、「この引き出しだけ」「この棚だけ」と区切ることで、子どもは達成感を味わいやすくなります。

片付けを通して育つのは、整理整頓の技術だけではありません。自分で考えて動く力、モノを管理する感覚、そして「できた」という自己効力感が育ちます。



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よくある質問(FAQ)

Q1. 何歳から片付けを教え始めるのが良いですか?A. 2〜3歳頃から「おもちゃを箱に入れる」など、簡単な動作から始められます。大切なのは年齢ではなく、子どもが理解できる形で「戻す場所」を明確にすることです。最初は親が一緒にやって見せながら、徐々に子ども自身ができる範囲を増やしていきましょう。Q2. 指定席をつくっても、すぐに散らかってしまいます。どうすればいいですか?A. 指定席が子どもにとって「戻しにくい」場所になっている可能性があります。①使う場所から遠すぎないか、②フタや扉など動作が多すぎないか、を見直してみてください。また、収納スペースに対して物が多すぎる場合も、片付けのハードルが上がります。Q3. 年末の大掃除、子どもが途中で飽きてしまいます。
A. 一度に全部やろうとせず、「今日はこの引き出しだけ」「10分だけやろう」と範囲と時間を区切りましょう。子どもが集中できる時間は短いため、小さな達成感を積み重ねることが大切です。終わったら「ここまでできたね!」と具体的に認めてあげると、次への意欲につながります。Q4. おもちゃを捨てたがりません。どう対応すれば?A. 無理に捨てさせる必要はありません。「この箱に入る分だけ残そう」とスペースを基準にしたり、「1年使っていないものは考えてみよう」と一緒に選ぶ時間を作ったりすることで、子ども自身が判断する力を育てられます。親の判断で勝手に捨てるのは避けましょう。
***
子どもの片付けは、性格や根性の問題ではありません。
飯田氏の言葉から見えてくるのは、理解できること、戻せる環境、続けられる仕組みがそろって、はじめて片付けは身についていく、という事実です。

年末の大掃除をきっかけに、叱る片付けから、育てる片付けへ。完璧を目指さなくて大丈夫。親子で一緒に整える時間そのものが、子どもの「片付け力」を育てていくでしょう。

(参考)
*1 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもがモノを散らかしてばかりなのは、親が「○○」を決めていないから。
*2 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|勉強への集中力、学びへの興味を引き出す「片付けテク」を、収納カウンセラーが伝授!

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