習い事に “とりあえず”「水泳」が最強と言われる理由。じつは泳げる以上の価値がある
「習い事、何から始めるのがいい?」——子育て中の多くの家庭が抱えるこの悩み。候補にあがるのは、ピアノ、英語、体操、そして水泳。
なかでも水泳は、「とりあえず水泳」「みんなやっているから」——そんなイメージを持たれがちですが、じつは水泳は、発達・安全・学びの土台という点で、とても合理的な習い事でもあります。
水泳は、発達・安全・学びの土台という点で、とても合理的な習い事。「泳げるようになる」という目に見える成果だけでなく、体と心の土台をつくり、命を守る力にもつながるのです。
今回は、なぜ水泳が「最初の習い事」として選ばれ続けているのか、その5つの理由を解説します。
理由① 全身を使う運動で”発達の土台”をつくれる
水泳は、左右対称に体を動かす全身運動。体幹・バランス感覚・協調運動が同時に育ちます。
水泳が育てる3つの力
・体幹の安定:水の中で姿勢を保つことで、自然と体幹が鍛えられる
・バランス感覚:浮力の中で体をコントロールする経験が、バランス能力を育てる
・協調運動:手足を別々に動かしながら呼吸するという複雑な動きが、脳と体の連携を促す
特に幼児期〜小学校低学年は、「特定の技術」よりも、体の土台づくりが重要な時期。水泳はこの発達段階と非常に相性がよい運動です。
文部科学省の幼児期運動指針でも、幼児期は「運動機能が急速に発達し、体の基本的な動きを身に付けやすい時期」とされており、多様な運動を経験することの重要性が強調されています。また、水の抵抗を受けながら動くことで、筋力も自然に育ちます。陸上運動と違い、関節への負担が少ないため、成長期の子どもにも安全です。
- お風呂で水に慣れる:顔に水をかける、頭を洗うときに目をつぶる練習から始める
- プールの体験教室へ:いきなり入会せず、短期教室で子どもの様子を見る
- 焦らない:水が怖い子もいる。無理強いせず、子どものペースで進める
理由② 呼吸をコントロールする経験ができる
水の中では、息を止める・吐く・吸うといった呼吸のコントロールが欠かせません。
この経験は、自律神経の働きにも関係し、緊張とリラックスの切り替えや、気持ちを落ち着かせる力につながっていきます。
呼吸を意識的にコントロールすることで、以下のような力が育ちます:
・感情のコントロール:深い呼吸は、不安や緊張を和らげる効果がある
・集中力の向上:泳ぎながら呼吸のリズムを保つことが、集中力を育てる
・自律神経の調整:呼吸を整えることで、心身のバランスが整いやすくなる
これは、他の多くの習い事では得にくい水泳ならではの特徴です。
理由③「できた!」が目に見えて積み重なる
水泳は成長がとても分かりやすい習い事です。
水泳の「できた!」の段階
・顔をつけられた
・浮けた
・バタ足ができた
・5m泳げた
・25m泳げた
できることが段階的に増えていくため、「自分でできるようになった」という実感(自己効力感)が積み重なりやすいのです。この「できた!」の積み重ねは、子どもの自信につながります。また、水泳は級やタイムという形で成長が可視化されるため、目標設定もしやすいのが特徴です。
「昨日できなかったことが、今日できた」という体験は、子どもにとって大きな喜びです。この成功体験は、「努力すれば成長できる」という成長マインドセットを育てます。これは、水泳以外の学習や活動にも良い影響を与えます。
- 小さな進歩を記録:「今日は◯メートル泳げた」と記録し、成長を可視化する
- 結果より過程をほめる:「頑張って練習したね」と努力を認める
- 他の子と比較しない:「昨日の自分」と比べて成長を実感させる
理由④ 命を守る力につながる(日本ならでは)
日本は、川や海が身近にあり、学校の水泳授業も一般的です。水泳はスポーツであると同時に、命を守る力につながる生活スキルでもあります。
消費者庁の調査によると、子どもの水難事故は毎年一定数発生しており、その多くは「泳げない」「パニックになった」ことが原因とされています。
水泳を習うことで得られる安全スキル
・水に慣れる:水への恐怖心が減り、落ち着いて行動できる
・浮く感覚を知る:万が一の時に、パニックにならず浮いて待つことができる
・着衣泳の基礎:服を着たまま水に落ちた時の対処法につながる
これは、他の習い事にはない、水泳ならではの実用的な価値です。
- 水辺のルールを教える:「大人がいないときは水辺に近づかない」などの約束を決める
- 「浮いて待て」を練習:プールで、力を抜いて浮く練習をする
- ライフジャケットの着用:海や川では必ずライフジャケットを着ける習慣をつける
理由⑤ ほかの運動・学びに”波及”しやすい
水泳で育つ体力や心肺機能、姿勢の安定は、さまざまな場面の土台になります。
水泳が他の活動に与える影響
・他のスポーツ:体幹や持久力が、サッカーや野球などの基礎になる
・長時間座る学習:姿勢を保つ力が、集中して勉強できる体をつくる
・集中力の持続:呼吸のコントロールが、気持ちを整える力につながる
また、水泳は心肺機能を高める効果が高い運動です。心肺機能が高まると、疲れにくい体になり、日常生活での活動量も増えます。水圧のある状況で有酸素運動をする水泳は、酸素をたくさん吸収するため心肺を鍛えられます。
心肺機能が高まることで、スタミナがアップし、他のスポーツでも呼吸が楽になり、パフォーマンス向上につながります。水泳は、特定のスポーツに特化する前の「運動の土台」として優れています。幼児期から小学校低学年は、ひとつの競技に絞るよりも、さまざまな動きを経験することが推奨されています。水泳は、この時期の「多様な運動経験」のひとつとして理想的です。
よくある誤解を解く
誤解① 水泳だけやればいい?答え:いいえ
水泳は優れた習い事ですが、「水泳だけやればすべてOK」というわけではありません。
・外遊びや公園での遊びも大切
・ボール遊びなど、道具を使った運動も必要
・友達と自由に遊ぶ時間も重要
水泳はあくまで「運動の土台のひとつ」です。他の運動や遊びと組み合わせることで、より豊かな運動経験になります。
誤解② 週1回でも意味ある?
答え:あります
「週1回では効果がない」と思われがちですが、週1回でも継続すれば十分に効果があります。
特に幼児期は、「泳力向上」よりも「水に慣れる」「体を動かす習慣」の方が大切です。週1回でも、定期的に続けることで、体の使い方や水への慣れは確実に育ちます。
大切なのは「継続すること」。週1回を1年続けるほうが、週3回を1か月で辞めるよりもはるかに効果的です。
誤解③ 何歳からが正解?
答え:子どもによります
年齢別の水泳開始の目安
・3〜4歳:水に慣れる、楽しむことが中心。無理なく始められる年齢
・5〜6歳:泳ぎの基礎を学び始めるのに適した年齢。小学校入学前に泳げるようになりたい家庭に人気
・小学生以降:学校の水泳授業に対応するため、または本格的に泳力を伸ばすために始める
大切なのは、「子どもが嫌がらないタイミング」で始めること。早ければ早いほど良いわけではありません。
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水泳は、特別な才能を伸ばすための習い事ではありません。体・心・安全の土台を整える、”育ちを支える習い事”です。「最強」という言葉は万能という意味ではありませんが、最初のひとつとして選ばれ続けてきた理由は、確かにあります。
習い事選びに迷ったとき、「とりあえず水泳」という選択は、決して悪くありません。大切なのは、「なぜその習い事を選ぶのか」を理解したうえで、子どもの様子を見ながら続けることです。水泳は、その理由がはっきりしている習い事のひとつです。「泳げるようになること」だけでなく、「体と心の土台をつくること」「安全に生きる力を育てること」。そんな視点で水泳を捉えると、習い事の意味がより深く見えてくるのではないでしょうか。
(参考)
文部科学省|幼児期運動指針
消費者庁|子どもの水の事故を防ごう
JST RISTEX|子どもの「自己効力感」を高め、こころの健康を育む
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