「うちの子だけ?」小4で心が折れやすくなる子どもたち。10歳の壁を飛躍に変える親の接し方
「10歳の壁」という言葉を聞いたことはありますか?「急に反抗的になった」「友だち関係で悩むようになった」「勉強についていけなくなった」——小学4年生前後の子どもに起こるこうした変化に、とまどう保護者は少なくありません。
でも、発達心理学の専門家・渡辺弥生氏(法政大学教授)は「10歳の壁は、子どもが大きく成長する転換期。親の関わり方次第で、大きな飛躍のチャンスになる」と言います。この記事では、10歳前後の子どもをもつ親ができる3つのことをご紹介します。
「10歳の壁」とは?なぜこの時期に変化が起こるのか
「10歳の壁」とは、小学4年生前後(9〜10歳ごろ)に多くの子どもが直面する、学習面・心理面での困難や変化を指す言葉です。「急に勉強がわからなくなった」「友だちとうまくいかなくなった」といった悩みが増え、不登校やいじめが増加する時期とも重なります。
では、なぜ10歳前後なのでしょうか?それは、この時期に子どもの脳と心が大きく発達する転換期を迎えるからです。
10歳前後に起こる主な5つの変化
具体的なものから抽象的な概念が理解できるようになる
他者からどう見られているかを意識し始める
仲間集団の重要性が増し、比較や競争が始まる
算数の文章題、国語の心情理解など、抽象的な思考が求められる
劣等感、嫉妬、不安など、複雑な感情を経験するようになる
これらの変化は一見「困ったこと」に見えますが、渡辺氏は「これらは全て成長の証。
壁ではなく飛躍のチャンス」と語ります。
問題は、この変化を親がどう受け止め、どう関わるか。ここからは、親ができる3つの具体的なポイントを見ていきましょう。
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【親ができること①】自己肯定感を守る「親の基本」を徹底する
10歳前後は、自己肯定感が最も揺らぎやすい時期です。他者との比較が始まり、「〇〇ちゃんはできるのに、自分はできない」と劣等感を感じることが増えます。テストの点数、運動能力、友だちの多さ——あらゆることが比較の対象になり、子どもの心は傷つきやすくなっているのです。
だからこそ、親は「見返りを求めない関わり」を徹底する必要があると渡辺氏は強調します。
- 「〇〇してあげたのに」と見返りを求める
- ほかの子と比較する(「〇〇ちゃんはできてるのに」)
- 結果だけを評価する(テストの点数だけを見る)
これらの関わりは、子どもに「条件付きの愛情」を感じさせ、自己肯定感を傷つけます。
では、どうすればいいのでしょうか?答えは「無条件の受容」つまり「ありのまま」を認めること。結果ではなく、努力のプロセスを認め、失敗を責めないことです。
具体的な声かけ例
子どもが「自分はこのままでいいんだ」と思える安心感こそが、この時期を乗り越える土台になります。親は結果を求めず、ただそばにいて見守る——それが自己肯定感を守る「親の基本」なのです。
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【親ができること②】「あきらめない力」と「あきらめる力」両方を育てる
「あきらめない力」は大切。でも、「あきらめる力」も同じくらい大切——渡辺氏のこの言葉に、驚く方もいるかもしれません。
10歳前後は、子どもが自分で「決断する力」を育てる大事な時期です。粘り強さ(グリット)だけを教えていると、子どもは「やめてはいけない」と思い込み、心が折れてしまうことがあります。
「あきらめない力」は、困難に立ち向かう力。でも、時には「これは自分に合わない」「別の道を探そう」と決断することも必要。その判断ができる力が「あきらめる力」、つまり「決断力」です。
「あきらめない力」を育てる関わり
- 小さな成功体験を積ませる(少し頑張ればできることから始める)
- すぐに助けず、考える時間を与える(「ママがやってあげる」ではなく「どうしたらできるかな?」)
- 努力のプロセスを認める言葉をかける
- 子どもの「やめたい」を頭ごなしに否定しない
- なぜやめたいのか、一緒に考える
- 「やめる」選択も尊重する(「やめるのもひとつの決断だね」)
たとえば、習い事をやめたいと言われたとき。
「せっかく続けてきたのに、もったいない」と言いたくなる気持ちはよくわかります。でも、ここで大切なのは「なぜやめたいのか」を子ども自身に考えさせることです。
「本当につまらない?」「何が嫌なの?」「ほかにやりたいことがある?」——対話を通じて、子どもが自分で決断する力を育てましょう。そして、もしやめる決断をしたなら、それを尊重する。トライ&エラーを許す環境が、子どもの決断力を育てます。
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【親ができること③】変化を “おもしろがる視点” をもつ
最後に、最も大切なポイントです。それは、親自身が子どもの変化を「困ったこと」ではなく「成長の証」として “おもしろがる視点” をもつことです。
親の捉え方が、子どもの成長を大きく左右します。親が「困った、どうしよう」と不安になれば、子どももその不安を感じ取ります。逆に、親が「おもしろくなってきた!」と楽しめば、子どもも前向きに変化を受け入れられるのです。
【変化をおもしろがる視点の具体例】変化捉え直し反抗的になった→ 自立の始まり。自分の意見をもてるようになった証拠口答えするようになった→ 論理的思考が育っている。議論ができるようになってきた悩むようになった→ 思考が深まっている。自分で考える力がついてきた失敗が増えた→ 挑戦している証拠。安全圏から出て成長しようとしている
渡辺氏は「親が子どもの成長を発見する『観察眼』をもつことが大切」と語ります。
完璧を求めず、いまのありのままを認め、小さな成長を見つけて喜ぶ——その姿勢が、子どもに安心感を与え、さらなる飛躍を後押しします。
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よくある質問(FAQ)Q1. 10歳の壁は全ての子どもに訪れますか?
A. 個人差はありますが、多くの子どもが9〜11歳の間に何らかの変化を経験します。ただし、その程度や現れ方は子どもによって異なります。渡辺氏によると、発達の個人差を理解し、焦らず見守ることが大切です。
Q2. 「10歳の壁」の時期に不登校になったらどうすればいいですか?
A. まず無理に登校させようとせず、子どもの気持ちを受け止めることが大切です。スクールカウンセラーや専門機関に相談しながら、子どものペースを尊重しましょう。10歳前後の不登校は、環境の変化や学習内容の難化に適応できていないサインの可能性があります。
Q3. 勉強についていけなくなった場合、どうサポートすべきですか?
A. 結果を責めるのではなく、「どこでつまずいているか」を一緒に確認しましょう。
必要に応じて学習塾や家庭教師も検討しますが、最も大切なのは「わからないことは恥ずかしくない」という安心感を与えることです。小学4年生から算数の割合や理科の抽象概念が増えるため、つまずくのは自然なことと伝えましょう。
Q4. 友だち関係のトラブルにはどこまで介入すべきですか?
A. 基本的には子ども自身に解決させることが成長につながります。ただし、いじめや深刻なトラブルの兆候がある場合は、すぐに学校や専門機関に相談してください。10歳前後は友人関係が複雑化する時期なので、日頃から子どもの話をよく聞き、変化に気づける関係を築いておくことが大切です。
Q5. 「10歳の壁」はいつまで続きますか?
A. 一般的には小学5年生頃には落ち着いてくることが多いですが、個人差があります。適切なサポートがあれば、この時期を経て子どもは大きく成長します。渡辺氏は「焦らず、この時期を『飛躍のチャンス』として楽しむことが大切」と述べています。
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「10歳の壁」を乗り越えるために、親ができることは次の3つです。
特別なことは必要ありません。大切なのは、日常の関わりの質を高めること。「10歳の壁」は「10歳の飛躍」になる——渡辺氏のこの言葉を信じて、この大切な転換期を子どもと一緒に楽しんでみてください。(参考)
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