子どもをハグしていますか? 1日10秒で「心と脳」が育つ、親子スキンシップの科学
「子どもをハグしていますか?」忙しい毎日のなかで、つい忘れがちな親子のスキンシップ。でも実は、短時間のハグでも子どもの脳に大きな変化が起きることが科学的に証明されています。
愛着関係が強まる、学習能力が高まる、ストレスに強くなる——これらはすべて、親子のスキンシップで分泌される「オキシトシン」がもたらす効果です。
臨床心理士の鎌田怜那氏、心理学者の諸富祥彦氏、幸福学研究者の前野隆司氏へのインタビューをもとに、親子のスキンシップで分泌される「オキシトシン」の働きと、子どもの成長に与える効果、そして日常で取り入れやすい実践法をご紹介します。
スキンシップで分泌される「オキシトシン」とは?
オキシトシンは「愛情ホルモン」「幸せホルモン」オキシトシンは、脳の視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンです。「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、嬉しい、楽しい、気持ちいいと感じたときに分泌されます。
本来は分娩促進や母乳分泌のために働くホルモンですが、じつは親子のハグや抱っこでも分泌されることがわかっています。しかも、親と子の両方に分泌されるため、双方が幸せを感じ、絆が深まるのです。
スキンシップで幸福度が上がる科学的根拠
スキンシップが多いほど幸福度が上がるという研究結果があります。人間の脳は他人とスキンシップすることにより、セロトニンやオキシトシンなど「愛情ホルモン」を分泌します。その働きにより、人は安心感を得て幸せを感じられるのです。
親子のスキンシップがもたらす3つの科学的効果
では、オキシトシンが分泌されると、親子関係や子どもの心や体にどんなよい影響があるのでしょうか。研究によって明らかになった主な効果を見ていきましょう。
① 親子の愛着関係が強まる
オキシトシンには人との絆を深める作用があることで知られています。触れ合いによって親子双方のオキシトシンが増加し、愛着が形成されます。この愛着関係により、子どもは親を「安全基地」として認識するのです。
また、オキシトシンは他者への共感力も高めるため、将来の良好な人間関係の基盤となります。② 学習能力と記憶力が高まる
オキシトシンの分泌は、子どもの認知機能によい影響を与えることもわかっています。研究によれば、家族でのスキンシップが多い子どもは知能検査や自尊心のスコアが高い傾向があります。
これはオキシトシンが脳をリラックスさせ、集中力と記憶力を向上させるためです。安心感のある環境では、子どもの学習意欲も自然と高まります。
③ ストレスに強くなる
オキシトシンには、ストレスホルモンの分泌を抑制する効果があります。心拍数や血圧を低下させ、不安や恐怖を和らげるため、子どもはストレス状況でも冷静さを保てるようになります。
さらに、自律神経のバランスを整え、睡眠の質を向上させる効果もあります。
これらの作用によって、子どもの心身の健全な発達が促進されます。
今日からできる!親子のスキンシップ実践法
スキンシップは「甘やかし」ではない「スキンシップをすると子どもを甘やかすことになりませんか?」と心配する親もいますが、そんなことはありません。目一杯、スキンシップをして愛してあげればいい。親ばかになっていいのです。
また、「ママはあなたを愛しているのよ」と言葉で表現することも大切ですが、言葉よりも、肌の触れ合いを通じてのほうが、より多くの愛情が伝わるといわれています。
【実践法①】ハートハグでオキシトシンUP
子どもの年齢に関わらず、短い時間でも心のこもったハグには大きな効果があります。
- 朝の忙しい時間でも、ギューっと抱きしめる
- 帰宅時に「ただいま」と言いながら抱きしめる
- 寝る前に、抱っこをしながら子どものお話を聞く
大切なのは形よりも気持ち。子どもは親の心を敏感に感じ取ります。
「愛しているよ」「あなたが大切」という思いを込めた愛情たっぷりのハグで、子どもの心に安心と幸せを届けてあげましょう。
【実践法②】じゃれあい・タッチでオキシトシンUP
抱っこ以外にも、さまざまな方法でオキシトシンを分泌させることができます。体を使った遊びやタッチも効果的です。じゃれあい
- くすぐり遊びやこちょこちょ遊び
- 肩車や背中に乗せる遊び
タッチ
- 頭や背中を優しくなでる
- 手をつなぐ
- 髪を梳かしたり、髪を結んであげる
子どもの年齢や性格によって好きなスキンシップは異なります。お子さんが喜ぶ触れ合い方を見つけて、日常のなかに取り入れてみましょう。
【実践法③】絵本の読み聞かせでオキシトシンUP
自然と体が触れ合える「読み聞かせ」もおすすめです。肩が触れ合ったり、寄り添ったりしながら絵本を楽しむ時間は、特別なスキンシップとして意識しなくても自然にオキシトシンを分泌させます。
- 膝の上に座らせて読み聞かせる
- 横に並んで一緒に絵本を見る
- 寝る前の10分間の読み聞かせを習慣にする
絵本の読み聞かせは、スキンシップだけでなく、お子さんの想像力や言語能力の発達にも効果的。
忙しい日でも、短い絵本を1冊読むだけでも十分な効果があるので、無理なく続けられる習慣にしてみましょう。
- 形よりも気持ちが大切:「愛しているよ」という思いを込めて
- 短時間でもOK:1日10秒のハグでも効果がある
- 子どもが喜ぶ方法を見つける:年齢や性格に合わせて
年齢別スキンシップのポイント
親が積極的にスキンシップをリードすることが大切。この時期の十分な触れ合いが、基本的信頼感の土台を作ります。
この基本的信頼感があってこそ、子どもは安心して世界を探索し、自立への一歩を踏み出せるようになります。
子どもがスキンシップを求めているときに応えることが重要になります。特に子どもが不安や寂しさを感じているとき、親に甘えたいときに、温かく受け入れることで、子どもは「自分は大切にされている」という安心感を得られます。
スキンシップは甘やかしではなく、子どもの「心の栄養」です。自尊心や人への信頼感、自立心を育む重要な要素であることを理解しましょう。
スキンシップが苦手な親へ
スキンシップに苦手意識がある方もいらっしゃるでしょう。無理をする必要はありません。自分にとって自然と感じられる範囲から始めてみましょう。
小さなところから始められるスキンシップ例
- 横並びに座ってテレビを見る
- 帰り道に手をつなぐ
- 髪を優しくなでる
- 肩や背中を軽くトントンとする
- 手のひらを軽く合わせる「ハイタッチ」
こうした簡単なスキンシップでも、オキシトシンはしっかり分泌されます。スキンシップは親子それぞれの個性に合わせて、お互いが心地よいと感じる方法を見つけていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. スキンシップは1日にどのくらいすればいいですか?
A. 明確な基準はありませんが、短時間でも心のこもったスキンシップが大切です。朝のハグ、帰宅時のハグ、寝る前の読み聞かせなど、生活のなかに自然に取り入れられる範囲で十分効果があります。Q2. 子どもが大きくなってもスキンシップは必要ですか?
A. はい、必要です。
年齢に応じてスキンシップの形は変わりますが、思春期でも適切なスキンシップは親子の絆を保つために重要です。子どもが求めているときに応えることを意識しましょう。
Q3. スキンシップを嫌がる子どもにはどう対応すればいいですか?
A. 無理強いは禁物です。まずは小さなタッチ(ハイタッチ、肩ポンポン)から始めてみましょう。また、言葉や目線、笑顔でも愛情は伝わります。子どもの気持ちを尊重しながら、別の方法で愛情表現を試してみてください。
Q4. オキシトシンは親にも分泌されるのですか?
A. はい、親子双方に分泌されます。スキンシップによって親自身も幸せを感じ、子育てのストレス軽減にもつながります。親子ともに幸福度が上がる相互作用があるのです。
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愛情ホルモン「オキシトシン」が分泌されることで、子どもの心身の健全な発達に多角的な効果をもたらします。
スキンシップの目的は常に「子どもの心を満たすこと」。ぜひ毎日の生活のなかで、ほんの少しの時間でも子どもと触れ合う時間を意識してみてください。
完璧を目指す必要はありません。スキンシップが苦手な方でも、できる範囲の小さな触れ合いから始めましょう。小さな触れ合いの積み重ねが、子どもの心と体の健やかな成長を支え、未来へのエネルギーとなっていくのです。
(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「愛情ホルモン」オキシトシンが子どもの成長を促す!【臨床心理士監修】
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|ハグやスキンシップが苦手な親はダメですか?——愛着スタイルから考える子育てのヒント
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