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「春休みヒマ」と言わせておく勇気——予定を詰め込まない春休みが新学期の”心の体力”をつくる

「春休みヒマ」と言わせておく勇気——予定を詰め込まない春休みが新学期の”心の体力”をつくる

もうすぐ春休み。「せっかくの長期休み、何か有意義なことをさせなきゃ」と、習い事の体験教室や短期講習、お出かけの予定をぎっしり詰め込んでいませんか。

じつは、春休みに子どもが「ヒマ〜」とゴロゴロしている時間こそ、新学期を元気にスタートするための”充電期間”として欠かせないものだと、近年の研究が明らかにしています。

この記事では、「退屈」が子どもの脳と心にもたらす意外な効果と、予定を詰め込みすぎることのリスクについて、最新の研究をもとに解説します。

予定を詰め込みすぎた子どもに起きること


「空白の時間がもったいない」「周りの子はみんな春期講習に通っている」。そんな焦りから、春休みのカレンダーを予定で埋め尽くしてしまう保護者は少なくありません。

しかし、2024年にジョージア大学の経済学者Caetano氏らが発表した大規模研究は、こうした「詰め込み」に警鐘を鳴らしています。*1

この研究では、幼稚園児から高校生まで約4,300人の子どもの生活時間を詳細に分析しました。
その結果、習い事や学習塾などの「エンリッチメント活動」に費やす時間が一定量を超えると、学力向上の効果はゼロに近づく一方で、不安・抑うつ・怒りといったメンタルヘルスの問題が増加することがわかったのです。

小さいうちから予定を詰め込みすぎると、友だちと自由に遊ぶ時間や、ぼんやりする時間が削られ、社会性や感情調整力といった「非認知能力」の発達が妨げられる可能性があるのです。


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「ヒマな時間」に子どもの脳で起きていること


「退屈」と聞くと、なんだかネガティブな印象を持つかもしれません。しかし脳科学の視点から見ると、退屈な時間は子どもの発達にとって非常に重要な役割を果たしています。

デフォルトモードネットワークが動き出す
人間の脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる神経回路があります。これは、外部の刺激に集中していないとき、つまりぼんやりしているときに活性化するネットワークです。*2

ぼんやりする時間に活性化するDMNは、道徳的な判断力、自己認識、読解力、拡散的思考(アイデアを広げる力)といった能力と深く関連しています。つまり、何もしていないように見える時間にこそ、子どもの脳は「意味づけ」という高度な作業を行っているのです。


退屈が創造性のスイッチを入れる
退屈は、脳内のドーパミン(やる気や報酬に関わる神経伝達物質)を一時的に低下させます。この「ちょっと物足りない」という状態が、子どもに「何かおもしろいことをしよう」という探索行動を促すのです。*3

Child Mind Institute(アメリカの子どもの精神保健研究機関)の臨床心理学者Stephanie Lee氏も、退屈の教育的価値を強調しています。「退屈は、計画力、問題解決力、柔軟性、自己組織化のスキルを育てるのに役立ちます。普段、大人にスケジュールを管理してもらっている子どもにとって、”自分で何をするか決める” という経験は貴重です」*4


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春休みの「何もしない時間」が新学期の土台になる


ここまでの研究を踏まえると、春休みに子どもがゴロゴロしている時間は、単なる「ムダな時間」ではないことがわかります。では、具体的に「何もしない時間」は新学期に向けてどんな効果をもたらすのでしょうか。

心のエネルギーが回復する
学校生活は、子どもにとって想像以上にエネルギーを消耗する場です。
授業中の集中、友人関係の調整、ルールへの適応。こうした持続的なストレスから回復するために、休みの時間が必要です。

Immordino-Yangらの研究が示すように、内省的な時間を十分に取れた子どもは、動機づけが高まり、不安が軽減し、テストのパフォーマンスが向上し、将来の計画をより効果的に立てられるようになります。*2

非認知能力が育つ
予定のない時間に子どもは、自分で遊びを考え出し、試行錯誤し、ときには退屈に耐える経験をします。これらはすべて、忍耐力、自己調整力、創造性、主体性といった非認知能力のトレーニングになっています。春休みは、こうした「目に見えにくい力」を伸ばす絶好のチャンスと言えるでしょう。環境変化への適応力が高まる
新学期は、クラス替え、担任の交代、新しい学習内容など、子どもにとって大きな環境変化の連続です。春休みを予定で埋め尽くしてしまうと、子どもは「休んだのに疲れている」という状態で4月を迎えることになりかねません。
むしろ、たっぷりと「何もしない時間」を過ごした子どものほうが、新しい環境に適応するためのエネルギーを蓄えられるのです。

親自身も「何もしない」を実践する


子どもは親の姿をよく見ています。親がつねにスマホを触っていたり、忙しそうにしていたりすると、「何もしないのはよくないこと」というメッセージが無意識に伝わります。親自身がリラックスしてぼんやりする姿を見せることも、子どもにとっては大切なお手本になります。
***
春休みに子どもが「ヒマ」と言っている姿を見ると、親としてはつい焦ってしまうもの。でも、その「ヒマ」こそが、子どもの脳を回復させ、創造性を育み、新学期に向けた心の体力をつくっている時間なのです。今年の春休みは、あえて「何もしない時間」を大切にしてみませんか。

FAQ(よくある質問)
Q. 子どもがずっとゲームやYouTubeを見ていますが、それも「退屈から回復する時間」に含まれますか?

A. 研究が示す「回復につながる退屈」とは、外部からの刺激が少ない状態で脳のデフォルトモードネットワークが活性化する時間を指します。
スクリーンは常に外部からの刺激を与え続けるため、脳が内省モードに入りにくくなります。スクリーンタイムとは別に、「何もしない時間」を設けることが重要です。


Q.  ヒマと言われるとイライラしてしまいます。どうすればよいですか?

A.  ヒマは、子どもにとって「今から自分で何かを見つけ出す準備ができた」というサインでもあります。すぐに対処する必要はありません。「何か思いつくかもしれないから、ちょっと待ってみようか」と声をかけて、10〜15分ほど見守ってみてください。多くの場合、子どもは自分なりの遊びを見つけ始めます。


Q. 春期講習に通わせている周りの家庭と比べて不安になります。


A.  周囲に合わせて予定を増やすよりも、わが子の様子をよく観察し、「家族全体がストレスを感じていないか」を基準にすることが大切です。

*1 Caetano, C., Caetano, G., & Nielsen, E. (2024). Are children spending too much time on enrichment activities? Economics of Education Review, 98, 102503.
University of Georgia*2 Immordino-Yang, M. H., Christodoulou, J. A., & Singh, V. (2012). Rest Is Not Idleness: Implications of the Brain’s Default Mode for Human Development and Education. Perspectives on Psychological Science, 7(4), 352-364.
PubMed
*3 Mann, S. & Cadman, R. (2014). Does Being Bored Make Us More Creative? Creativity Research Journal, 26(2), 165-173.
Taylor & Francis Online*4 Child Mind Institute. The Benefits of Boredom.
Child Mind Institute
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