「うちはお金持ち?」「貧乏なの?」と聞かれたとき、親がしてはいけない3つの答え方
「ねえ、〇〇ちゃんちって、お金持ち?」「うちは貧乏なの?」——子どもに突然こう聞かれて、どう返したらいいかわからなかった、という経験のある保護者は少なくないはずです。
慌てて「そんなこと聞かないの!」と叱ったり、「うちは普通だよ」とごまかしたり、逆に家計の心配を口にしてしまったり。じつは、こうした親の反応のひとつひとつが、子どものお金に対する価値観や不安感の形成に影響していることが、発達心理学の研究からわかっています。
子どもはいつから「お金持ち・貧乏」がわかるのか
「子どもには経済格差なんてわからないだろう」——そう思っている保護者は多いかもしれませんが、研究の結果は違います。
発達心理学の文献レビューによると、3〜5歳の子どもはすでに、持ち物や服装から「裕福な人」と「貧しい人」を区別できることが示されています。*1さらに8歳前後になると、職業と収入の関係を大まかに把握し、理解できるようになります。
つまり、子どもが「お金持ち?」と聞いてくるのは、社会の経済的な差異に気づき、自分の家族の位置を確認しようとしている認知発達の自然なプロセスなのです。「なんでそんなこと聞くの」と驚くより、「育ってきたんだな」と受け止める視点が必要になります。
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やってしまいがちな「3つのNG反応」
NG①話題をそらす・叱る「そういうことは聞かないの!」「お金のことは子どもが心配することじゃない」——こうした反応は、子どもに「お金の話はタブー」というメッセージを届けます。
親子でお金についてどう話すか、あるいは話さないかは、子どものその後の金融行動やファイナンシャル・ウェルビーイングと関連することが示されています。*2 沈黙は子どもを守るのではなく、むしろ「お金は恥ずかしいもの・危険なもの」という歪んだ認知の土台になりえます。
NG②過度に詳しく話す
一方で、「じつはローンがあってね」「来月の給料が」など、子どもの年齢にそぐわない詳細な家計情報を共有することも問題です。これは「財務的なエンメッシュメント(Financial Enmeshment)」と呼ばれ、子どもに本来大人が担うべき経済的不安を背負わせることになります。*2
子どもはこうした情報を処理できるほど認知的に成熟しておらず、原因不明の不安や心配として体に蓄積していきます。
NG③他の家庭と比べる
「○○ちゃんちよりは普通だよ」「うちは中くらいだから大丈夫」——こうした比較の言葉は、子どもに「自分の家をランクで見ること」を教えてしまいます。
発達研究では、自分の家族の経済的地位を他者と比較する感覚(主観的社会的地位)が高まるほど、子どもの不安や行動上の問題と結びつく傾向があることも示されています。*1 比較ではなく、自分たちの家族の価値観を話す方向に切り替えることが大切です。
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では、何と答えればいいのか
発達段階に応じた「文脈を与えつつ、不安を植えつけない」答え方が理想です。
幼児〜小学校低学年の場合この年齢で必要なのは「安心」です。「うちはご飯も食べられるし、住む家もあるから大丈夫だよ」というシンプルな事実で、多くの子どもの不安は解消されます。「お金持ちかどうか」より「安全、安心な家族である」という確認が優先です。。
小学校中学年以上の場合「うちは○○に使えるお金はあるけど、△△はあまり多くない」「お金は何に使うかを考えて使うもの」という、具体的かつ価値観ベースの会話ができます。家族の経済的な選択(旅行より貯金を選ぶ、など)の理由を正直に話すことで、子どもは経済的意思決定の考え方を学びます。
研究では、子どもが自分からお金の話題を口にし、それに親が応答する会話の積み重ねが、子どもの将来的な経済的健全性と関連することが示されています。*3つまり、質問を「チャンス」として受け取ることが大切です。
「お金の話ができる家庭」が子どもに与えるもの
家庭内でお金について率直に、年齢に合った形で話せる環境は、子どもに「お金は扱えるもの」という感覚を育てます。これは単に経済リテラシーの問題ではなく、「未知のことに向き合える力」「計画して行動する力」という非認知スキルの育成とも深く結びついています。
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「うちはお金持ち?」という問いに、完璧に答える必要はありません。「いい質問だね、家族のお金のことちゃんと話してみようか」——そのひとことが、お金と上手に付き合える子どもへの第一歩になります。
FAQ(よくある質問)
Q. 「うちは貧乏?」と聞かれて、正直に困っていると言ってもいいですか?
A. 状況を年齢に合わせて伝えることは大切ですが、「どうなるかわからない」など親の不安をそのまま伝えるのは避けましょう。「いまは節約しているけど、○○はしっかり用意してあるよ」など、現状の事実+安心できる情報をセットにするのがポイントです。
Q. お金の話は何歳から始めればいいですか?
A. 子どもが「これほしい」「なんで買えないの」と言い始める3 〜 4歳が、お金の話を始める自然なタイミングです。「何でも買えるわけじゃないよ」「今月のおやつ代はここまでにしよう」など、生活のなかでの小さな会話が積み重なって、金融感覚の土台になります。
Q. 友達の家と「格差」を感じ始めた子どもへ、どう話しますか?
A. 比較よりも「価値観」の話をしましょう。「○○ちゃんちと違うのは、うちはこういうことを大事にしているから」という説明は、子どもが自分の家庭をポジティブに理解する助けになります。「うちは旅行より家での時間を大切にしてるから、その分〇〇に使ってる」など、選択の理由を話せると理想的です。
(参考)
*1 | British Journal of Developmental Psychology|Children’s developing understanding of economic inequality and their place within it(Dickinson, 2023)
*2 | Center for Retirement Research|Parents Pass (Bad) Money Habits to Kids
*3 | PMC|Financial Socialization: A Decade in Review(2020)
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