反抗期がないわが子、本音は言えてる? 4タイプと見分ける3つの質問

反抗期がないわが子、本音は言えてる? 4タイプと見分ける3つの質問

「うちは反抗期らしい反抗期がなくて」「素直でいい子なんです」「でも、本音を言ってるのかな」

小学校高学年から中学生にかけては、まわりの子が「うざい」「別に」と言いはじめる時期。そんななか、わが子だけが穏やかなままだと、ほっとする一方で「このままでいいのかな」と気になりますよね。

著書『親子共依存』では、「うちの子、反抗期がありません」という保護者の声がここ数年増えていると書かれています。(教育評論家、尾木直樹氏)*1第2次反抗期は、早い子で小学校中学年くらいから始まり、高校生頃までに落ち着く傾向があるそうです。(和洋女子大学こども発達学科教授、大神優子氏)*2ただ、すべての子に訪れるわけではありません。

「反抗期がない」子のなかには、言いたいことを言えているから衝突しない子もいれば、言えずに飲み込んでいる子もいます。見るべきなのは反抗の有無ではなく、子どもが自己主張を「出していないのか、出せないのか」。4つのタイプから、わが子の状態を確かめてみましょう。


反抗期の正体は、「親と自分は違う」と気づいて外に出すことです


反抗期というと、口が悪くなったり不機嫌になったりする姿を思い浮かべがちです。けれどこどもまなびラボの「思春期と反抗期の違い」の記事でお伝えしたとおり、親離れや反抗期は「大人になっていくという過程の一部」。(精神科医、菊池秀明氏)そして反抗期は、「親の考えや価値観が自分とは違うと気づくことから始まる」と述べています。(精神科医、大下隆司氏)*3

「うざい」と口にするかどうかは、その出し方のひとつにすぎません。「本当に穏やかに育って反抗期がないという子どもも存在します。それは、子どもの欲求を上手に親が受け止めていた場合です」と話します。(アンガーマネジメントの専門家・早稲田大学教育学部教授、本田恵子氏)*4

一方で、反抗期がない子が増えている理由として、「反抗したくても、親のコントロールや押さえつける力が強い」場合と、「子どもが親に対して反抗する必要がない」場合のふたつが挙げられています。(京都女子大学教授・臨床心理学専門、正木大貴氏)同じ「反抗期がない」でも、中身は正反対。
ここに「外で出している子」と「親が先回りしている子」を加えると、4つのタイプに分けられます。
反抗期がないわが子、本音は言えてる? 4タイプと見分ける3つの質問


反抗期が来ない子の4タイプを1枚の表にすると、違いは「自己主張の行き先」です

タイプ自己主張の行き先親が見るポイント1. 穏やかに通過している家でも外でも、言葉で出している親と違う意見を言った場面を、最近のことで思い出せる2. 外で出している家の外(友だち・部活・学校)外で誰かと意見がぶつかった話を、本人の口から聞いたことがある3. 言えずに飲み込んでいるどこにも出ていない(本音は本人のなかに)「どっちでもいい」「お母さんが決めて」が多い4. 親が先回りして衝突が起きない出す場面が生まれていない子どもが決める前に、親が「こうしたほうがいいよ」と言っている

4つのタイプは、それぞれ起きていることが違います

タイプ1. 穏やかに通過している子は、言いたいことを言えています
「それは違うと思う」「私はこっちがいい」と家で言える子は、反抗期がなくても、自己主張は育っているとみてよさそうです。反抗期がないからと不安になる必要はないとしたうえで、「代わりに自分の言動はつねにチェックしてほしい」と念を押しています。(アンガーマネジメントの専門家・早稲田大学教育学部教授、本田恵子氏)子どもの言い分を最後までさえぎらずに聞けていれば、穏やかなままでも自立は進んでいくでしょう。

タイプ2. 外で出している子は、親離れが家の外で先に進んでいます
「家ではおとなしいのに、部活では先輩と言い合ったらしい」「友だちとの約束を、家の予定より優先するようになった」。自己主張の相手が、親から友だちや先生へ移っているのかもしれません。反抗の矛先が外に向いているだけで、親離れはむしろ順調に進んでいると考えられます。

「家でも話してほしい」と追いかけすぎなくて大丈夫。
外でぶつかった話が出たら、評価をはさまずに最後まで聞けば十分です。

タイプ3. 言えずに飲み込んでいる子は、「いい子」の顔の裏で本音を止めています
「頼まれたら断らない」「どっちでもいい、としか言わない」「叱られる前に、こちらの顔色を見る」。こうした子にも、本音はあるもの。出していないのではなく、出せないのです。親に反抗しない・できない子どもについて、「親を恐れて全く反発できない。親や仲間に気を遣い過ぎて何も言えない」「家や学校で良い子を演じてしまう」と危惧しています。(精神科医、菊池秀明氏)

飲み込む癖は、親が怖いときだけに生まれるとは限りません。ほめられてばかりいる子は親にほめられることを優先しやすく、繊細で大人の顔色をうかがう子ほど、その傾向が強いとのこと。
(医師・臨床心理士、田中茂樹氏)*5素直で親の言うことをよく聞く「いい子」ほど、心の問題を抱えがちだと注意を呼びかけています。(精神科医、鍋田恭孝氏)*6日本の子どもは、自己主張すべき場面でも抑制すべき場面でも、どちらも抑制する傾向があると分析されています。(教育学者、佐藤淑子氏)*7友だちにNOと言えない子は、親にも本音が言えない場合が多いようです。*8

タイプ4. 親が先回りしていると、ぶつかる場面そのものが生まれません
「進路も服も一緒に決めるから、揉めたことがない」「何でも話してくれる仲良し親子です」。このタイプは、子どもが本音を止めているのではなく、本音をつくる前に親が答えを出してしまっている状態です。10歳頃の反抗期に「こうしたほうがいいよ」と親の理想を押しつけると、お手本どおりの解答はできても、独自性のない子に育ってしまうと語っています。(アンガーマネジメントの専門家・早稲田大学教育学部教授、本田恵子氏)

仲のよさが、衝突の場面を消してしまうことも。「擬似姉妹」のような母娘関係の親は、自律的に動き出した子を無意識のうちに引き止めようとする傾向がある、と指摘しています。
(鷗友学園女子中学高等学校 名誉校長、吉野明氏)親がいつも先に答えを出し、いつも同じ側に立っていると、子どもは「違い」に気づく場面を持てなくなってしまいます。

反抗期がないわが子、本音は言えてる? 4タイプと見分ける3つの質問


必要なのは反抗ではなく、「違う」と言える場面です


タイプ3や4にあてはまったら、家のなかに「違う」と言える場面を少しずつ増やしていけば十分です。子どもがなにかを言いだしたら、最後までさえぎらずに聞く。それが「子どもをひとりの人格を持つ人間として考えることの証明」になるからだそうです。(アンガーマネジメントの専門家・早稲田大学教育学部教授、本田恵子氏)意見を引き出したいときは、「どう思う?」のようにYES・NOで答えられない問いを投げかけるのがコツだとアドバイスしています。(『世界最高の子育て』著者、ボーク重子氏)「いい子だね」が評価の言葉なら、「そう思うんだね」は受け止めの言葉です。***

どのタイプでも、今日からできることはひとつだけ。夕食の席で「どう思う?」と聞いて、答えが出るまで黙って待ってみてください。
「それは違う」と返ってきたら、それが自己主張の第一歩です。

FAQ(よくある質問)
Q. 反抗期がないまま大人になると、本当に問題が出ますか?

A. 反抗期がなかったという事実だけでは決まりません。押さえつけられて反抗できなかった子は、大人になってどこかで爆発する可能性があるという指摘もあります。(京都女子大学教授・臨床心理学専門、正木大貴氏)分かれ目は、子どもが「違う」と言えていたかどうか。


Q. 親には反抗しないのに、学校の先生には口答えするそうです。どう考えればいいですか?

A. タイプ2(外で出している)にあたり、自己主張の力は育っていると考えてよいでしょう。14、15歳頃の反抗は、大人や世のなかの価値観に「なぜ?」と疑問を持ちながら大人になっていくためのものと説明しています。(アンガーマネジメントの専門家・早稲田大学教育学部教授、本田恵子氏)人を傷つける言い方だけは、「そういう言い方をされると悲しくなる人がいるよ」と伝えてあげてください。



Q. 何を聞いても「どっちでもいい」としか言いません。本音を聞き出すには?

A. 「どっちがいい?」の二択ではなく、「どう思う?」のようにYES・NOで答えられない問いを投げかけるのがコツだといいます。(『世界最高の子育て』著者、ボーク重子氏)答えが出るまでの沈黙は、親が埋めずに待ちましょう。意見が出てきたら、内容より先に、言えた勇気を認めてあげてください。


Q. 「友だち親子」と言われます。仲がいいのはよくないのですか?

A. 仲のよさ自体は問題ではありません。親は友だちではなく「子どもという選手のコーチ」になる、という提案があります。(子育てコーチングの専門家・NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事、菅原裕子氏)共感を示しながらも、決めるのは子どもに任せる。その線が引けていれば、仲のよい親子のままで大丈夫です。


(参考)
*1 尾木直樹(2015),『親子共依存』, ポプラ社.
*2 こどもまなびラボ|思春期と反抗期の違いとは?「口が悪くなる男の子」「不機嫌になる女の子」の対処法
*3 こどもまなびラボ|反抗期がなくて安心!?「友だち親子」に訪れる、危険な “親子共依存”
*4 こどもまなびラボ|「10歳の反抗期」に親がすべきこと。子どもは親の思いどおりには育たない!
*5 こどもまなびラボ|「褒められ依存症」になってない?ズルをする・本番に弱くなる子どもたち
*6 鍋田恭孝(2015),『10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと』, 講談社.
*7 佐藤淑子(2001),『イギリスのいい子 日本のいい子 自己主張とがまんの教育学』, 中公新書.
*8 こどもまなびラボ|我慢と自己主張のバランスーー日本と世界の「いい子」はこんなに違う!


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