「お金をかける=良質な体験」とは限らない。かえって子どもの選択を狭めることも…親が注意したいこと
\親が知っておくべき「子育てで本当に大事なこと」/
度々話題になる子どもの「教育格差」や「体験格差」。非認知能力を育むために、子どもの「体験」は重要なことです。
では、そもそも豊かな「体験」とはどんなものなのか、体験によって何が変わってくるのか―――。現代で子育てに関わるすべての大人が知っておきたい「子育ての新しい教養」が詰まった一冊です。
今回はお金をかけることと体験の質について、書籍『子どもの生きる力をのばす5つの体験 答えのない子育てで本当に大事なこと』(辰巳出版)から一部抜粋してお届けします。
書籍『子どもの生きる力をのばす5つの体験』
お金をかけることは「体験の質」の保障にはならない
※画像はイメージです
第2部では自分だけが持つ「意味の世界」を広げ、よい「文化」を築いていくために必要な5つの体験(自然体験、本物体験、没頭体験、失敗体験、成功体験)について、第3部ではそれらの体験を支えるために大人が覚えておくべきことをお伝えしてきました。
私たちは、家族で遠出をする経済力や時間の余裕がなければ、自然体験や本物体験はなかなかできないと思いがちです。優秀な指導者のもとで習い事をさせなければ、成功体験やいい意味での失敗体験、あるいは没頭体験はなかなかできないとも考えがち。
もちろん旅行をして普段生活しているのとは異なる場に出向くことや子どもが興味を持った習い事に通わせることは、今までにない体験をするいい機会となり、子どもは多くのことをそこで学ぶでしょう。
ただ、そうしなければこれらの体験ができないというわけではない、というのが本書の眼目です。普段の生活の中で当たり前のようにやっていることが、実は質の高い体験につながっていることも多々あるのです。体験の質は、お金をかけるかかけないかで決まるものではありません。
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お金をかけることで、体験の機会を増やすことはできるかもしれません。多忙な親であれば、自分が働いている間に習い事に通わせることも体験の機会の確保にはなるでしょう。ですが、お金をかけることが体験の質の向上になるとは限らないのです。どれだけ人気のある習い事、有名な指導者でも、子どもが心から楽しめる体験でなければ、心に残り、あとで活きてくるものにはならないからです。
また、何もかも整えられた環境は、子ども自身の選択をかえって減らし、大人の設定した枠の中の体験にすぎなくなります。