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子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは

マイナビ子育て
この記事は、2024/03/11に掲載した記事の再掲載です。

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは


もうすぐ新学期。小学校入学や進級を機に「鍵っ子」となり、子どもだけで留守番をする機会が出てくるご家庭もあるでしょう。

子どもだけが自宅にいるとき、しっかり施錠する・インターフォンや電話には出ない・火は使わない……など、さまざまなリスクを想定し、安全を守るためのルールなどを話しておくことはとても大切なことです。

では、イレギュラーなことが起きた場合のことはどうでしょう。例えば地震――

子どもだけでいるとき、大地震発生!!


学校生活の中で災害が起きたら、先生方が児童たちの避難誘導などをしてくれます。また、自宅でも保護者いれば子どもを守る行動が取れるでしょう。

一方、子どもだけでいるときに地震が起きたら……。


今回は『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』(文・監修:清永奈穂、絵:石塚ワカメ、岩崎書店)を参考に、地震発生時に子ども自身が身を守るための術を考えてみましょう。

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは


買い物へ出かけたお母さん。兄妹たちは家に残り、ゲームをしたりお絵描きをして留守番をしています。

ふと、カタカタと小さな揺れに気付いた……次の瞬間

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは


寝そべっていたソファーが動き、本が棚から飛び、天井から吊るされているライトがぐるぐる回ってちぎれ、窓のガラスは割れ、食器が落ちて割れ、ドアは歪んで開かなくなり……

いつも家族が過ごしていた家の中は、一瞬にして様変わりします。

「どどど どうしよう!?」
「こんなとき どうすればいいのかな!?」

震え、涙を流しながら向き合う兄妹。兄が「そういえば」と、あることを思い出します。

がっこうでいってた! ゆれはじめの8秒で うさぎ・ねずみ・かめさんのポーズになるのがだいじだって!!


地震には、「起こったとき」→「揺れる中での避難のとき」→「避難生活のとき」という「3つのとき」があります。この中の、地震が起こった直後の「起こったとき」に「8秒間」で身の安全を確保する方法、それは「3つの合言葉」と「3つの動物のポーズ」です。


① “うさぎさん”のポーズで さがして


倒れないように、“うさぎさん”のように低い姿勢で、すばやく逃げる場所を探します。

② “ねずみさん”のポーズで はしって


“ねずみさん”のようにからだを低くして、安全な場所にすばやくもぐり込みます。なにもない“部屋のすみ”も安全です。ふだんから安全な場所を確かめておくと、すぐに「ねずみ」で逃げられます。

③ “かめさん”のポーズで まもるんだ

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは


からだを小さく丸めて、手足を“かめさん”のように引っ込めます。「首のうしろ」を守るよう手で覆い、揺れなくなるまでこのままがんばろう!

大地震は「カタカタ」から「ガタガタガタドーン!!」になるまで8秒……だから、地震に気がついたらその8秒の間に、あわてないで
うさぎで「さがして」
ねずみで「はしって」
かめで「まもるんだ!!」

なぜ、「8秒」なのか
最初の揺れの到達から大揺れの到達までの時間は、震源に近いか遠いかによって時間が異なります。直下型地震のように震源が近い場合は1~2秒のこともあり、遠い場合は10秒以上のこともあります。この絵本では、1995年の阪神淡路大震災および2007年の能登半島地震の罹災経験者等への聞き取り調査(文部科学省科研費GP研究)等を参考にしながら、「8秒」を安全な場所に身を移す目安にしました。
罹災経験者に聞くと、まずカタカタという揺れが3~5秒ぐらいあり、すぐにその後、ガタガタガタタタタと強い揺れが2~3秒続いたという体験を語られる方が多くいました。絵本ではこの「8秒」を目安に、この間に「安全な場所への移動」ができるように伝えています。

その後、大きな揺れを2人きりで耐え抜いた子どもたち。

「おかあさんだいじょうぶかな」
「ちょっとだけおそとをみてみようか……」

不安な気持ちが押し寄せますが、学校の先生やお母さんの普段からの言いつけを守り、部屋の隅でじっと二人で肩を寄せ合います。

そして……

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは
母子は無事合流し、避難場所へ向かうのでした。

※『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』(文・監修:清永奈穂、絵:石塚ワカメ、岩崎書店)より一部抜粋・再編集

著者・清永奈穂さん「大地震が起きたとき、子ども自身の力がとても必要」


子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは


子どもだけでいるときにもしも大地震が起きたら、
・自分で判断して安全なところににげる
・揺れを耐える
・その後を生き延びる
など、子ども自身の判断力と行動力がとても大切です。

子どもが自らの判断で安全な場所に移動し、安全を確保しなければなりません。しかし、子どもたちに「逃げろ」と言うだけでは、ただただ走りまわるだけになります。
そのため、事前準備が必要となります。

❶ 自ら判断し、安全な場所に移動する
「地震だ、パン!」いう掛け声をきっかけに、『ウサギさん』のように頭上や周囲を素早くクルリンと見回し、「危ないモノが飛んでこないか・落ちてこないか」を察知。そして、安全な避難場所に逃げ込む……という練習をします。

❷ サッと素早くテーブルの下や部屋の隅に走りこむ
次に、『ネズミさん』のようにサッと素早くテーブルの下や部屋の隅に走りこみます。体を低くして、“素早く”です。『ウサギさん』のように周りを見渡し、『ネズミさん』のようにシュルシュルッと安全なところまで逃げ込めたら、「よくできたね!すごい!」とほめてあげてください。この❶から❷まで8秒間で終えなくてはいけません。

❸ 自分の体を守り、揺れがおさまるのを待つ
安全な場所に逃げ込んだ後、そこで『カメさん』のように手も足も引っ込めて、しっかり首根っこや体全体を守ります。

・体の面積を小さくする
・首の後ろを守る
この2つがポイントです。
揺れだけでなく、音も子どもの恐怖心を煽ります。どんなにまわりで大きな音がしても、安全な場所にいれば音では死にません。そして地震は必ず止まります(余震がまたあるとしても)。そのこともぜひ伝えてあげてください。
なお、『カメさん』だけではなく、
・『コアラさん』のように硬いしっかりした物にしがみつく
・『イモムシさん』のように、壁のへりに沿って体を伸ばす
というポーズもあります。東日本大震災の時、小2だった私の娘は下校時に地震に遭い、ガードレールにしがみついて揺れをしのぎました。こうしたポーズを地震の時に実行できるように身につけるには、前もって何度も練習することが必要です。
ただ机の下に潜ってみる、というのではなく、「地震だ、パン!」という掛け声をもって瞬発的な動きもシミュレーションすることで、とても効果的に学習が進みます。

⚫️ 揺れがおさまったら……
地震発生時を怪我なく乗り切ることが第一関門ですが、大地震は起きた後も生活に影響を残します。子どもが大丈夫でいられるように、日頃から子どもが把握し使用できる状態で食料、水、トイレを準備しておくことが必要でしょう。また、お友だちの家族に助けを求める、コンビニなどに逃げ込む、などほかの方法も考えておくことも大事です。
そして、もし一人で避難所に行くようなことがあれば、暗い所や人気のない所に連れていかれないようにする、肌を見せない、防犯ブザーなどで自分を守る、など犯罪に対する力もつけておきましょう。
(清永 奈穂)

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『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』の中ではほかにも、子どもを守る防災情報が詰め込まれています。

✅ クイズ
8秒間で動くための、家の中のイラストを見ながら、安全な場所・危ない場所を確認できる
✅ おさんぽあんぜんマップ
地図を見ながら、大地震が起きたときに自分の住む町のどこが“危険な場所・もの”になるか、親子で確認できる
✅ 地震から「命」を守るために、知っておきたいポイント5
ふだんの心がけ、子どもにできる合言葉と動物のポーズ、初期動作の練習方法など要点を学ぶことができる

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは

マイナビ子育てママ編集者より


我が家には2人の息子がおり、どちらも小学一年生から鍵っ子。普段はさほど大きな問題もなく過ごしていますが、大きな不安の一つに “親がいないときに地震が起こること” があります。
大人でさえパニックになるのに、ましてや子どもだけだったら……考えるだけでゾッとします。
「地震が起きたらテーブルの下に潜るんだよ」などと言ってはみるものの、どのぐらい素早く行動できるか、潜ったらどんな姿勢をとるのか、テーブルが近くになかったどうするのかなど、具体的には想定できていません。また、もし私たち親がすぐに家に帰って来れなかった場合は、子どもが自ら家を出て避難しなければならない事態も考えられます。地震が起きたら、家の外にも危険がいっぱいです。どんな場所やものにリスクがあるのかも知らせておかなければいけないでしょう。
命を守るためのとっさの行動、そしてその後安全に生き抜くために必要な行動を、本書ではわかりやすく覚えやすい言葉やイラストを使って伝えてくれます。何度でも、子どもの頭と心に浸透するまで繰り返し一緒に読みたいと思いました。(マイナビ子育て編集部・K)

子どもだけで留守番中、大地震発生…幼い兄妹が命を守り、母親と無事再会できた“3つの合言葉”とは
この記事の監修者清永奈穂
NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事
株式会社ステップ総合研究所所長
こども家庭庁こども家庭審議会基本政策部会臨時委員
日本女子大学学術研究員
教育学博士

2000年にステップ総合研究所を設立。犯罪、いじめ、災害などから命を守るための研究に取り組み、大学などの研究員や政府、自治体等の委員会委員なども務める。各地の自治体、幼稚園、保育園、小学校などで独自の体験型安全教育を行っている。著書に『犯罪から園を守る・子どもを守る』(単著メイト社)、『犯罪からの子どもの安全を科学する』(共著ミネルヴァ書房)、『いやですだめですいきません親が教える子どもを守る安全教育』(著、岩崎書店)、『あぶないときはいやです、だめです、いきません子どもの身を守るための本』(著、岩崎書店)、『おおじしんさがして、はしって、まもるんだ子どもの身を守るための本』(著、岩崎書店)、『危険から身を守る学校・通学路・遊び場・家』(監修/一部岩崎書店)など。

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