「赤点4つの落ちこぼれ高校生」が京大院卒⇒一流企業を1年で退職した理由。高学歴YouTuberはなぜ勉強嫌いの気持がわかるのか
YouTubeや書籍を通して、子どもたちに「分かる楽しさ」を伝え続ける教育クリエイター・あきとんとんさん。動画や書籍を中心に教育コンテンツを制作し、それを生業としていますが、もともと教育の道を志していたわけではありません。
その授業が「分かりやすい」「前向きになれる」と支持される背景には、自身の“つまずきだらけの学生時代”が深く関係しているといいます。
なぜ一流企業を辞め、あえて不安定な道を選んだのか。そして、“勉強ができなかった側”の経験が、なぜ今の活動につながっているのか。その歩みをたどります。
『だれでもすぐに算数が得意になる本』Gakken
大阪で育ったあきとんとんさんは、小・中学生の頃は「授業中によく注意されるタイプ」だったと振り返ります。
「先生の授業中でもしゃべってしまって、よく怒られていましたね」
時には授業中に立ち歩いて、友達に勉強を教えに行ってしまうこともありました。
一方で、勉強そのものが嫌いだったわけではありません。
テストで高得点を取ると、先生や友達、そして親に褒められる。その「認められている感覚」が、当時のあきとんとんさんにとって、勉強を続ける大きな原動力になっていました。
ところが、高校へ進学すると、状況は一変します。
高校1年生の最初の中間テストで、赤点が4つという結果を突きつけられました。
「中学校なら、ちょっと勉強すれば取れていた。でも高校では、塾にも行っていなかったし、授業もちゃんと聞いていなくて、全然取れなかったんです」
このとき、「完全に落ちこぼれた」という感覚を強く抱いたといいます。
次第に周囲からも「勉強ができないキャラ」と見られるようになり、自分自身も「もう頑張らなくていいや」と思い込むように。
とはいえネガティブだったわけではなく、高校生活は楽しく過ごしていたそう。
ただ、勉強をしなくなっていたため成績はどんどん下降していきました。
再びスイッチが入ったのは、高校2年生のとき。担任の先生との面談がきっかけでした。
大学には「当然進学するつもり」だったあきとんとんさんですが、志望校を先生に伝えると「今の成績じゃ無理だよ」と厳しい一言。
「その瞬間、すごく悔しくて。負けず嫌いな気持ちが一気に出て、『見返してやろう』とスイッチが入りました」
そこから生活は一変。
同級生が平日1時間勉強しているなら、自分は3時間する。クラス順位で一番を取ろうという目標を設定して、コツコツと机に向かう日々を積み重ねたといいます。
その結果、成績は徐々に上向き、最終的にはクラス上位までに伸びていきます。
大学受験まで地道に努力を続け、みごと立命館大学に進学しました。
そして大学時代のアルバイトが、現在の活動につながっていきます。
大学時代、あきとんとんさんは学習塾で講師のアルバイトを始めます。
そこで出会ったのが、「勉強する意欲はあるのに、家庭の事情や金銭的な理由で授業数を増やせない生徒」でした。
「もっと他の授業も受けたいのに、家庭の事情や授業料の関係でコマ数を増やせない子は少なくありませんでした。それで、『じゃあYouTubeに授業動画をあげるから、それを見てみてよ』みたいな感じで、勉強系動画を作り始めました」
YouTubeを始めたきっかけは、「有名になりたい」「稼ぎたい」といった動機ではなく、ただ目の前の生徒の「やる気」を、できる限り生かしてあげたい。その思いだけでした。
大学を卒業して京都大学大学院へ進み、大学院修了後は、楽天グループ株式会社に就職。塾講師のバイトはすでに辞めていましたが、社会人として働きながらも、YouTubeでの発信は継続していました。
学業、仕事、発信活動を並行する生活は決して楽ではありませんでしたが、「自分の授業で助かる人がいる」という実感が、続ける支えになっていました。
転機となったのは、書籍の刊行が重なり、活動の幅が一気に広がったこと。
動画制作と執筆の両立の中で、時間の限界を感じるようになります。
そして2022年に退職。「職業あきとんとん」として、教育クリエイター1本で活動する道を選びました。
あきとんとんさんの授業づくりの根底にあるのは、高校時代に味わった「分からなくなった側」の経験です。
「単純に、高校生の時に本当につまずきまくっていたので、勉強が苦手とか、勉強が嫌いっていう人たちの気持ちが、すごく分かるようになったんです。だから、授業をする時は、その当時の自分を生徒だと思ってやっています。『自分だったら、ここ分からないな』っていうポイントを、めちゃくちゃ盛り込んでいる感じですね」
動画では「楽しく授業をすること」を、特に強く意識しています。
「受け手側、生徒の立場で考えた時に、先生自身が楽しそうに勉強と触れ合っていないのに、『勉強って楽しいんだよ』って言われても、あまり説得力がないと思うんです。でも、大人が楽しそうにしている姿を見ると、子どもって『あ、それって楽しいんだ』って自然に感じるんですよね」
そのうえで、「やらされる勉強は、やっぱり楽しくないんですよね。
たとえば最近、韓国人の友人と話したくて韓国語を勉強しているそうですが、そういう「自分から勉強するもの」は、すごく楽しい。けれど、もし大学の授業で必修だからという理由で韓国語の授業を受けても、あまり楽しいと思えなかったかもしれない、と分析しました。
「結局、知りたい知識を自分で得られる感覚があるかどうかが、大事なんだと思います」
これまでに出版した書籍はおよそ7冊。最新刊『だれでもすぐに算数が得意になる本』では、特に「割り算」に焦点を当てています。なぜなのでしょうか。
「僕がバイトしていた塾は、そもそも勉強が苦手な子たちが通う学習塾でした。そこで、割り算が苦手な子が本当に多いなと感じていたんです。
では、算数が得意な人が割り算に対して持っているイメージ、とは……?
「それが、本の中でずっと言っている“基準を作る”という考え方なんです。算数が苦手な子は、この基準を持っていないんじゃないかな」
たとえば、「15÷5」だったら、「15個のりんごを5人で分けたら、1人何個?」という“分ける”の概念で教わることが多くあります。しかし、あきとんとんさんはこの場合「5を1セットの基準にする」という考え方から教えていくといいます。
「算数が得意な人は当たり前のように、その“基準”の感覚を持っています。だから数学が得意でそれを教える仕事をしている先生は『え、みんな持ってるよね? 教えるまでもないよね?』と、いわゆる“常識”の前提で授業をしてしまっているかもしれません。だからこそ、僕は『それをちゃんと教えたい』と思いました」
また、生徒に勉強を教える中でもうひとつ気づいたことが、「勉強が苦手な人ほど、『得意な人は1発で全部分かっている』と思い込んでいる」ということ。
「1回で授業や本の内容を理解できる人のほうが、実は少ないと思っています。実際は、勉強が得意な人も、1回目はなんとなくで進めていて、3周くらいしたときに、ようやく完全に分かる、ということが多いんです。間違えるのは当たり前。その間違いを、少しずつ丸にしていく努力をしてほしいですね」
つまずきの要因を理解したうえで、楽しく、わかりやすい授業で、子どもたちの勉強意欲を育むあきとんとんさん。
保護者には「とにかく褒めてほしい」と訴えます。
「小学生でも、中学生でも、高校生でも、大学生になっても、親に褒められて嫌な人はいません。ちょっとでもできるようになったことがあれば、そこを褒めてほしい。結果や間違いよりも、取り組もうとした姿勢に目を向けてほしいですし、『今日勉強してる、すごい』それだけでも十分です。お子さんの味方になってあげてください」
大阪府出身。立命館大学を卒業後、京都大学大学院を修了。高校時代に成績不振で大きくつまずいた経験から、「勉強が苦手な人の気持ちが分かる授業」を信条に、YouTubeやTikTokで教育動画を発信している。大学院修了後は一度企業に就職するも退職し、現在は動画・書籍を中心に教育コンテンツ制作を行う。著書に『小学校で習う計算が5秒で解ける算数 ひみつの7つ道具』(かんき出版)『だれでもすぐに算数が得意になる本』(Gakken)など。
◆ YouTube【楽しい授業動画】あきとんとん
だれでもすぐに算数が得意になる本
(マイナビ子育て編集部)
その授業が「分かりやすい」「前向きになれる」と支持される背景には、自身の“つまずきだらけの学生時代”が深く関係しているといいます。
なぜ一流企業を辞め、あえて不安定な道を選んだのか。そして、“勉強ができなかった側”の経験が、なぜ今の活動につながっているのか。その歩みをたどります。
『だれでもすぐに算数が得意になる本』Gakken
■高校で味わった「完全に落ちこぼれた」という感覚
大阪で育ったあきとんとんさんは、小・中学生の頃は「授業中によく注意されるタイプ」だったと振り返ります。
「先生の授業中でもしゃべってしまって、よく怒られていましたね」
時には授業中に立ち歩いて、友達に勉強を教えに行ってしまうこともありました。
一方で、勉強そのものが嫌いだったわけではありません。
テストで高得点を取ると、先生や友達、そして親に褒められる。その「認められている感覚」が、当時のあきとんとんさんにとって、勉強を続ける大きな原動力になっていました。
ところが、高校へ進学すると、状況は一変します。
高校1年生の最初の中間テストで、赤点が4つという結果を突きつけられました。
「中学校なら、ちょっと勉強すれば取れていた。でも高校では、塾にも行っていなかったし、授業もちゃんと聞いていなくて、全然取れなかったんです」
このとき、「完全に落ちこぼれた」という感覚を強く抱いたといいます。
次第に周囲からも「勉強ができないキャラ」と見られるようになり、自分自身も「もう頑張らなくていいや」と思い込むように。
本人にとっては、勉強に対する自信を完全に失った時期でした。
とはいえネガティブだったわけではなく、高校生活は楽しく過ごしていたそう。
ただ、勉強をしなくなっていたため成績はどんどん下降していきました。
再びスイッチが入ったのは、高校2年生のとき。担任の先生との面談がきっかけでした。
■「今の成績じゃ無理だよ」で入ったスイッチ
大学には「当然進学するつもり」だったあきとんとんさんですが、志望校を先生に伝えると「今の成績じゃ無理だよ」と厳しい一言。
「その瞬間、すごく悔しくて。負けず嫌いな気持ちが一気に出て、『見返してやろう』とスイッチが入りました」
そこから生活は一変。
勉強に使う時間を大幅に増やしました。
同級生が平日1時間勉強しているなら、自分は3時間する。クラス順位で一番を取ろうという目標を設定して、コツコツと机に向かう日々を積み重ねたといいます。
その結果、成績は徐々に上向き、最終的にはクラス上位までに伸びていきます。
大学受験まで地道に努力を続け、みごと立命館大学に進学しました。
そして大学時代のアルバイトが、現在の活動につながっていきます。
■一流企業を辞め、「職業あきとんとん」へ
大学時代、あきとんとんさんは学習塾で講師のアルバイトを始めます。
そこで出会ったのが、「勉強する意欲はあるのに、家庭の事情や金銭的な理由で授業数を増やせない生徒」でした。
「もっと他の授業も受けたいのに、家庭の事情や授業料の関係でコマ数を増やせない子は少なくありませんでした。それで、『じゃあYouTubeに授業動画をあげるから、それを見てみてよ』みたいな感じで、勉強系動画を作り始めました」
YouTubeを始めたきっかけは、「有名になりたい」「稼ぎたい」といった動機ではなく、ただ目の前の生徒の「やる気」を、できる限り生かしてあげたい。その思いだけでした。
大学を卒業して京都大学大学院へ進み、大学院修了後は、楽天グループ株式会社に就職。塾講師のバイトはすでに辞めていましたが、社会人として働きながらも、YouTubeでの発信は継続していました。
学業、仕事、発信活動を並行する生活は決して楽ではありませんでしたが、「自分の授業で助かる人がいる」という実感が、続ける支えになっていました。
転機となったのは、書籍の刊行が重なり、活動の幅が一気に広がったこと。
動画制作と執筆の両立の中で、時間の限界を感じるようになります。
そして2022年に退職。「職業あきとんとん」として、教育クリエイター1本で活動する道を選びました。
■「自分だったらここ分からないな」を起点にした授業
「単純に、高校生の時に本当につまずきまくっていたので、勉強が苦手とか、勉強が嫌いっていう人たちの気持ちが、すごく分かるようになったんです。だから、授業をする時は、その当時の自分を生徒だと思ってやっています。『自分だったら、ここ分からないな』っていうポイントを、めちゃくちゃ盛り込んでいる感じですね」
動画では「楽しく授業をすること」を、特に強く意識しています。
「受け手側、生徒の立場で考えた時に、先生自身が楽しそうに勉強と触れ合っていないのに、『勉強って楽しいんだよ』って言われても、あまり説得力がないと思うんです。でも、大人が楽しそうにしている姿を見ると、子どもって『あ、それって楽しいんだ』って自然に感じるんですよね」
そのうえで、「やらされる勉強は、やっぱり楽しくないんですよね。
逆に、自分で興味を持って始めるものは、やっぱり楽しい」と、あきとんとんさん。
たとえば最近、韓国人の友人と話したくて韓国語を勉強しているそうですが、そういう「自分から勉強するもの」は、すごく楽しい。けれど、もし大学の授業で必修だからという理由で韓国語の授業を受けても、あまり楽しいと思えなかったかもしれない、と分析しました。
「結局、知りたい知識を自分で得られる感覚があるかどうかが、大事なんだと思います」
■「割り算でつまずく子は、本当に多い」
これまでに出版した書籍はおよそ7冊。最新刊『だれでもすぐに算数が得意になる本』では、特に「割り算」に焦点を当てています。なぜなのでしょうか。
「僕がバイトしていた塾は、そもそも勉強が苦手な子たちが通う学習塾でした。そこで、割り算が苦手な子が本当に多いなと感じていたんです。
算数が得意な人と、苦手な人では、割り算に対して持っているイメージが、全然違うんですよね」
では、算数が得意な人が割り算に対して持っているイメージ、とは……?
「それが、本の中でずっと言っている“基準を作る”という考え方なんです。算数が苦手な子は、この基準を持っていないんじゃないかな」
たとえば、「15÷5」だったら、「15個のりんごを5人で分けたら、1人何個?」という“分ける”の概念で教わることが多くあります。しかし、あきとんとんさんはこの場合「5を1セットの基準にする」という考え方から教えていくといいます。
「算数が得意な人は当たり前のように、その“基準”の感覚を持っています。だから数学が得意でそれを教える仕事をしている先生は『え、みんな持ってるよね? 教えるまでもないよね?』と、いわゆる“常識”の前提で授業をしてしまっているかもしれません。だからこそ、僕は『それをちゃんと教えたい』と思いました」
また、生徒に勉強を教える中でもうひとつ気づいたことが、「勉強が苦手な人ほど、『得意な人は1発で全部分かっている』と思い込んでいる」ということ。
「1回で授業や本の内容を理解できる人のほうが、実は少ないと思っています。実際は、勉強が得意な人も、1回目はなんとなくで進めていて、3周くらいしたときに、ようやく完全に分かる、ということが多いんです。間違えるのは当たり前。その間違いを、少しずつ丸にしていく努力をしてほしいですね」
つまずきの要因を理解したうえで、楽しく、わかりやすい授業で、子どもたちの勉強意欲を育むあきとんとんさん。
保護者には「とにかく褒めてほしい」と訴えます。
「小学生でも、中学生でも、高校生でも、大学生になっても、親に褒められて嫌な人はいません。ちょっとでもできるようになったことがあれば、そこを褒めてほしい。結果や間違いよりも、取り組もうとした姿勢に目を向けてほしいですし、『今日勉強してる、すごい』それだけでも十分です。お子さんの味方になってあげてください」
インタビュー動画はこちら
教育系クリエイター・あきとんとん
大阪府出身。立命館大学を卒業後、京都大学大学院を修了。高校時代に成績不振で大きくつまずいた経験から、「勉強が苦手な人の気持ちが分かる授業」を信条に、YouTubeやTikTokで教育動画を発信している。大学院修了後は一度企業に就職するも退職し、現在は動画・書籍を中心に教育コンテンツ制作を行う。著書に『小学校で習う計算が5秒で解ける算数 ひみつの7つ道具』(かんき出版)『だれでもすぐに算数が得意になる本』(Gakken)など。
◆ YouTube【楽しい授業動画】あきとんとん
だれでもすぐに算数が得意になる本
(マイナビ子育て編集部)
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