「後医は名医」ってホント?医師が初診で大切にしていること【パパ小児科医コラムvol.18】
発疹が出現して初めてわかる病気なので、発熱してすぐには診断ができません。ある意味どんな名医でも最初「見逃し」うるものです。
初診では緊急性の判断
イラスト:ヤマハチ
発熱してすぐのときは、診断が何かよりも、水分は取れているか、ぐったりしているかなど全身の状態が安定しているかどうかを中心に見ています。全身状態が良いかどうか、そして暫定的な診断をしてもらって、その次にどのような症状や状態になったら再度受診が必要か説明されるでしょう。
最初に受診するクリニックの役割は、最終診断にいたることよりも緊急性の判断、全身状態の把握に重きが置かれます。もちろん診断が明らかであるに越したことはありませんが、情報が少ない状態では暫定的な診断にならざるを得ません。病名より緊急度の高い状態を「見逃さない」ことの方が大切なのです。
患者さんとしては初診で適切な診断をしてほしいと感じるかもしれませんが、医療従事者の立場からすると、まずは緊急性や重症度の判断が大切なのです。
患者さんにとっての「名医」
イラスト:ヤマハチ
かかりつけ医から他の病院に紹介となり診断名が変わると、かかりつけ医に対して不安を覚えるかもしれませんが、ときにはそういったこともあることを知っておいていただけると幸いです。(もちろん、なかにはニュースで報道されるような大きな見逃しも存在します。)
人それぞれ「自分にとっての名医」は異なるものです。誰もできない難手術をやってのける凄腕ドクターは名医でしょう。誰も診断できなかった病気を探偵のようにわずかな違いから見破る医師も名医でしょう。
一般的に後の方で見た医師、つまり「後医」は「名医」といわれやすいですが、私は最初に患者さんを診察する「前医」にも、緊急性の判断を間違えずに適切に紹介することのできる「名医」がいると思います。
そんな信頼できるかかりつけ医に、皆様が出会われることを願っています。
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パパ小児科医(ぱぱしょー)先生の過去のコラム
著者:加納友環(ぱぱしょー)
二児(3歳、5歳)の父で小児科専門医。
TwitterやInstagramを中心に子育て当事者の立場から、また医療者の立場から子育てに役立つ情報を発信しています。