目標=ノルマではない! 自信につながり、最高の結果を生み出す「目標の立て方」とは
ただ、スポーツ心理学的には、頑張れば実現できそうなこと、100~120%の力を出せば実現できそうなことを、目標に設定すると良いとされていますね」
ただし、と藤代さんは言葉を続けます。
「それは大人が知っていればいいことで、子どもが全国大会で優勝したいと言っている目標を、否定する必要はありません。もし、そういう目標が出てきたら、そのために何が必要かなとか、これからの行動をどうすればいいのか、という成長の部分にフォーカスしてあげることが大事になってきます」
逆に目標を小さく見積もる子どももいるはずです。簡単にクリアできそうな目標を立てた場合には、どう対応するのがいいのでしょうか。
「そういう子に対しては、できそうなことをクリアして成功体験を与えるという考え方を持つのがいいでしょう。100%の力でできることに対して、実現できた楽しさや誇りを感じられるようなかかわり方ができれば、また次の目標を立て、そこを目指して進んでいくことができるはずです」
一方で、目標を立てられない子もいるかもしれません。これまでにそういう機会がなかった場合には、目標を立てることさえ難しいことも十分に考えられます。
「その場合には、最初に『この1年が終わった時にどうなっていたら最高だと思う?』と、問いかけてみるのがいいかもしれません。
サッカーだけじゃなく、勉強、社会とのつながり、家族のこと、なんでもいいので、1年後の最高の自分をイメージする機会をつくってみましょう。そしてその答えを引き出したら、今度は『どうすれば、それが実現できるかな?』と問いかけてみてください。それが成長の部分の目標になるのです。
なかには、それでも目標が立てられない子もいます。そういう場合には『目の前のことに全力で取り組む』という考え方を持ち合わせたいものです。川崎フロンターレの中村憲剛選手もそういったタイプだったそうです。目の前のことを一生懸命取り組むなかで今の地位を築いていった。人は大きく分けて山登り型と川下り型のふたつのタイプに分かれるのですが、憲剛選手のようなタイプは川下り型に分類されます。
流れに身を任せ、目の前のことを一生懸命に取り組んでいく。目標を立てられないやつはダメだという考え方だと子どもの負担になるので、そういう子にはそういう子なりの接し方が求められてきます」