「勝てば選手が集まる時代は終わった」クラブを運営する指導者が抱える本当の悩みとは?
2019年12月と今年1月の2回に渡り、東京、大阪で指導者向けのセミナーが実施されました。
このセミナーはチームのグループコミュニケーションアプリ「BAND」とCOACH UNITEDが共催。「サッカーを教えるだけのクラブは生き残れない!スポーツの可能性と新しい時代に求められるサッカークラブの作り方」というテーマで行われました。
■クラブを運営する指導者の悩みとは?
参加者はJリーグのクラブや街クラブ、少年団の代表者、監督・コーチを始め、サッカー以外の競技団体からも集まり、その数は100名近く。北海道や広島など遠方から足を運ぶ人もおり、注目度の高さがうかがえます。
事前アンケートによると、セミナー参加者の多くが、時代にあった「チームの価値づくり」「チーム運営・マネジメント」に悩みを抱えており、また保護者とどう連携し協力関係を築いていけるかといった「保護者とのコミュニケーション」に関する悩みが多く見られました。参加者の一人で、埼玉県でジュニアチームのコーチを務める杉本健さんは、このように話します。
「私自身、2児の父親でアラフィフ(50歳前後)ですが、現在の親の世代との価値観の多様化・ギャップを感じています。サッカーは競い合うスポーツですし、いわゆる他の"習い事"とは違うと考えています。ただ、そうは思わない親御さんも増えているようで、組織についても、やや旧態依然とした部分があるため、時代に合わせた柔軟性が求められているように感じています」
折しも、少子化の時代。子どもの減少にともない、クラブの淘汰も進む中、持続的に子どもたちを育成し、クラブを成長、運営させていくにはどうすればいいかという悩みを持つ指導者は増えてきています。
そんな悩みに対し、解決策やヒントを提示するのが、このセミナーの趣旨でした。
■勝てば選手が集まる時代は終わった
講師はFC市川GUNNERSの代表を務める幸野健一さん。30年以上に渡って育成年代の指導者や環境改善に関わってきました。2014年にアーセナルサッカースクール市川(当時/現・FC市川GUNNERS)を立ち上げ、行政と連動してグラウンドを作るほか、様々な施策を実行し、クラブを日本有数の規模に成長させた、育成年代のスペシャリストです。
近年はクラブチームの代表を務めるかたわら、『プレミアリーグU-11』の実行委員長としても活動し、「全員出場」