「環境の不備を言い訳にしたら成功できない」いくつになっても挑戦を続ける元流経柏の本田監督が若い指導者に伝えたいこと
千葉県の流通経済大学付属柏高校をサッカー強豪にし、高校サッカー選手権や高校総体で複数回の全国制覇を達成した本田裕一郎さん。
これまで45年にわたって高校サッカー部の監督として育成に携わり、73歳の今なお新たな挑戦に挑んでいる名将に伺う、今だからこそ若い指導者に伝えたいこと。
後編では、世界中が困難に直面しているからこそ、今、あえて言いたいことを語っていただきました。
(取材・文:元川悦子)
国士館高校サッカー部(2020年3月19日撮影)
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■「真似る」のは良い指導者になる第一条件
新型コロナウイルスの感染拡大でユース年代の活動が制限される中、選手の行動調査を行ったり、自宅で最新の指導法や戦術を勉強をしたりと、本田裕一郎先生は先を見据えた準備に余念がありません。昨年まで指導していた流通経済大学柏高校時代も毎年のように欧州に出かけて最新のトレーニング方法を持ち帰っていました。2018年夏にはGPSを導入し、走行距離やスプリント回数を計測。2019年1月の第97回高校サッカー選手権準優勝の原動力とした実績もあります。
このように本田先生はつねに情熱を持って新たなことを取り入れようと努めています。
自身を「カメレオン」と称するように、年齢に関係なくいいものは取り入れ、若い指導者から学び、誤りは正すという潔さを備えているからこそ、73歳になろうというタイミングで、4度目の新天地に赴くことができたのでしょう。
「国士舘に来てから痛感することですが、若い指導者はチーム運営に忙殺されています。今は上野晃慈監督ら8人に加え、大学生コーチを含めて10人で180人もの選手をマネージメントしていますが、それだけでも本当に大変。そういう状況下でも、私のような人間が来ることで新たな刺激を受けてもらえれば、彼らにとっても活性化になるのかなと感じます。
私自身も経験ある指導者に学びながらここまでやってきました。市原緑にいた若い頃は飲めないお酒を飲んで静岡学園の井田勝通さんや島原商の小嶺忠敏先生(現長崎総合科学大学付属)に近づいてノウハウを盗んだものです。人のことを真似るというのはいい指導者になる第一条件。お茶の世界の『守破離』もそうですけど、最初は徹底的に真似るところから始まります。