疲労を可視化してケガを回避、プレミアリーグのトップチームが行うケガ予防とは
子どものサッカーでの心配事の一つがケガ。特に今年は新型コロナウイルスの影響で休校、チーム活動停止が長引いたこともあり、活動再開をしている今もケガの心配をしている保護者は多いでしょう。
海外では全体練習の前に個別のケガ予防策をとっているチームもあります。イングランドプレミアリーグ、クリスタルパレスFCのトップチームのコーチ、デイブ・レディントン氏にお話を伺いました。
前編では、長期休暇明けの練習のポイントや、選手の疲労チェックなどをお送りします。(取材・文・写真:末弘健太/BAREFOOT)
子どもたちには形だけ整えたトレーニングでなく飽きないような工夫をしてあげる方が良いとデイブ氏は言います(写真は少年サッカーのイメージ)
■疲労を可視化してケガ予防対策を取っている
――日本ではイギリスより早くサッカーが再開され始めましたが、イギリスではどうやって活動が再開されていったのか、他国の施策に興味を持っています。クリスタルパレスのトップチームはどのようにトレーニング強度を高めていったのでしょうか?
まず、ロックダウン中は、選手各自にトレーニングプログラムが配られ、そのプログラムを消化していきました。GPSでトラッキングできるようになっていたので、データが毎日アップロードされ、週の終わりには大きなスプレッドシートが送られてきて、選手が何をしたか、どのような状態だったかが把握することができました。
チームとして活動を再開する際は、政府のガイドラインに沿って練習を再開していく必要がありました。1ピッチに4人の選手まで入ることができ、3つのグループに分かれていたのですが、 各グループごとに練習時間帯が違うので、2ピッチ、3グループで練習時間帯を変えて練習しました。
トレーニング中もソーシャルディスタンシング(2m)を保つ必要があり、最初の3つまたは4つのセッションでは、有酸素運動を多く取り入れて、心肺持久力を高めていく作業となりました。そして、おそらく6回ほどのセッションを経て、ステージ2に移行し、ボディコンタクトを伴うトレーニングが可能になりました。もちろんステージ2に移行する前に政府からその旨の発表がなされています。この時点からトレーニング強度を上げていきました。このような流れは各国同じではないでしょうか。
――トレーニング強度を上げる際に、何か基準はあったのでしょうか?
決まった基準というものはなく、その選手のケガ歴やロックダウン中の様子などを考慮して決めていきました。