「1人1人が自分を成長させるプロデューサー」U-16日本代表・森山佳郎監督が語る伸びる選手と伸びない選手の違い
サンフレッチェ広島ユースで長年指導にあたり、2015年からはU-17日本代表指揮官として久保建英選手らを見てきた森山佳郎監督に、前編では成長するためには自らアクションを起こすことが大事だという事を伺いました。
後編では伸びる選手と伸びない選手はどこが違うのか、自ら伸びる選手の環境を指導者と保護者がサポートするためにはどんな関係性を築くのが良いのかを伺いましたのでご覧ください。
(取材・文:元川悦子)
森山佳郎監督©JFA
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■自分の課題がわかっているのに向き合おうとしない選手は成長しない
新型コロナウイルス感染拡大によるスポーツ活動の休止や中断によって、選手が自らアクションを起こすことがより重要視されるようになったことは、前回の記事に書きました。U‐16日本代表の森山佳郎監督もその点に注目しながら、7月から再開した活動を行っていると言います。
「一番分かりやすいところでいうと、フィジカルの課題を、ひさしぶりの活動となった7月の合宿でテストしたんですね。例えば懸垂。活動自粛期間前の合宿で2~3回しかできなかったのに20数回できるようになった選手もいますし、ハッパをかけていたのにも関わらずまだできなかった選手もいました。
後者の選手には、合宿のラストに『自分の課題が分かっているのに、そこに向き合おうとしていない選手は成長しないし、別の選手を呼ぶから』というくらい厳しいことを言いました。
もちろん8月以降の合宿で大きく変化してくれればいいなという期待を込めてのことです」
森山監督は過去に指導した選手にも時には苦言を呈してきました。「JリーガーになってA代表になるのは、このグループの中で1人か2人。ほとんどの選手が消える」といったインパクトの大きな発言もして、選手たちの反応を伺ってきました。
「それをよく覚えているのが、菅原由勢(AZアルクマール/オランダ)。『森山監督に15歳の時、<天狗になったら消えていく>と言われて、絶対にそうなりたくなくて誰よりも努力した』と何かのインタビューで答えていたのを聞いて、意識レベルの違いを感じました。指導者の言うことを聞いた上で、自分からアションを起こすかどうかで、選手の成長度合いは大きく変わります。3カ月、半年、1年となればとてつもなく大きな差になる。