世界のクラブが日本人選手に求めるスキルとは。レアル中井選手から学ぶ世界で生き抜く方法
「将来海外でプレーしたい」
そんな純粋で大きな夢を抱く子どもたちに「正しい努力をさせてあげたい」。そう願うのが親の本音ではないでしょうか。
新刊『世界を変えてやれ!―プロサッカー選手を夢見る子どもたちのために僕ができること』では、「日本と世界を繋ぐ橋渡し」役の著者・稲若健志氏が、将来を夢見る選手たち、保護者、指導者に向け、アドバイスを送っています。
今回は改めて稲若氏に聞いた、子どもたちの夢を叶えるために知っておきたい世界の常識、などを、全4回にわたってインタビューでお届けします。
■レアルの中井選手から学ぶ世界で生き抜く方法
――世界で戦える選手を間近で見てきた稲若さんが考える、世界のトッププレイヤーが持っているものとは何でしょうか。
「技術、メンタル、フィジカルがあることは大前提ですが、世界で活躍するトップレベルの選手たちは自分で『習慣』を作ることができます。先日、元スペイン代表監督のロベルト・モレロが話していました。メッシやネイマール、スアレスのようなスーパースターは何が違うのかといえば、『サッカーの中で生活をしている』と」
――24時間、サッカー選手ということですか?
「そうです。
例えば、スポーツドリンクは糖分が入っているから飲まない、といった日々の行動を徹底的に習慣にしていける選手が世界に行けます。プロでもピッチ上では頑張っていても、ピッチ外のちょっとした誘惑に負けてしまう選手もいます。でも、世界のトッププレイヤーたちは例外なく細部に気を遣っているし、それを当たり前にできています」
――その点、稲若さんがずっと間近で見てきた中井卓大選手(レアル・マドリード所属)はどうでしょうか?
「僕はピピ(中井卓大選手の愛称)のことを8歳から知っていますが、8歳の頃から毎日、朝起きたら欠かさずストレッチや体幹、ボールタッチをしてきました。歯を磨くのも朝ご飯を食べるのも30分のトレーニングのあとで、雨が降ろうがサボったことはないと思います。『毎日が勝負』というスタンスで、一段ずつ階段をのぼっていった選手です。最初からレアル・マドリードの今のカテゴリーまでたどり着けるという考えはなかったと思いますし、まずは自分のいるカテゴリーで全力を尽くし、その結果、また次のカテゴリーへと。その繰り返しでのぼっていったのです。正直、ピピが今のようになるとは思っていませんでしたが、ピピは人一倍努力をして、一歩ずつ階段をのぼっていった先に今のカテゴリーまで上がったという選手です」