下級生との練習は上の子たちにメリットがないのでは。という上級者の親たちに年齢ミックスの良さを分かってもらうには?
■「僕らが言うと小学生が文句を言うから、言いたくない」という中学生
例えば、私が地元の大阪で行っている「サッカープレーパーク」では、上は中学生から、下は小学校低学年の子どもも来ています。
縦割りで一緒にミニゲームをすると、中学生が口をとがらせて苦情を申し立てます。
「小学生がひとりで勝手にドリブルで行っちゃうから困る」
「ボールをすぐに大きく蹴るから、やりたいサッカーができない」
私が「小学生に自分たちから指示を出して動かせばいいじゃない?」と言っても、「僕らが言うと文句を言うから、言いたくない」と言うのです。少子化もあって、中学生、小学生の双方が、兄弟、姉妹やいとこ、親戚といった異年齢の子どもとのコミュニケーションの経験がありません。
中学生には、どうやったら年下の小学生を動かせるかを考え、言い方やタイミングを工夫することができない。小学生は、お兄さんたちの言うことを聞いてサッカーをしたら、上手くなったり、いいことがあると思えないのです。経験していないからです。
■年齢ミックスで練習すると上級生も確実に成長する
それぞれがもっと小さいときから私の指導を受けて育っていたら、もっと違う状況になるはずですが、一緒にサッカーをしてきていないため理解できません。
「どうして小学校の低学年と一緒にやらなきゃいけないんだ?」と戸惑っている姿が見えます。
例えばそんな姿を見かけたら、上級生の親御さんは心配になって「みんな同じ学年で能力が似通っている横割りのほうがいい」と思うのかもしれません。
しかしながら、縦割り集団で上級生は確実に成長します。年上の子が異年齢で活動するメリットはたくさんあるのです。ここでは五つに分けてお話ししましょう。
■コーチングスキルやカバーリングのスキルなどサッカーの技術も高まる
まずひとつめ。上級生は、コーチングを覚えられます。
「こういうとき、どこに動いたらいい?」と問いかけるコーチングができるようになります。ボールをもらいたいときは、「ほら、ワンツーやるよ」と声を出しながらパスをすればいいとわかります。
二つめ。
力の差が大きいと能力が高い子のほうが伸びないのではないかと思いがちですが、それは違います。足が速くて技術もある子が、足の遅い子が間に合うようなパスを出してあげたり、試合でその子のぶんもカバーしようと集中し懸命に走ったりするようになります。
三つめ。
サッカーのスキルも、異年齢集団で十分鍛えられます。