元J2得点王、長谷川太郎さんが提案する、現役とセカンドキャリアをつなぐ「1.5キャリア」とは
という気持ちが沸き上がってきたんです。様々な職種を経験する中で、「やっぱり、自分が人の役に立てることはサッカーだ」と思ったので、サッカーを通じて何かできるのではないかと考えたのがきっかけです。
松田:サッカー選手時代は、プレーすることで自然と周りを元気づけたり、勇気を与えることができたりしていたわけですよね。でもサッカーがなくなって、「自分に価値がないのではないか」と思ったのですね。
長谷川:現役を引退した選手は、みんなこの気持ちを味わっているんだと思ったときに、通常のコーチ業だけで食べていけなくても、『朝TRE』のような形でサッカーを教えることで自分も救われて、子どもたちに夢を与えられる。自己肯定感につながると思ったんです。
松田:自分たちの好きなサッカーを通じて、何らかの価値を社会に還元することで、新たな繋がりが生まれ、その結果、地域の支援を受けられることもあると思います。なによりも、自己肯定感が高まることで、新たなことにチャレンジする気持ちも湧いてきますよね。
長谷川:その視点はすごく大切だと思っています。『朝TRE』が地域に認められるまでに5年かかりました。でも諦めなかったのは、引退してサッカーから離れた1年間があったからだと思います。サッカーを通じて、人に必要とされることのありがたみを感じていたからです。
■現役とセカンドキャリアの間の「1.5キャリア」
松田:長谷川さんは様々なチャレンジをされていますが、ストライカー育成や『朝TRE』以外に力を入れていることはありますか?
長谷川:引退した選手が、現役に区切りをつけるための活動ができればと思っています。幸運なことに、僕は引退試合をしていただけましたが、ほとんどの選手にそのチャンスはなく、契約満了で引退となると、サポーターにあいさつを直接する場面もありません。結果として気持ちの半分、片足がサッカーに残っている場合があります。それに、引退試合をすることで、昔スタジアムで応援してくれていた人たちが戻ってきてくれるんですよね。
松田:なるほど。
長谷川:引退試合が「またスタジアムに試合を観に行こう」というきっかけになってくれます。それはチームやスポンサーにも良い影響があると思うので「サポーツマン」(※スポーツマンとサポートの造語)という名前で、レジェンドマッチをやれたらと思っています。その試合に出た選手に、『朝TRE』のコーチとして来てもらうのもいいですし。