試合に出られないから移籍検討もチームが変わるとトレセンなくなる問題
Jのクラブ以外にジュニアユースクラブはないのでしょうか。
■小学生年代でトレセンに選ばれることがその後のキャリアに大きく影響することはない
ただ、私はトレセンに入れる環境か、そうでないかは、あまり優先すべきファクターではないように思います。
小学生時代にトレセンに選ばれることが、その子のサッカーキャリアに大きな影響を及ぼすようには思えません。トレセンに選ばれることを単なる勲章とはとらえず、そのトレセンのなかで何が学べるのか、どんな成長があるのかに注目してほしいと思います。
そもそも、トレセンに選ぶ基準は、指導者によってまちまちです。多くの指導者は、体が強く大きい子、スピードがあり、足元のテクニックのある子を選ぶようです。
多くの指導者が「トレセンの選考でピックアップされるのは、今すぐ試合で勝つために戦える選手が多い」と言います。なぜならば、トレセンでも、市区町村対抗といった試合があるからです。
例えばドリブルが上手くて、スピードがあって、同学年の子どもを抜いて行ける子がいると、トレセンの地区大会で有利になると考えられています。
私が尊敬するあるコーチは、Jリーグクラブで育成に携わった時期にさまざまなセレクションに立ち会ったそうです。そのコーチが「この子、いいね」と指摘しても、ほかのコーチとはことごとく意見が合わなかったと聞きます。
■今の時点でトレセンにはそれほどこだわらなくていい
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
息子さんがどんな選手なのかは知るよしもありませんが、上述したことを考えると、そんなにトレセンにこだわらなくてもよいかと思います。
例えば統計的にみても、小学生でトレセンに選ばれ、そのまま日本代表で活躍する選手はほとんどいません。
周囲の評価に一喜一憂せず、息子さん自身の意思を尊重し、人間的な成長を手助けするのが親御さんの役目だと私は思います。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)