人数が少なく全学年一緒に練習 技術にもサッカー理解にも差がある子どもたちにどんなトレーニングをすればいいか教えて
子どもの人数が少なくて、全学年を見ているんだけど全員一緒にできる練習はある?とのご相談をいただきました。
人数が少ないチームでは同じような悩みを持つ指導者の方もいるのでは。
今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、低学年からサッカーIQを高め、技術も習得する練習法をご紹介しますので、参考にしてください。
(取材・文島沢優子)
池上正さんの指導を動画で見る>>
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
<<サッカーの各ポジションの役割、動く範囲やポジショニングを効率的に教える方法はある?
<お父さんコーチからの質問>
はじめまして。
小学校のチームでサッカーを教えています。分類としてはスポ少です。
子どもの数が少ない地域なので、年によって人数は違いますが各学年3~4人程度で、指導者も私しかいないため、全学年一緒に練習しています。
安全のための見守り役として保護者の方が来て下さることはありますが、サッカーの指導はしません。
そんな状況なので、小学1年~6年の全員一緒に出来る練習、特に技術トレーニングを教えてほしいです。
やっぱり年齢差があると技術的にもサッカーの理解にも差があるので、どんなやり方、さじ加減が良いのか悩んでおりまして。
どうぞよろしくお願いいたします。
<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
1年生から6年生までの異年齢の子どもたちを一度に教えているとのこと。それは私が地元の大阪で提供させてもらっているプレーパークやクラブとまさに同じ環境です。
例えば、ミニゲームなどで、2年生以上は1年生からボールを取っていけないというルールにすることがあります。
そこで2年生以上の子どもたちは、ゴール前で1年生を使う方法を考え始めました。同時に、1年生たちも、同じ学年の1年生が奪いに来るので、1年生がいないところに動くようになりました。そうすると、1年生が1か月で団子にならなくなりました。
「池上さん、あの子たち、何年生?え、1年生なの?」と、皆さん驚かれていました。多くの指導者は、低学年が団子になってしまうのをどうしたらいいかと頭を悩ませているからです。
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サッカーを認知して判断し行動してもらうには、指導者の皆さんに、ミニゲームや3対2などの対戦型のメニューのなかで「技術のトレーニング」をする、ととらえてほしいのです。
その中で磨けるように指導者も工夫をしてください。例えば6年生だけ2タッチでやるよう制限をかけます。そうすると判断力を磨けます。また「ゴール前はダイレクト」もあります。
「ハーフラインを越えたらフリー」でもよいでしょう。他の学年も同じようにルールを設けて制限すると、技術は上がってきます。
「インサイドキックだけでやって」でもいいし「アウトサイドも混ぜよう」となってもよいでしょう。
1年生から6年生まで、みんながボールに集まらず広がってプレーする。つまり、サッカーらしくなるには、前述したルール設定に加え、声掛けも大切です。サッカーの理解度が高い6年生に「1年生をどう使う?どうやったら使えるかな?」と、自分たちで考えるような声掛けをします。
私のクラブはそんなやり方をしているので、低学年や中学年からサッカーの理解度の高い選手が出てきました。そういう子が出てくると、他の子がその子のプレーを真似し始めます。そうやって集団は伸びる。
異年齢の集団は多くのメリットが隠れています。そこをぜひ見つけ出して活かしてください。
さて、ご相談者様の方がおっしゃる「技術」は、ボールを止める蹴るといった足元のスキルだと想像します。そうとらえて、そこだけ切り出して練習させてしまうとリアリティが無くなります。つまり、対面パスやコーンドリブルなど、試合では見られない状態のものがどうしても多くなるからです。そういった技術練習をやっても良いのですが、なるべくサッカーをさせながら技術が上がる方法を考えてください。
小学生の段階では、サッカーがどんなスポーツかという理解をしたうえで認知や判断が重要だと考えます。プレーの判断は幼稚園の子どもでもできます。
例えば、ひとりの子がボールをもっているとします。もうひとりはその子からパスもらいたいと思っています。でも、間に相手がいます。私が「そのままでもらえるかな?」と尋ねると、幼児たちは首を振って「もらえない」と答えます。
「どうしたらいのかな?」と問いかけると、もらえそうな場所に動きます。
「そうだね。そこに動けば、ボールが来るね」と答えると、嬉しそうにしています。そのように認知して行動することは、幼児でもできるのです。
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
技術を身につけていくプロセスとして、日本ではまずひとりで行うトレーニングが多いようです。それらの練習はクローズドスキルと呼ばれています。もちろんそれらは基本技術を身につけるためには重要ですが、もっと相手がいて変化する状況に対応するミニゲームや2対1、3対2といったオープンスキルの練習を増やしてほしいと思います。
なぜなら、試合中に止まったボールをキックする場面はコーナーキック、フリーキック、ゴールキックくらいです。ほとんどが相手をかわすことを考えながら、動くボールをコントロールして蹴ります。そう考えると、止まっているボールを蹴ることは、本来の技術練習ではないということです。
例えば「ボールは足のここに当てよう」などと教えるのは一回でいい。あとはプレーしながら身に付けます。技術は、指導者が子どもたちへ口で説明したからといってできるものではないと考えてください。
それなのに、指導者は足元の技術練習を切り出してやらせようとします。また、試合などでの声掛けも「よく見ていましたか?」では足りません。子どもたちが何を見て、何を判断すればいいかを、そこまでのプロセスで理解しておくことが重要です。ぜひ子どもたちのサッカーIQを向上させてください。
池上正さんの指導を動画で見る>>
池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
人数が少ないチームでは同じような悩みを持つ指導者の方もいるのでは。
今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、低学年からサッカーIQを高め、技術も習得する練習法をご紹介しますので、参考にしてください。
(取材・文島沢優子)
池上正さんの指導を動画で見る>>
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
<<サッカーの各ポジションの役割、動く範囲やポジショニングを効率的に教える方法はある?
<お父さんコーチからの質問>
はじめまして。
小学校のチームでサッカーを教えています。分類としてはスポ少です。
子どもの数が少ない地域なので、年によって人数は違いますが各学年3~4人程度で、指導者も私しかいないため、全学年一緒に練習しています。
安全のための見守り役として保護者の方が来て下さることはありますが、サッカーの指導はしません。
そんな状況なので、小学1年~6年の全員一緒に出来る練習、特に技術トレーニングを教えてほしいです。
やっぱり年齢差があると技術的にもサッカーの理解にも差があるので、どんなやり方、さじ加減が良いのか悩んでおりまして。
どうぞよろしくお願いいたします。
<池上さんからのアドバイス>
ご相談ありがとうございます。
1年生から6年生までの異年齢の子どもたちを一度に教えているとのこと。それは私が地元の大阪で提供させてもらっているプレーパークやクラブとまさに同じ環境です。
■ルールを設けて低学年も1か月で団子サッカーを脱却する方法
例えば、ミニゲームなどで、2年生以上は1年生からボールを取っていけないというルールにすることがあります。
そうすると、子どもたちは1年生にパスを集めます。1年生は誰も寄ってこないのでひとりでドリブルします。しかし、1年生同士なら奪ってよいので、相手の1年生からとられたりします。
そこで2年生以上の子どもたちは、ゴール前で1年生を使う方法を考え始めました。同時に、1年生たちも、同じ学年の1年生が奪いに来るので、1年生がいないところに動くようになりました。そうすると、1年生が1か月で団子にならなくなりました。
「池上さん、あの子たち、何年生?え、1年生なの?」と、皆さん驚かれていました。多くの指導者は、低学年が団子になってしまうのをどうしたらいいかと頭を悩ませているからです。
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■対戦型のメニューの中で技術のトレーニングをする、ととらえて
サッカーを認知して判断し行動してもらうには、指導者の皆さんに、ミニゲームや3対2などの対戦型のメニューのなかで「技術のトレーニング」をする、ととらえてほしいのです。
その中で磨けるように指導者も工夫をしてください。例えば6年生だけ2タッチでやるよう制限をかけます。そうすると判断力を磨けます。また「ゴール前はダイレクト」もあります。
「ハーフラインを越えたらフリー」でもよいでしょう。他の学年も同じようにルールを設けて制限すると、技術は上がってきます。
「インサイドキックだけでやって」でもいいし「アウトサイドも混ぜよう」となってもよいでしょう。
インサイドとアウトサイドのみでやるなど、さまざま工夫してください。そうすると頭が鍛えられます。
■自分たちで考えるような声掛けで、低学年からサッカーの理解度を高める
1年生から6年生まで、みんながボールに集まらず広がってプレーする。つまり、サッカーらしくなるには、前述したルール設定に加え、声掛けも大切です。サッカーの理解度が高い6年生に「1年生をどう使う?どうやったら使えるかな?」と、自分たちで考えるような声掛けをします。
私のクラブはそんなやり方をしているので、低学年や中学年からサッカーの理解度の高い選手が出てきました。そういう子が出てくると、他の子がその子のプレーを真似し始めます。そうやって集団は伸びる。
異年齢の集団は多くのメリットが隠れています。そこをぜひ見つけ出して活かしてください。
■未就学児でも認知、判断して行動できる
さて、ご相談者様の方がおっしゃる「技術」は、ボールを止める蹴るといった足元のスキルだと想像します。そうとらえて、そこだけ切り出して練習させてしまうとリアリティが無くなります。つまり、対面パスやコーンドリブルなど、試合では見られない状態のものがどうしても多くなるからです。そういった技術練習をやっても良いのですが、なるべくサッカーをさせながら技術が上がる方法を考えてください。
小学生の段階では、サッカーがどんなスポーツかという理解をしたうえで認知や判断が重要だと考えます。プレーの判断は幼稚園の子どもでもできます。
例えば、ひとりの子がボールをもっているとします。もうひとりはその子からパスもらいたいと思っています。でも、間に相手がいます。私が「そのままでもらえるかな?」と尋ねると、幼児たちは首を振って「もらえない」と答えます。
「どうしたらいのかな?」と問いかけると、もらえそうな場所に動きます。
「そうだね。そこに動けば、ボールが来るね」と答えると、嬉しそうにしています。そのように認知して行動することは、幼児でもできるのです。
■試合中に止まったボールを蹴る場面は限られる。仲間との連動が必要な練習を増やそう
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
技術を身につけていくプロセスとして、日本ではまずひとりで行うトレーニングが多いようです。それらの練習はクローズドスキルと呼ばれています。もちろんそれらは基本技術を身につけるためには重要ですが、もっと相手がいて変化する状況に対応するミニゲームや2対1、3対2といったオープンスキルの練習を増やしてほしいと思います。
なぜなら、試合中に止まったボールをキックする場面はコーナーキック、フリーキック、ゴールキックくらいです。ほとんどが相手をかわすことを考えながら、動くボールをコントロールして蹴ります。そう考えると、止まっているボールを蹴ることは、本来の技術練習ではないということです。
例えば「ボールは足のここに当てよう」などと教えるのは一回でいい。あとはプレーしながら身に付けます。技術は、指導者が子どもたちへ口で説明したからといってできるものではないと考えてください。
それなのに、指導者は足元の技術練習を切り出してやらせようとします。また、試合などでの声掛けも「よく見ていましたか?」では足りません。子どもたちが何を見て、何を判断すればいいかを、そこまでのプロセスで理解しておくことが重要です。ぜひ子どもたちのサッカーIQを向上させてください。
池上正さんの指導を動画で見る>>
池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
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