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子どもについて悩み相談したらコーチにスルーされるように。コーチに尋ねちゃダメなの問題

サカイク
スクールのチームメイトに「下手」と言われ、サッカーに行きたくないと言い出した息子。

奮起したいと思って「頑張るしかない」と言ってみたものの、正しい声かけだったかわからなくて、先生(※コーチ)に、どうしたらいいか聞いてみたら、クレームに思われたのか話しかけられなくなった。

子どもの様子を聞きたいけど、聞きづらい。どうしたらいいの?というご相談をいただきました。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

子どもについて悩み相談したらコーチにスルーされるように。コーチに尋ねちゃダメなの問題

(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

<<理不尽な理由で試合に出られず、自信を失った子にどう接すればいいのか問題

<サッカーママからのご相談>

息子が小学3年生でサッカーを初めて半年経った頃なのですが、スクールのチームメイトから下手くそと言われて、一時あまり行きたくないと言い出しました。

奮起してほしいと思い、頑張るしかない等言ってみたもののそれが正しいのか分からなくて、こういう場合はどうしたらいいか先生に聞いてみたんですけど、それがクレームみたいに思われたのか、先生からあまり話しかけられなくなりました。

そういう事をあまり聞くのは良くないのでしょうか?自分自身が運動部の経験者ではないので、ただ子どもにどう声を掛けたらいいか知りたかっただけなのです......。


子どもに対しては話しかけたりしてくれているみたいなので、私が気にせず送迎だけしてればいいんですけど、ほかの親には話しかけるのに私はスルーされる事もあるので、子どもの様子をたまには聞きたくても聞きづらくなっております。

アドバイスをお願いします。

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

サッカーのコーチは、子どもの成長を一緒に見守っていただける大事な存在です。その方にスルーされるのは、お母さんにとって辛いことでしょう。そういう事をあまり聞くのは良くないのでしょうか?とありますが、まったくもって普通のことです。

しかも、息子さんのモチベーションが下がっているのは、他の子との兼ね合いなので、コーチに知らせて悪いわけがありません。きちんとしたクラブやスクールの指導者は「お子さんのことで気になったことがあれば何でも言ってきてください」とアナウンスしてくれます。


■指導者の中には「親の前で話すのは自信がない」という人もいる


対応されたコーチが何歳くらいで、どのようなキャリアをお持ちの方なのかもわからないのではっきりしたことは言えませんが、もしかしたらそういった保護者対応が苦手な方なのかもしれません。簡単に言えば、息子さんのモチベーションアップや他の子どもとのトラブルを解決する自信がないのでしょう。

私の周りや取材した際に見かけたなかで、子どもとのミーティングを親の前で絶対にやらないコーチの方々がいました。試合や練習後、親たちがいる場所からわざわざ離れた場所で子どもたちに話していました。

なかには「負けたのはおまえのせいだ」と個人を指さす良くないケースもありましたが、多くは特に問題のある指導はしていないけれど「親の前で話すのは自信がない」とか「内容を聞かれるのは恥ずかしい」という理由でした。

それと似たような理由で、息子さんのコーチもお母さんを遠ざけているのかなと想像します。よって、離れようとしている相手にこれ以上アクションを起こしても良い結果は得られません。

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■攻撃的な態度をとるのも良くないが、こびへつらう必要もなし!普段通りにしよう


スルーされたことなど気にせず、お母さんのほうは普段通りにしていればよいのです。
無視されたからと攻撃的な態度になっても良くありませんし、逆にこびへつらう必要もありません。堂々としていましょう。

また、お母さんは「先生」と呼ぶなどリスペクトされている様子ですが、そこまで気を使わなくてもよいかと思います。もっとフラットに、対等にものを言い合える関係を築けたほうが子どものためになると思います。

■辛いと訴える子に「頑張るしかない」と伝えたら、子どもは絶望する


この「子どものためになるかどうか?」の視点を、お母さんにも持ってほしいです。奮起してほしいと思い「頑張るしかない」などと言った、とあります。その環境が辛いと訴えているのに「頑張るしかない」などと、それしか道はないことを示してしまうと子どもは絶望するしかありません。言った仲間も、まだ子どもですから「下手くそ」などと言ったりするのは日常茶飯事です。
ただ、本人はそれが辛いと言っているのであれば、まずはその辛さを受け止めてあげてください。

また、お母さんは「自分は運動部の経験者ではないから」とおっしゃっていますが、卑下することは何もありません。今現在、運動部活動などスポーツ指導の世界で、暴力や暴言など不適切なやり方が問題になっているのをご存知でしょうか。自分たちが指導されたように指導してしまうことで問題が起きています。逆にそういった経験がないほうが良い場合もあるのです。

例えば「仲間を下手くそなんて言うのは良くないね」と辛さに共感してください。そうすれば、お母さんは僕の味方だと心強く感じるはずです。そのうえで「サッカーを楽しくやりたいのに、どうしてもそうなれないなと思ったら言ってきてね。
他のスクールを探すこともできるよ」と他の選択肢があることを示してあげてください。

■ライセンス関係なく良い指導者はいる子どもにとって良い環境を見極めるのは親自身


子どもについて悩み相談したらコーチにスルーされるように。コーチに尋ねちゃダメなの問題

(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

もうひとつお伝えするとすれば、日本のサッカースクールは日本サッカー協会のコーチライセンスを取得しなくても指導できます。チェック機能はないのでここはフリーな状態です。

とはいえ、資格の有無にかかわらず、よい指導をされる方、新しいことを積極的に学ばれている優秀なコーチはいらっしゃいます。

そのような良い大人、良い環境を見極めるのは、お母さん自身が学ばなくてはいけません。何が子どものためになるのか。成長の糧になるのか。そういった視点で、引き続きサカイクを見ていただければと思います。


子どもについて悩み相談したらコーチにスルーされるように。コーチに尋ねちゃダメなの問題
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。
指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。

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