「そうじゃない」「○○へ出せ」指示命令ばかりのベテラン指導者のやりかたを改善する方法はある?
と問いかけます。
もしくはプレー後などに子どもに説明してあげましょう。いまこうなっていたけど、なぜだかわかる?そんなうに対話して「これはどう?」「どう思う?」と子どもに決定権をもたせましょう。
ずっと指示されていると子どもは考えなくなるので、考える力を耕す役目を担ってあげてください。
■支持を分解して伝えると同時に、他の選択肢があることも示す
コーチが指示していることの意味を恐らく子どもたちはあまり理解していません。したがって、そこを分解して伝えるのと同時に、それがわかったうえでほかにも選択肢があることを伝えてください。
「君たちならどうする?」
「ほかにどんな方法がある?」
「どうしたいと思った?」
そんなふうに問いかけ続けていると、「いまこうだったから、コーチに言われたところにはパスできなかった」などと自分の主張を言えるようになるかもしれません。そんなふうに言えたり、考えられる子どもをぜひ育ててください。
■教員を目指す大学生でさえ、自分で考える経験が少ない
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
私は、将来教員を目指す学生が通う大学で講義をしています。授業で「運動部の顧問になったときにどんな目標を立てますか?」とか、「教員になったときにどんな生徒に育ってほしいですか?」といったタイトルでレポートを書いてもらったことがあります。
すると、学生たちは「持ち込み可能ですか?」と尋ねてきます。つまり、書籍などを参考にしていいかというのです。私はこう答えました。
「OKだよ。何でも持ち込んでいいよ。
ただ、そこを見ても答えは載ってないよ。なぜなら、レポートには自分の考えを書かなきゃいけないからね」
すると、学生たちは「えーっ!めっちゃ大変!」と慌てていました。自分の考えを述べる。構築するという経験をあまりしていないようです。このことはスポーツ指導の現場にも大いに問題があると私は思います。
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池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。
幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。