スペインでは小1でも団子サッカーにならない理由とは⁉ スペインと日本の育成環境の違い
EURO2024で見事12年ぶりの優勝を果たしたスペイン代表。大会前は優勝候補ではなかったにも関わらず、イタリア、ドイツ、フランス、イングランドと名だたる強豪国を打ち倒し、優勝に相応しいパフォーマンスを見せ続けました。
決して選手層で圧倒していたわけではないスペイン代表は、大会最年少出場であるラミン・ヤマル選手をはじめとした、若い選手の活躍が特徴的でした。開催当時16歳だった青年が大会随一の活躍を見せたのは、スペインの育成力の高さがうかがえたといえるでしょう。
長年ラ・リーガの解説を務め、自身でスペインの育成年の指揮をしたこともある小澤一郎さんは著書『自主練もドリブル塾もないスペインで「上手い選手」が育つワケ』で、スペインの育成について語っています。
第二回となる本記事では実際のスペインの小学生年代での練習の違いを抜粋してお届けします。
<<第一回:幼少期の指導が日本と異なる⁉スペインには自主練もドリブル塾もないのに「上手い選手」が育つ理由
(写真提供:小澤一郎)
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■「団子サッカー」にならない理由とは
では、スペインの育成年代が具体的にどのような練習をしているのかを見ていきます。日本で「子どもたちのサッカー」と聞くと"団子サッカー"を思い浮かべる人が多いでしょう。
戦術もシステムもなく、ボール目掛けて敵味方の子供たちが一斉に群がり、お団子のような状態になってしまうサッカーです。ボールが団子の外に飛び出ても、またボールに向かって子どもたちが集まっていくので、そこには戦術やシステムといった概念はありません。
もちろんスペインでも、サッカーを始めたばかりの子どもはボールに群がって「団子サッカー」
になりがちです。ただ、その団子に指導者がきちんと介入し、「君はこのポジションだから、ここの場面ではボールに寄らずにこういうポジションを取りなさい」といったことを小さな子どもにも伝えます。
(写真は少年サッカーのイメージ)
私がスペイン在住時代に驚いたのは、サッカーをはじめたばかりの低学年の試合でも、指導者が審判とは別にピッチ内に入り、子どもたちが団子サッカーにならないよう介入してポジションを取らせていた光景です。どれだけ小さな子どもでも、ポジションを与え、必要な動きを教えれば、団子サッカーにはなりません。