転んだ時に手が付けない、サッカーするうえでもベースとなる運動が正しくできていない......、子どもの運動能力低下の原因と課題
谷:自己肯定感は子どもに不可欠なもので、人を大きく変えることがあります。以前、タニラダー講習会に来た女の子で、しっかり立てず、走る時に右手と右足を同時に動かしてしまう子がいました。
初めは「この子、大丈夫かな」と思ったのですが、勘が良かったのか、たった1回のトレーニングで何かをつかんだようで動きが変わり、家に帰ってから自主練習をするようになったそうです。
その結果、最初は自信がなく消極的だった子が、スピードが上がってくると表情が変わり、自分から話しかけるようになってきたのです。お母さんも「性格が変わってしまったみたい」と驚いていました。
最初に会った時は小学4年生で伏し目がちだった子が、今は中学2年生になって、陸上の800mに取り組み、県大会で6位に入るまでになりました。自信なさげでふにゃふにゃだった子が、スピードが上がることでこんなに雰囲気が変わるんです。こういった効果が出てくると、自己肯定感の強い子が増えて、チームの雰囲気も変わってくると思います。
菊池:サカイクキャンプでも「探究心」が一つのキーワードになっています。自分で考えて取り組んでうまくいったとき、さらに「どうすれば良いだろう?」と興味を持つもの。子どものそのパワーは本当にすごいと思います。
サッカーの技術の前に、自分で体を動かすことが好きになり、得意になることで探究心が生まれてくるのは、谷さんのお話を聞いていて強く感じました。
谷:そこから二極化の問題が出てくるんです。気づきを得て、より良くなりたいという子がいる一方で、なんとなく『サッカー塾』に通っているけれど、うまくいかず、どうすればいいのかわからないという子や親御さんもいます。
私たちのタニラダー講習会のようなスピードアップトレーニングでも、対象が二つに分かれます。「0.1秒を縮めたい、より上を目指したい人」と「動きを改善したいけど、何をすればいいかわからない人」です。
その現状を踏まえて、私はトップを引き上げ、ボトムの底上げをする。この両方にアプローチしています。
■身体を適切に動かすことができるとサッカーのパフォーマンスが変わる

(オンライン対談の様子)
菊池:何事もそうですが「やったことないからできない」「やる前からできない」「どうせ自分なんて......」と思っている子は多いですよね。
なので、サカイクキャンプでも最初は「自信を持って、自分の得意なプレーを見せてね」