数的優位を作るのが大事なのはわかるけど、1対1の練習って不要なの? 両方トレーニングしたらダメなのか教えて
言うまでもなく、サッカーの試合では自分のまわりに必ず味方がいます。味方をどう使ったら自分が抜けるか、味方と2人で抜くためにはどうしたらいいか。そういうことを学ばせてください。
■数的優位のトレーニングをすることで「ズレ」を感じさせることが先決
数的優位のトレーニングをやっていると、相手と正対しない状態、要するにズレが生まれやすくなります。そういった「ズレ」を感じることが先決ですし、それを生むためにどうするかを自分で考えられるよう、いくつかのパターンを教えましょう。
1対1だけでなく、2対1などチームプレーを意識した練習メニューと指導が重要になります。状況に応じて判断できる選手を育てることを、改めて意識してもらえるとうれしいです。
また、「結果を求めるよりも、人間性を含めて成長を求めるチームです」と書かれています。
とてもいいことだと思います。
それには、チームプレーを意識した練習は欠かせません。そこには、味方と協力するとか、例えば場面ごとで「こうしたい」と動く相手の判断やアイデアをリスペクトするといったことが学べます。
子どもたちの人間性の成長を実現するためにも、それぞれの練習メニューに意味があることを知っておいてください。
■1対1のトレーニングをするときの工夫

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
もうひとつ、1対1のトレーニングをするときは、並んで待つ時間を短縮できるよう工夫してあげてください。
練習や試合で実際にボールが動いていて、プレーヤーがかかわっている時間のことを「アクティブタイム」と言いますが、ある研修会で指導実践15分のトレーニングメニューではアクティブタイムが5分弱だったそうです。
つまり3分の1です。
ドイツはコーチたちに向け、この時間をもっと長くして効率よくトレーニングするよう伝えています。
指示が長くなっていないかなど、タイムマネージメントができているかどうかを意識して練習をマネージメントしてください。
池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。