9歳で守備固定、交替ナシ。入団前の「練習試合は平等に出す」とは話が違うので移籍させたい問題
「平等に出す」「色んなポジションをさせる」と言っていたのに、入ってみたらほとんど交代無し、ポジション固定。入団前と話が違う。
我が子は交代枠なのでこのままじゃ周りと経験に差がつくのが心配だから、早めに移籍させようと思っているけど、どうしたらいい?と悩むお母さんからのご相談。
スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。 (構成・文:島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
<サッカーママからのご相談>
9歳のわが子ですが、少年団→クラブチームに移籍しました。理由は強豪チームを目指すために高みを目指すメンバーと一緒にやりたいと本人が希望したからです。
上手くなりたい気持ちはあるようで、習い事を幾つか通っているので同学年の中では少し技術はありそうです。
ただマイペースな性格で、まだまだ遊び半分でサッカーをやっています。
入団前に練習試合は平等に出す(公式戦や大きな大会は個人差あり)、ポジションも色んな所を経験させてくれるという話で、成長できると安心して入りましたが、入ってみるとポジション固定、練習試合ですらほぼ交代無し、直接得点に絡める前陣の子のみがスタメンで、とても平等とは思えませんでした。 (DFの子が交代枠、ベンチ組と交代の場合は前陣スタメン組を後陣にして交代無)
話の食い違いは残念に感じましたが、今は楽しんでいるので長い目でみようと思いましたが、どうしても交代枠(DF固定)の我が子はこのままでは経験に差がつくのではないかと悩んでいます。
本人は上手くなれるチームかどうかの見極めはできませんが、目指したい強豪チームがあるようです。(今のレベルだととても入れません)
それなら経験値をあげる為には平等に練習試合に出してくれるチームがいいのではないか、早めにチーム移籍がいいかと考えています。
本人はチームはどこでもいいと考えている様ですが、メンバーに恵まれており、今の環境に不満はないのでどうすべきか悩んでいます。
<島沢さんからの回答>
ご相談ありがとうございます。
色々なことがお母さんの思い通りに進んでおらず、焦っておられる様子が目に浮かびます。
この時期に9歳ということなので小学3年生なのでしょうか。まだまだこれから体の大きさも運動能力も変化していくので、もっとおおらかに見てあげてほしいものです。
さて、私からは三つほどアドバイスさせてください。
まずひとつめ。
チームは基本的に本人に決めさせましょう。
まだ9歳の子どもなので、競技環境については親御さんによって左右されるのは致し方ないかもしれません。お母さんのなかで「こっちの環境がいいかな?」「あっちのクラブのほうがよかったかも?」と揺れ動くことでしょう。
とはいえ実際にプレーするのは子ども本人です。
私が取材したり見かけるなかで印象に残ったのは、親の言う通りにチームを選んで上手くいかないと、そのことを親のせいにして努力しない子どもの姿でした。
試合に出られないと、親御さんたちの多くが「もっと頑張れ」とか「もっと自主練したら」と、子どもの「意欲」に矢印を向けます。しかし、子どもからすれば「お母さんが(お父さんが)行けって言ったんじゃん」と責任転嫁しようとする傾向がありました。そのように言葉にしないまでも、傷ついて無気力になります。
あるいは、試合に出て親を喜ばせてあげられない自分を責め、こんなに嫌な思いをするくらいならとサッカー自体をやめてしまいます。試合に出られずやめるタイミングは小学5~6年生か、もしくは背伸びして入ったジュニアユースクラブで実力差に打ちのめされてしまう中学1年生です。
このようにアッサリやめてしまう子どもたちの親御さんのありようはどうなのか。
ここは親子で「なぜサッカーをするのか?」を話し合い、最終的に本人に決めさせたほうがいいでしょう。お母さんからのメールに、今は楽しんでいて、メンバー(仲間ということですよね?)にも恵まれていると書かれています。であれば、親が外野からいろいろ言わず、息子さんに任せましょう。
彼自身が「ほかのところでやりたい。例えば、〇〇FCだったら楽しくやれそう」と自分で情報を集め、自分で判断できる力を持つまで、何も干渉せず見守ったほうがいいと私は思います。
2つめ。
矢印を子どもではなく、一度自分に向けてください。
ご相談文を読むと、「習い事を幾つか通っているので同学年の中では少し技術はありそう」とか、目指したい強豪チームがあるようだが(今のレベルだととても入れません)と、わが子を選手として評価を下す表現が多いことが気になります。
何度も言いますが、まだ9歳です。子どもの能力を評価するのはお母さんの領域ではありません。
例えば「今は楽しんでいるので長い目でみよう」と決意したのに、すぐに「どうしても交代枠DF固定の我が子はこのままでは経験に差がつくのではないか」と180度異なる価値観を述べられています。
「経験値をあげる為には平等に練習試合に出してくれるチームがいいので、早めにチーム移籍がいい」と考えているのに、「メンバーに恵まれており、今の環境に不満はない」とあります。
お母さんの親としてのマインドセットに、息子さんをダブルバインド(二重拘束)してしまう傾向があるかもしれません。このように異なる価値観にからめとられているからこそ、どうしていいかわからなくて私に相談されたのでしょう。
当然ながら私は心理医でも何でもありません。
お母さんは今、親としてこうあるべきと思う理想と、わが子にこうなってほしいと期待してしまう本音との間で葛藤しているようです。この相談を機に、ぜひ一度気持ちの整理をしてください。
お母さん自身、親としてどうありたいのか。どうあることが息子さんの人としての成長を促せるのか。わが子ではなく、自分に矢印を向け、日々の子育てを見直しましょう。
私自身、そのような葛藤を抱えた経験があるからこそ、お伝えしています。親が評論家になり、プロでもないのに子どもの代理のようになってクラブ探しをしてもうまくいきません。
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
最後の3つめは、子どもの本音を引き出すことにもっと骨を折ってください。
息子さんに「目指したい強豪」があるとのことですが、それは本音なのでしょうか?親を喜ばせたくて「こうなるんだ」と目標を高く掲げているのかもしれません。そこにこころを砕きましょう。
無論、本音かどうかわからなくても構わないし、「無理しなくていいのよ」などと水を差す必要はありません。
アスリートの成長には心理的安全性、つまり「ウエルビーイング」が必要だと言われています。ウエルビーイングは、心身ともに満たされた「よい状態」を指す概念です。
それを踏まえて、常に「サッカーを楽しんでくれればいいよ」と伝えましょう。そうすることで息子さんは安心します。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。新著は「叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践 」(NHK出版新書)
我が子は交代枠なのでこのままじゃ周りと経験に差がつくのが心配だから、早めに移籍させようと思っているけど、どうしたらいい?と悩むお母さんからのご相談。
スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。 (構成・文:島沢優子)
<サッカーママからのご相談>
9歳のわが子ですが、少年団→クラブチームに移籍しました。理由は強豪チームを目指すために高みを目指すメンバーと一緒にやりたいと本人が希望したからです。
上手くなりたい気持ちはあるようで、習い事を幾つか通っているので同学年の中では少し技術はありそうです。
ただマイペースな性格で、まだまだ遊び半分でサッカーをやっています。
その中で楽しみながらも、見捨てずに成長させてくれる監督に出会えたと思っていました。
入団前に練習試合は平等に出す(公式戦や大きな大会は個人差あり)、ポジションも色んな所を経験させてくれるという話で、成長できると安心して入りましたが、入ってみるとポジション固定、練習試合ですらほぼ交代無し、直接得点に絡める前陣の子のみがスタメンで、とても平等とは思えませんでした。 (DFの子が交代枠、ベンチ組と交代の場合は前陣スタメン組を後陣にして交代無)
話の食い違いは残念に感じましたが、今は楽しんでいるので長い目でみようと思いましたが、どうしても交代枠(DF固定)の我が子はこのままでは経験に差がつくのではないかと悩んでいます。
本人は上手くなれるチームかどうかの見極めはできませんが、目指したい強豪チームがあるようです。(今のレベルだととても入れません)
それなら経験値をあげる為には平等に練習試合に出してくれるチームがいいのではないか、早めにチーム移籍がいいかと考えています。
本人はチームはどこでもいいと考えている様ですが、メンバーに恵まれており、今の環境に不満はないのでどうすべきか悩んでいます。
<島沢さんからの回答>
ご相談ありがとうございます。
色々なことがお母さんの思い通りに進んでおらず、焦っておられる様子が目に浮かびます。
この時期に9歳ということなので小学3年生なのでしょうか。まだまだこれから体の大きさも運動能力も変化していくので、もっとおおらかに見てあげてほしいものです。
さて、私からは三つほどアドバイスさせてください。
■アドバイス①チームは本人に決めさせてでないと上手くいかないとき親のせいにする子に
まずひとつめ。
チームは基本的に本人に決めさせましょう。
まだ9歳の子どもなので、競技環境については親御さんによって左右されるのは致し方ないかもしれません。お母さんのなかで「こっちの環境がいいかな?」「あっちのクラブのほうがよかったかも?」と揺れ動くことでしょう。
とはいえ実際にプレーするのは子ども本人です。
例えば「ここは試合に出られないからこっちに行きなさい」と言われて移籍したら、また当初の情報とは違っていて出られなかったとなれば、子どもは親を恨んでしまうかもしれません。
私が取材したり見かけるなかで印象に残ったのは、親の言う通りにチームを選んで上手くいかないと、そのことを親のせいにして努力しない子どもの姿でした。
試合に出られないと、親御さんたちの多くが「もっと頑張れ」とか「もっと自主練したら」と、子どもの「意欲」に矢印を向けます。しかし、子どもからすれば「お母さんが(お父さんが)行けって言ったんじゃん」と責任転嫁しようとする傾向がありました。そのように言葉にしないまでも、傷ついて無気力になります。
あるいは、試合に出て親を喜ばせてあげられない自分を責め、こんなに嫌な思いをするくらいならとサッカー自体をやめてしまいます。試合に出られずやめるタイミングは小学5~6年生か、もしくは背伸びして入ったジュニアユースクラブで実力差に打ちのめされてしまう中学1年生です。
このようにアッサリやめてしまう子どもたちの親御さんのありようはどうなのか。
全員に会えたわけではなく、コーチからの情報もありますが、お父さんやお母さんが主導権を握っている、あるいは子どもの実力以上の成果を期待してしまい、そのことが子どもたちの重荷になってしまいがちでした。
ここは親子で「なぜサッカーをするのか?」を話し合い、最終的に本人に決めさせたほうがいいでしょう。お母さんからのメールに、今は楽しんでいて、メンバー(仲間ということですよね?)にも恵まれていると書かれています。であれば、親が外野からいろいろ言わず、息子さんに任せましょう。
彼自身が「ほかのところでやりたい。例えば、〇〇FCだったら楽しくやれそう」と自分で情報を集め、自分で判断できる力を持つまで、何も干渉せず見守ったほうがいいと私は思います。
■アドバイス②「楽しんでいるか」より評価が気になる?まずは一度「矢印」を自分に向けること
2つめ。
矢印を子どもではなく、一度自分に向けてください。
ご相談文を読むと、「習い事を幾つか通っているので同学年の中では少し技術はありそう」とか、目指したい強豪チームがあるようだが(今のレベルだととても入れません)と、わが子を選手として評価を下す表現が多いことが気になります。
何度も言いますが、まだ9歳です。子どもの能力を評価するのはお母さんの領域ではありません。
例えば「今は楽しんでいるので長い目でみよう」と決意したのに、すぐに「どうしても交代枠DF固定の我が子はこのままでは経験に差がつくのではないか」と180度異なる価値観を述べられています。
「経験値をあげる為には平等に練習試合に出してくれるチームがいいので、早めにチーム移籍がいい」と考えているのに、「メンバーに恵まれており、今の環境に不満はない」とあります。
お母さんの親としてのマインドセットに、息子さんをダブルバインド(二重拘束)してしまう傾向があるかもしれません。このように異なる価値観にからめとられているからこそ、どうしていいかわからなくて私に相談されたのでしょう。
当然ながら私は心理医でも何でもありません。
以下は自分の知見だけのアドバイスなので参考程度にしてください。
お母さんは今、親としてこうあるべきと思う理想と、わが子にこうなってほしいと期待してしまう本音との間で葛藤しているようです。この相談を機に、ぜひ一度気持ちの整理をしてください。
お母さん自身、親としてどうありたいのか。どうあることが息子さんの人としての成長を促せるのか。わが子ではなく、自分に矢印を向け、日々の子育てを見直しましょう。
私自身、そのような葛藤を抱えた経験があるからこそ、お伝えしています。親が評論家になり、プロでもないのに子どもの代理のようになってクラブ探しをしてもうまくいきません。
[[pagebreak]]
■アドバイス③アスリートの成長には「心理的安全性」が必要
最後の3つめは、子どもの本音を引き出すことにもっと骨を折ってください。
息子さんに「目指したい強豪」があるとのことですが、それは本音なのでしょうか?親を喜ばせたくて「こうなるんだ」と目標を高く掲げているのかもしれません。そこにこころを砕きましょう。
無論、本音かどうかわからなくても構わないし、「無理しなくていいのよ」などと水を差す必要はありません。
アスリートの成長には心理的安全性、つまり「ウエルビーイング」が必要だと言われています。ウエルビーイングは、心身ともに満たされた「よい状態」を指す概念です。
それを踏まえて、常に「サッカーを楽しんでくれればいいよ」と伝えましょう。そうすることで息子さんは安心します。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。新著は「叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践 」(NHK出版新書)
関連リンク
-
卵・乳・小麦不使用。食のバリアフリーを、もっと当たり前に。応募総数は過去最高の600名!北海道から沖縄まで全国の“アレっ子”家族が集結 2月22日(日)開催「第6回 アレルギーフレンドリーブッフェ」取材のご案内
-
「なぞなぞ好き」は語彙力の宝庫。ことば遊びが子どもの言語発達を加速させるメカニズム
-
3月19日(木) ベビーエリア&えほんコーナーがオープン「みんなのまち」も新たに遊べるおうちが増えてさらにパワーアップ!
-
【Makuakeで目標達成率1700%超】食育食器 第2弾『SUKUSUKU+』2026年2月1日より楽天市場「ひまわり堂」にて一般販売開始
-
「体力があり余って寝ない」子どもの”体力消費アイテム”自作 100均グッズで「リズム感、集中力アップ」も期待