愛あるセレクトをしたいママのみかた

親同士にも溝ができるなら、団体競技は選ばないほうが良いでしょうか問題

サカイク
上の学年に引き上げられ経験を積んできた息子。だけど、新人戦が始まった後は、試合でゴールしてもチームメイトは無反応、誰も喜んでくれないし時には試合中にダメ出しも。

サッカーを嫌いにさせてしまったことを後悔するお母さんからのご相談。子どものサッカーで他の保護者との溝ができるぐらいなら、団体競技は選択肢から外すべき?とのお悩み。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。 (構成・文:島沢優子)

親同士にも溝ができるなら、団体競技は選ばないほうが良いでしょうか問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

<サッカーママからのご相談>

息子(11歳)のスポ少での立ち位置での相談です。

息子は上の学年の試合に引き上げられ経験を積み重ねてきました。子ども本人もチームに貢献出来るよう食らいついてとても達成感と楽しさで続けておりました。


しかし新人戦が始まり試合には貢献出来たものの、当の本人は試合をこなす度にチームメイトとの喜びを感じ取れなくなっていました。何故ならゴールを決めても他の子達は無反応。自分が決めても誰も喜んでくれない、もしくは試合中に仲間からのダメ出しを浴びる始末。

在団しているメンバーとこの先一緒にやりたくないと初めて心の叫びを聞きました。

弱小チームなのですが、親からのプレッシャーと板挟みになっていたことに気付いてあげられなかったことと、サッカー自体が嫌いにさせてしまったことを後悔しています。

親子で話し合い、一度サッカーから離れる決断した事で、息子の心が軽くなったのを見て親としては悔しさと寂しさを感じながらも背中を押す形で寄り添う方向に向っています。

チームとして勝ち上がりと思って今までは応援していたはずなのに、保護者同士の関係性にまで溝が出来るくらいなら団体競技は選択肢から外すべきなのでしょうか?

<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

文章だけのご相談なので、もしかしたら正確に問題を把握できていないかもしれません。
推察も入ってしまう回答になります。そのあたりをご理解いただければと思います。

お母さんがこころを傷められているご様子が伝わってきました。飛び級で上の学年でプレーしていたけれど、自分の学年が最高学年になって本来のチームに戻ってきたら、少しばかり仲間外れにされてしまった。その仕打ちに、息子さんのこころが折れてしまった。そのようにとらえました。

ただし、「親からのプレッシャーと板挟み」がどんなものだったのかがよくわからないのですが、お母さんには心当たりがあるということのようです。また、最後に「保護者同士の関係性にまで溝が出来るくらいなら」と出てきますが、ちょっと唐突で何について答えるべきか若干悩みました。


■同学年に戻ってきて冷たくされたことは、指導者が反省すべき


そこで、質問された「団体競技は選択肢から外すべきなのか?」に答える前に、2つほどお伝えさせてください。息子さんが同学年に戻ってきて冷たくされたのは、彼の問題ではありません。まずは指導者が反省すべき点でしょう。

飛び級の本質を理解している指導者やクラブは、選手を上の学年でプレーさせる際にさまざまな配慮をしています。

例えば息子さんが入ることで試合の出場時間が減るかもしれない選手への配慮などです。逆に今回のように、息子さんが自分の学年に戻ったときの配慮も必要です。同じ学年の選手や親に対し、チームの方針を説明します。

そのような配慮ができるクラブは、試合に勝つために飛び級をさせるわけではありません。
例えば、同学年のなかでプレーしていても物足らないかもしれない子どもを上の学年とやらせることで力をつけるといった目的があります。そこを親御さんたちに理解してもらいます。

ところが、息子さんが所属しているクラブは恐らくそういった配慮が足らないようです。試合に勝つために息子さんを上の学年の試合に出しているように見受けられます。したがって、彼が同学年に戻った際に仲間外れのような仕打ちを受けても、効果的な指導ができないのかもしれません。

このようにチームに問題があるのだとしたら、保護者が混乱するのは当然です。保護者同士の溝がどのように生じたかはわかりませんが、もし親同士のもめごとが、彼がクラブを離れる原因のひとつになっているようであれば非常に残念なことです。

■アドバイス①個人競技だから親がもめないわけではない


ここから3つほどお伝えさせてください。


ひとつめは、ご質問いただいた「団体競技は選択肢から外すべきなのか?」についてです。

保護者同士の関係に溝が入ったとのことです。きっかけやプロセスもわからないため何とも言えませんが、団体競技だから保護者同士がもめるとは限りません。例えば、競泳や陸上競技といった個人競技であっても、全員が公式戦に出場できるとは限りません。

卓球やバドミントンもそうですが、一見個人競技に見えても、いずれもそのチームや指導者の質が上がれば上がるほど、実は団体競技の側面が強くなってきます。ライバル同士で切磋琢磨する、互いに成長し合う環境が用意されています。

つまり、親がもめる、もめないは、そこにいる指導者や保護者次第ということです。そのような見方をすれば「団体競技=親がもめる」といった短絡的な思考にはならないと思います。


■アドバイス②自分が何をしたいのかは子ども自身が決めて判断すること


2つめ。どのスポーツをやるかを選択するのは息子さんであって、お母さんではありません。

今11歳ということは、新年度から6年生になるということでしょうか。前思春期と言って、あと1~2年もすれば声変わりをし、第二次性徴が始まります。

本来なら幼児のころからさまざまなことを選んでもらって、自己決定をする訓練をしたほうがいいのですが、そのあたりはどうだったでしょうか。ぜひ振り返ってみてください。

自分が何をしたいか、どうしたいかは、子どもが決めて判断することです。親御さんはただただ見守っていれば良いのです。


例えば、親御さんができることは以下の3つだと私は考えています。ここさえ整えて、安心安全な環境を一緒に考えてあげればよいでしょう。

1.適度な睡眠、早寝早起き朝ごはんを定着させる。 2. スポーツをするならば、学校の勉強ときちんと両立しているか目を光らせる。 3. 子どもが楽しく伸び伸びスポーツができる環境であるか否かを常に振り返る。

[[pagebreak]]

■アドバイス③情けはひとのためならず。ほかの親への配慮も必要


親同士にも溝ができるなら、団体競技は選ばないほうが良いでしょうか問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

そして最後に。

私は、「(息子さんが)チームに貢献出来るよう食らいついてとても達成感と楽しさで続けておりました」と語ったにもかかわらず、息子さんが所属していたチームのことを「弱小チームなのですが」とわざわざ書かれていることに違和感を覚えました。

それに加え、「チームとして勝ち上がりと思って今までは応援していたはずなのに」と他の親御さんを責める発言もあります。親たちは大人の態度としてチームを応援するでしょう。しかしながら、例えばわが子が試合に出ていない親の悔しさ、上の学年に自分の子どもは行かせてもらえないといった落胆だってあったはずです。

もしまた息子さんが何らかのスポーツをするときは、そのような他の親御さんの葛藤や複雑な感情にも配慮できるといいですね。その配慮が、ご自分というよりも、お子さんに返ってくるはずです。

「情けは人のためならず」です。

親同士にも溝ができるなら、団体競技は選ばないほうが良いでしょうか問題

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)

ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。新著は「叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践 」(NHK出版新書)

提供:

サカイク

この記事のキーワード