Jのスペシャルコースに受かるレベルなのに、所属の少年団ではBチーム......。見てる私がツラくて何とかしたい問題

サカイク
Jクラブのスクールのスペシャルコースに通っている息子。土日は所属先の少年団に行ってるんだけど、Bチームで大会に出られない。

前の大会でも一度も機会が無く目を真っ赤にしていて私もツライ。スクールでは生き生きとしてるのになぜ?この状況、親としてどうすれば?と悩むお母さんからのご相談。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見とご自身の育児の経験からアドバイスを送ります。
(構成・文:島沢優子)

Jのスペシャルコースに受かるレベルなのに、所属の少年団ではBチーム......。見てる私がツラくて何とかしたい問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

<サッカーママからのご相談>

こんにちは。小学四年生の息子(10歳)のことで相談させてください。

息子はJクラブ育成組織のスペシャルコースに合格し週一回通っていて、その他に土日は少年団に行っています。


しかしその少年団ではいわゆるBチームです。前回の大会でも一度も出る機会を与えてもらえず、本人も目を真っ赤にしていて、見てるこちらも辛かったです。かたやスクールでは、いきいきとプレーしていて、少年団での動きとはまるで違います。

こんなことってあるのでしょうか? 本人に原因を尋ねても分からないといいます。

ずっとBチームにいるので、まわりと連携が取れない部分は少なからずあると思いますが、見ていて辛いしもどかしいです。私は母の立場でどうしたらいいでしょうか?

<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

正直にご自分の葛藤を話していただいたこと、感謝いたします。お子さんが試合に出られずずっとベンチにいるのは、親にとってこのうえないストレスですね。


私も息子が小学1年生のころ、2年生の試合に連れて行かれた際、1日3試合もやるのにひとりだけ一度も出られなかったことがありました。お気持ち察します。

ここでお母さんにお願いしたいことが3つほどあります。

■アドバイス①Jのスクールと少年団は異なる集団だと理解して


1つめ。スクールと少年団はそれぞれ異なる集団であることを理解してください。

サッカーのスクールは、例えば学習塾のような側面があります。学校の授業で習う内容を復習したり、予習したりする「もう1つの学びの場所」です。サッカーでいえば、この建付けと同様なのがスクールです。
所属するチームとは別に、サッカーにふれる場所としてここに通っています。

子どもたちはさまざまなチームから集まります。要するに「個」を磨く場所です。よってスクールでは、チームを結成して毎週試合に出ることはほぼなく、レギュラーや補欠、AチームとBチームといった選別や比較がない。子ども同士の競争もありません。

これに対し、少年団や民間の街クラブは「集団」を磨く場所です。集団を支えるのは個人ですから個の力を伸ばすことにコーチは当然ながら尽力しますが、それとは別にチームとしてどう成長していくかが焦点となります。

その成長を目に見えるかたちで測れるのが試合。
つまりは週末に行われる公式戦や練習試合です。そこでは残念なことに、レギュラーや補欠、AチームとBチームといった選別や比較が顕著です。

■アドバイス②どこでプレーしたいか考えるのは息子さんだということを認識しよう


なぜ「残念なことに」と書いたかと言えば、それらの試合についてJFA(日本サッカー協会)は、子どもが十分にプレーし楽しむ機会を広げる方針を示しているからです。

特に育成年代では、全員が継続してプレーに関わることを重視しており、出場機会の確保は育成上重要だとされています。

JFA公式ページ「みんなPlay! 補欠ゼロ」(※)には、全員が同じ試合に出られない場合も、別の試合で出場機会を確保し、万年補欠ゼロという考え方が説明されています。
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とはいえ、欧州のいくつかの国で実施されているような、あらゆる試合で全員の出場時間を同じにする全国一律の競技規則は存在しません。

そのため大会要項や地域協会、チーム方針で運用が分かれるのが実情です。様子を見ながら、Bチームにも別できちんとした出場機会を与えていないようであれば、試合の出場機会を得られるチームを考えてもいいかもしれません。


ただし、それを考えるのは息子さんです。お母さんではありません。そこを間違えないようにしてください。これが2つめのお願いです。

■アドバイス③質問や原因分析などサッカーへの干渉を減らしてみて


そして3つめはこの質問です。

「スクールでは、いきいきとプレーしていて、少年団での動きとはまるで違います。こんなことってあるのでしょうか?」

私から見ると、動きが変わるのも当然だと思います。最初に説明したように、スクールには選別や比較がないので、息子さんは失敗を恐れずのびのびプレーできるのではないでしょうか。
あくまでこちらの推測になりますが、試合に出られるか出られないかを競わなくてはならない少年団でプレーが縮こまってしまうのかもしれません。

そこでお母さんにお願いしたいのは、息子さんのサッカーへの干渉を極力減らしてください。少年団でいきいきプレーできないのは、お母さんたちの期待に応えなくてはというプレッシャーが少なからずあるのではないでしょうか。

例えばお母さんは「少年団での動きとまるで違う」ことを心配して、本人に原因を尋ねたと書かれています。加えて「Bチームにいるので、まわりと連携が取れない部分は少なからずあるのでは」と分析されてもいます。

思うに、そのように質問したり、分析やジャッジをしたりすることは息子さんにとって重い気がします。お母さんが「あなたに期待している」とか「試合に出てくれないとお母さんが辛いんだよ」などと言葉に出さなかったとしても、子どもは親の気持ちを感じ取ります。やさしい、気遣いをする性格の子どもは特に、親に喜んでもらえそうな言葉を無意識に選ぶものです。


辛いでしょうし、見ていてもどかしいでしょう。しかしながら、試合に出られなくて一番悔しく、親にAチームで活躍する姿を見せることができなくて辛いのは誰でしょうか。そこをしっかりと考えてみてください。

■一番大事なのは試合出場ではなく、サッカーを好きで楽しむこと


「私は母の立場でどうしたらいいでしょうか?」の質問にもお答えしましょう。

お母さんは、息子さんのサッカーから少し距離を置いたほうがいいでしょう。お母さんが躍起になってしまうと逆効果です。

息子さんに「公式戦に出られなくても、サッカーが好きだったら続ければいいよ」と言ってあげてください。一番大事なのは試合に出ることじゃない。サッカーを楽しむこと。好きになることです。

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■試合に出れない息子を置いて帰路についた時、夫に言われた言葉


Jのスペシャルコースに受かるレベルなのに、所属の少年団ではBチーム......。見てる私がツラくて何とかしたい問題
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

ところで私の息子が試合に出られなかった話の続きです。最後の試合の前半で私は息子を置いてグランドを後にしました。そして泣きながら会社に出勤していた夫に電話しました。

すると夫は私からの報告を聞いた後「それで、いま、どこなの?」と聞くので、「いま、先に帰ってる」と言うと、少し笑いながら「それだと、○○(息子の名前)が、終わった後、ママは僕が出られないから先に帰っちゃったんだ、ってがっかりするんじゃない?」と言ったのです。

親としてこころから反省しました。自分の感情ではなく、子どもの気持ちを優先して考えるべきでした。そこで「元気で、楽しく生きてくれていればそれでいい」という物差しをもてば報われるでしょう。そんな地味な希望をなかなか持てないので、皆さん悩みます。

ひととおり2人の子育てを終え、取材でさまざまな親子を見てきた私は「実は元気で楽しく生きているからこそ、子どもはすくすくと自分の力で成長していくものだ」と思っています。

「その子をよりよく成長させるために、親はどうすればいいか?」

逐一立ち止まって考えれば、そのたびに答えは出ます。そして、それが子育ての原点なのです。

Jのスペシャルコースに受かるレベルなのに、所属の少年団ではBチーム......。見てる私がツラくて何とかしたい問題

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)

ジャーナリスト。2026年より日本サッカー協会指導者養成部会員。朝日新聞コメントプラスコメンテーター。筑波大学卒業後、英国留学などを経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』ほかでスポーツ、教育を中心に執筆。『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。近著に『叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』(NHK出版新書)『ファジアーノ岡山「地熱」の奇跡』(竹書房)など。指導者や保護者、Jクラブや企業を対象にした講演も精力的に行っている。
公式サイトはhttps://yukoshimazawa.com/

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