運動後の骨格筋の損傷の程度を評価する有効な方法を発表 最大随意等尺性収縮(MVIC)トルクの回復率を活用
芝浦工業大学(東京都港区/学長:山田純)システム理工学部赤木亮太准教授、同大学院修士課程東海林幹生氏、静岡産業大学(静岡県藤枝市/学長:鷲崎早雄)スポーツ科学部江間諒一准教授、エディス・コーワン大学(オーストラリア)野坂和則教授らは、運動による骨格筋(力こぶなど、私たちがイメージする筋肉の総称)の損傷程度を評価する指標として、運動1日後の最大随意等尺性収縮(MVIC)トルクの回復率が利用できる可能性を明らかにしました。
運動による骨格筋の損傷は、運動能力の低下はもちろんのこと、最悪の場合、身体障害を引き起こす可能性があります。そのため、骨格筋の損傷の程度を評価する方法を確立することで、休養やトレーニングの適切なタイミングを判断することに繋がることが期待されます。
※この研究成果は、「Frontiers in Physiology」誌オンライン版に掲載されています。
■ポイント
・運動後の骨格筋の損傷の程度を的確に評価する指標を確立する
・運動1日後のMVICトルクの回復率でその後の筋力変化を予測
・筋力計による測定で実施が可能
最大随意等尺性収縮(MVIC)トルクの回復率で2つにグループ分類
Muscle Damage Indicated by Maximal Voluntary Contraction Strength Changes From Immediately to 1 Day After Eccentric Exercise of the Knee Extensors, AKAGI et al, Front. Physiol., 17 November 2021
■研究の背景
多くの人が経験する通り、激しい運動やスポーツ活動をしてから1~3日後に筋肉痛が生じます。筋肉痛は、骨格筋がその長さを伸ばしながら力を発揮するエキセントリック(伸張性)運動によって生じやすいことがわかっています。多くの場合、筋肉痛は自然に治まり、通常の生活を送ることができます。しかし、最悪の場合、放置しておくと身体に支障をきたすこともあり、運動後の症状の回復を予測する方法が求められています。
運動後に観察される筋力の低下度合いは筋損傷の大きさを示す指標のひとつですが、筋損傷だけでなく、神経筋の疲労など他の症状を反映することもあります。そのため、筋損傷とそれらの症状とを的確に区別する方法を見つける必要がありました。